2020年度シーズンリーグ戦1部第1節のゲームレビューをお伝えしていきます。
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第1節試合結果
10/4 | |||||
13:00 | 流経大 | 〇28ー10 | 法政大 | 流経G | 無観 |
13:00 | 専修大 | 〇29-19 | 大東大 | 熊谷B | 無観 |
13:00 | 中央大 | 28-33〇 | 日本大 | 日大G | 無観 |
13:00 | 関学大 | 24-52〇 | 東海大 | 東海G | 無観 |
流通経済大 〇28-10 法政大
レビュー
過去2年いずれも最終戦で激突してきた開幕節屈指の好カードは、流経大が法政を1トライに抑え快勝。
上位進出を目指す法政にとっては痛い黒星となりました。
勝敗を分けたのはゴール前での精度の差。
流経大が少ないチャンスをことごとくトライに結びつけてきた一方で、法政は特に後半いくども敵陣深くまで攻め入りながら、最後はミスやペナルティで攻撃権を失う惜しいシーンが目立ちました。
共にディフェンスが厳しく引き締まった内容だっただけに、その差がそのまま得点差に表れたように感じます。
その意味でも、開始わずか13分に⑥吉永純也主将(4年・東福岡)、そして28分には④兼森大輔選手(3年・報徳学園)という2人の核を負傷で失ったのはやはり痛かった。
それでも、後半フロントロー3人(HO⑯濱野隼也、PR⑰稲田壮一郎選手、PR⑱橋本陸選手)が入れ替わった後は、スクラムで完全に優位に立つシーンも多く見られました。
このスクラムで戦える手応えを掴めたことは今後に向けて大きい。
奪われたトライもFWの密集サイドやペネルティから一瞬の隙を突かれたものが殆どで、完全に崩されたものではない。
まだまだ初戦が終わったのみ。
落ち込んでいる場合ではありません。
一方の流経大は法政の執拗なタックルに苦しめられ、チャンスこそ多くはありませんでしたが、密集サイドからのピック&ゴー、ドライビングモール、ペナルティからのクイックスタートなど、ゴール前でしっかりと取り切る精度はやはり高いものがありました。
タレントが揃う法政バックス陣を、試合終了間際までノートライに抑えたディフェンスも見事。
さらに、リーグ戦デビューとなった④神田康生選手(1年・鹿児島工)、⑥篠澤 輝選手(1年・(流経大柏)のルーキー2人が、しっかりチームとしての役割を果たしていた点も心強いですね。
今年も昨年以上にいいチームに仕上がっていきそうな雰囲気を感じます。
関東学院大 24ー52〇 東海大
レビュー
前半終了間際まで10-14の4点差。
東海の縦突破へ果敢なタックルで応戦し、ブレイクダウンでもしっかりファイトしたカントー。
大方の予想に反し接戦となったこの試合の勝敗を分けたポイントは、やはり前半ロスタイムのタッチキックミスから奪われたトライでしょう。
そのまま前半を4点差で終わっていれば後半へ臨む気持ちも大きく違ったはずで、後半の入り10分間で立て続けに3トライを失ったことを鑑みても、やはりこの一連のプレーから流れが大きく変わったと見ていて感じます。
カントーにとっては実に惜しい試合でした。
それでも、
②岡輝剛選手(4年・佐賀工)の強力なレッグドライブ、
この試合⑨番に入った三輪悠真選手(3年・尾道)とルーキー⑩立川大輝(1年・佐賀工)らHB団の鋭い仕掛け、
⑫芳崎風太選手(3年・関東学院六浦)の卓越したラグビーセンス、
⑪福士萌起選手(4年・佐賀工)と⑭萬田開人主将(4年・仙台育英)の魅力的な両翼
は1部上位相手でも十分通用することを証明。
加えて、あの東海をスクラムで押し込む姿には正直胸が熱くなりました。
次戦は初戦で苦しんだ昨季2位の日大。
番狂わせの可能性は十分でしょう。
東海大にとってはスクラムでの苦戦は誤算だったのではないでしょうか。
フッカー挑戦1年目の②山田生真選手(4年・東海大仰星)にとっては、厳しいフロントローデビューだったかもしれません。
ただ、フィールドプレーではさすがと思わせるプレーを随所に披露。
チーム全体で見ても、前後半の入り20分、前半終了直前、そして得点を奪われた直後にそれぞれトライを記録するなど、ここぞという時の集中力はさすがリーグ戦王者。
リーグ開幕前の帝京戦でも84失点を喫するなど、試行錯誤するチームはまだまだ試運転の段階。
ここからリーグを戦う中でどこまでギアを上げてくるのか。
非常に楽しみです。
専修大 〇29-19 大東文化大
レビュー
昨季開幕戦と同じ顔合わせとなった一戦は、昨季のリベンジに燃える専修が勝利。
前半から何度もリードが入れ替わるシーソーゲームの勝敗を分けたポイントは、この試合に勝つために行ってきた準備と勝利への執念の差だったように感じます。
