2020年度シーズンへ向けた各大学の戦力予想。
新戦力を迎え入れ、新たなシーズンへ臨む各チームの戦力図と布陣はどのようになっているのか!?
例年よりも少々早い時期ですが、個人的な戦力予想をしてみたいと思います。
今回は、昨季対抗戦5位からの巻き返しを図る『慶應義塾大学』。
予想する方法は、”昨年までの活躍”、”Aチームへの絡み”、”今後の期待値”などを鑑みて、各ポジションの『本命』、『対抗』、『期待』選手を挙げ、最後に現時点での”予想布陣”を見ていきます。
※あくまで私個人としての意見です。
では、まずはフォワード編からいってみましょう。
<新入生情報2021↓>
2019年度 基本布陣
今季の布陣を考える前に、まずは昨年度のメンバーを振り返ってみます。
※太字は4年生
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
2014年度に花園へ出場した塾高『黄金世代』が卒業し、栗原徹HCら新指導陣を迎えて挑んだ2019年シーズン。
しかし、対抗戦では日体大、筑波大に相次いで敗れるなど序盤戦での躓きが響き5位。
覇権奪回を目指した”創部120周年”のメモリアルイヤーは、22年ぶりに大学選手権出場を逃すというほろ苦いものとなってしまいました。
それでも、この悔しい経験を味わった主力のうち6人は今年も残留。
新主将へ就任したLO相部開哉選手(4年・慶應義塾)を筆頭に、各ポジションに各学年の選手がバランス良く配置されており、フォワードの”経験値”という面では今年は対抗戦でも随一の布陣と言えそうです。
2020年度戦力予想~フォワード編~
それではここから各ポジション毎に今年度の戦力予想をしていきたいと思います。
フロントロー
<1番プロップ>
【本命】 松岡勇樹選手(2年・慶應義塾)
【対抗】 朝田将多選手(2年・国学院久我山)
【期待】 竹内寛選手(4年・慶應義塾)
まずは、昨シーズン全試合でスタメンを務めた有賀光生選手が卒業した”1番”。
今年このポジションの本命と見るのは、松岡勇樹選手(2年・慶應義塾)。
ルーキーとして迎えた昨季は、開幕節の青学大戦でいきなり対抗戦デビューを果たすと、その後も7試合中6試合でベンチ入り、さらにジュニア選手権でも3試合で”1番”を背負うなど、1年目からシニアレベルでのプレータイムを多く確保。
首脳陣の期待値の高さが見て取れます。
2018年度の塾高で主将を務め、昨年末には『U20日本代表候補』にも選ばれた慶應期待の左プロップ。
今季は有賀選手の穴を埋め、主力として”慶應スクラム”を担う活躍が期待されます。
そして松岡選手の”対抗”に挙げるのは、久我山中時代に全国大会(太陽生命カップ)で準優勝の経験を持つ朝田将多選手(2年・国学院久我山)。
高校時代はバックロー並みの走力と屈強なフィジカルで輝きを放ち、名門の”不動の1番”として2017年度の選抜&花園のベスト8へ貢献。
ラグビーマガジンが選出する『花園ベスト15』にも選出されました。
1年の浪人を経て入部した昨年は、対抗戦第4節の日体大戦でベンチ入りするも試合出場の機会はなく、現時点でシニアでの実績では松岡選手が一歩リード。
しかし、1年間のブランクというハンデが解ける今季は、朝田選手にもAチームでの出場機会を得るチャンスは十分あると個人的には見ています。
そして“期待する選手”に挙げるのは、竹内寛選手(4年・慶應義塾)。
神奈川県予選決勝で、後に花園でベスト4の成績を残す桐蔭学園相手に14-17と肉薄した『塾高2016年度組』。
この世代は、花園へ出場した2014年度の『黄金世代』と比較するとネームバリューでは劣りますが、LO相部選手、PR大山選手、No.8北村選手ら実力者が揃う豊作の年。
竹内選手はその主力メンバーの1人です。
大学ではここまで対抗戦での出場機会こそないものの、ジュニア戦でのプレータイムは得てきており、Aチームへ近い位置につけていることは間違いありません。
4年目でのレギュラー奪取へ。
ラストイヤーでの突き上げに期待しましょう。
<2番フッカー>
【本命】 原田衛選手(3年・桐蔭学園)
【対抗】 田中慶伸選手(3年・桐蔭学園)
【期待】 福澤慎太郎選手(1年・本郷)
このポジションは、2017年度の桐蔭学園で主将を務め、昨季、対抗戦全ての試合で”2番”を背負った原田衛選手(3年・桐蔭学園)が今年も本命と見ます。