専修はグラウンドの横幅を最大限利用する”ランニングラグビー”を標榜するだけあって、やりたいラグビーが明確。
前半15分自陣マイボールスクラムから⑭花田悠太朗選手(4年・日川)が右へ抜けだし、⑩森野幹太選手(4年・東福岡)から、キックパスで逆サイドの⑪飯塚稜介選手(1年・桐蔭学園)へ通したトライはまさにその真骨頂。
アタックの起点となるセットプレーが安定していたことも、ゲームプラン通りに試合を運べた要因でしょう。
個で見ても、
この試合がリーグ戦デビューとなった昨冬花園優勝メンバー⑪飯塚選手はやはり非凡で、⑮古里樹希選手(2年・東福岡)も含めたバックスリーの攻撃力は非常に高く、
高速アタックを生み出した⑨友池瞭汰選手(2年・東福岡)のパスワーク、
ボールへの鋭い働きかけが光った⑥折居慎斗選手(3年・尾道)、
効果的なボールキャリーに加え試合を決定づけるトライも奪った⑧原 健将選手(4年・桐蔭学園)など、
目を引く活躍を見せた選手が多く名を連ねます。
波乱含みのリーグ戦で”下克上”達成1番乗りとなった専修。
今季台風の目となる可能性は十分です。
一方の大東大は前半比較的楽に得点できたこともあり、いつでも取れそうな雰囲気のまま時間が経過してしまったという印象です。
痛恨のペナルティとなった後半29分の敵陣ゴール前スクラムに代表されるように、全体的にセットプレーが不安定で、ゲームプラン通りに試合を運べないもどかしさもあったかもしれません。
ただ、全体的に見ていて気になるのは”元気のなさ”。
ラインアウトでのセットの遅さ、ルーズボール、ラインアウトモールへの対応では淡泊さが目立ち、さらには味方がトライをした時でも、残念ながらチームとしての気迫や一体感を感じることができませんでした。
新しい顔ぶれのFW陣がゲームに慣れ自信を持ってプレーするようになるためには、もう暫く時間が必要というところでしょうか。
それでも、昨年から総入れ替えとなったフロントローが実戦経験を積めたこと、そして④スコット・ケアヌ・ブブンガトアレオネ選手(1年・ロトルアボーイズ)や⑬ペニエリ・ジュニア・ラトゥ選手(1年・St.PetersCollege)ら2人のルーキーが力強い突破を再三披露していた点は大きな収穫。
次節の相手は同じく開幕戦で敗れた法政大。
連敗を喫するわけにはいきません。
⑨南主将(4年・御所実)を始めリーダー陣の立て直しに期待をしたいと思います。
中央大 28-33〇 日本大
レビュー
後半20分で16点差。
後半のほぼ全てを14人で戦いながら、FWのピック&ゴーを中心にシンプルに前へ出続け、ラスト20分でその点差を逆転した日大の底力は賞賛に値するものでした。
全チームで唯一ルーキーとして”9番”の開幕スタメンを勝ち取り、プレースキッカーも務めながら、後半33分まで果敢にアタックをリードし続けた前川李蘭選手(1年・目黒学院)、
”ダブル司令塔”のような形で日大のアタックラインを牽引したSO饒平名悠斗選手(2年・コザ)とFB普久原 琉選手(2年・コザ)、
鋭いタックルと縦への強さを見せつけた⑫広瀬龍二選手(2年・日川)など、
この日バックス7人中5人を占めた1、2年生を中心に若い力も次々に台頭。
下級生時代から有望な選手を積極起用して育て上げ、昇格からわずか4年でリーグ2位へと躍進を遂げたこの”グッド・サイクル”は、日大の新しい伝統として根付いてきています。
ただそれだけに、前半早々キックキャッチを試みた選手への危険なタックル(シンビン)、そして後半早々のレッドカードへ繋がった首への危険なタックルは、どちらも故意ではないことは明らかながらも非常に残念なプレーでした。
開幕までの紆余曲折を乗り越え臨む今季は、ピッチで結果を残すと共に、”クリーン”な日大を示すことが求められる年。
このような形で過日の問題をぶり返されること自体、本意ではないはず。
往年のファン、そして昨年の”旋風”で新たに贔屓となった大勢のファンのためにも、次戦へ向けて、今一度気を引き締め直して頂きたいと思います。
そして敗れた中央。
最終的に日大の底力に屈したものの、ひたむきなタックルと豊富な運動量で前年度2位チームを追い詰めた奮闘劇は見事でした。
共に個人技でトライを決めた⑮山田翔平選手(1年・国学院栃木)と、⑭下村寛太選手(1年・報徳学園)は堂々たるリーグデビューを飾り、⑫青山 真選手(4年・関東学院)と⑬綿引寛人選手(4年・国学院栃木)のCTB陣は攻守に抜群の存在感を発揮。
個々に能力の高いタレントは揃っています。
大東大を撃破した専修しかり、東海へ善戦した関東学院しかり、今年のリーグ戦はまさに混戦模様。
次節の相手は王者東海大。
下位チームの奮闘がリーグを面白くしてくれそうです。
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