原田衛(はらだまもる)HO/PR
桐蔭学園-慶應#高校ラグビー#大学ラグビー pic.twitter.com/Qk5tb7ZZmT— KOCKY.RUGBY (@toyrugby) May 11, 2020
抜群の機動力とフィジカルに卓越したリーダーシップを兼ね備え、『高校日本代表』『ジュニアジャパン』『U20日本代表』など各年代の代表を歴任し、今年の1月には大学生ながらサンウルブズの『トレーニングスコット』にも選出された世代最高峰のフロントロー。
3年生ながら”スクラムリーダー”へ就任した今季。
慶應のスクラムは今年もこの選手が軸となることは間違いないでしょう。
そして”対抗”と見るのは、田中慶伸選手(3年・桐蔭学園)。
高校時代は、同ポジション&同学年の原田選手と共に”高校日本代表候補”へ異例の同時選出。
この事実からも、いかに彼らが高いレベルで切磋琢磨してきたかを窺い知ることができます。
大学2年目の昨季は、対抗戦開幕節の青学大戦で”黒黄デビュー”を果たし、ジュニア選手権では4試合で”2番”を背負うなどシニアチームに定着。
果たして今年、チームの主力へ君臨する盟友・原田選手へ肉薄することが出来るか。
2人のライバル関係から目が離せません。
そして、”期待する選手”に挙げるのは、今年度注目ルーキーの1人・福澤慎太郎選手(1年・本郷)
本郷中で”全国大会準優勝”、本郷高では2年連続で”花園出場”を果たした『本郷黄金世代』の中心的存在。
フォワードながらバックス並みのハンドリングスキルを持ち、低い姿勢から防御網を突き破るボールキャリーは破壊力満点。
是非1年目からAチームへ絡む活躍を見せてほしいと思います。
<3番プロップ>
【本命】 大山祥平選手(4年・慶應義塾)
【対抗】 鈴木悠太選手(2年・慶應義塾)
【期待】 瀬田俊幸選手(4年・慶應志木)
このポジションは、昨シーズン対抗戦全ての試合で”3番”を背負った大山祥平選手(4年・慶應義塾)が今年も本命。
186㎝/110kgと国際規格のサイズを誇り、『ジュニアジャパン』『U20日本代表』として世界を経験。
その能力の高さから将来を嘱望されるこの選手は、今年も慶應にとっては欠かすことのできない戦力です。
”対抗”と見るのは、『ジュニアジャパン』『U20日本代表候補』にも名を連ね、昨季、成蹊大戦で対抗戦デビューを果たした鈴木悠太選手(2年・慶應義塾)。
そして”期待する選手”には、昨シーズン春先まではAチームとして試合へ出場し、今季ラストイヤーに懸ける瀬田俊幸選手(4年・慶應志木)を挙げたいと思います。
またこのポジションには、昨季”高校三冠”を達成した桐蔭学園で”不動の3番”として活躍した岡広将選手(1年・桐蔭学園)も加入。
ハイレベルなポジション争いが期待できそうですね。
セカンドロー
<4番ロック>
【本命】 相部開哉選手(4年・慶應義塾)
【対抗】
【期待】 篠原孝太選手(3年・慶應義塾)
続いてはロック。
まず”4番”の本命は、今季、蹴球部の『第121代主将』へ就任した相部開哉選手(4年・慶應義塾)。
ここは揺るぎがないところでしょう。
決して派手なプレーをするタイプではないながらも、チームのために身体を張れる高い献身性と低く突き刺さるタックルを武器に1年生から”黒黄ジャージ”に袖を通し、『ジュニアジャパン』『U20日本代表』として世界を舞台にも活躍してきた俊傑。
卒業後は一般企業へ就職するとのことで、トップレベルでのプレーは今年が最後。
『低く、鋭く、泥臭く』
”名門復活”は、今季135名の部員・スタッフを束ね、愚直に慶應ラグビーを体現し続ける”闘将”の双肩に掛かっています。
そして”期待する選手”に挙げるのは、塾高で2年生からスタメンを張り、1学年上の相部選手とコンビを組んだ経歴を持つ篠原孝太選手(3年・慶應義塾)。
昨季は春季大会の早稲田戦と帝京戦で”5番”をつけ先発出場を果たし、『U20日本代表』の一員として”2019オセアニアラグビーU20チャンピオンシップ”にも参加。
相部選手の後継者として、3年目での爆発に期待が高まります。
【本命】 今野勇久選手(2年・桐蔭学園)
【対抗】 池田勇希選手(4年・熊谷)
【期待】
続く”5番”。
ここは、昨シーズン、フォワードで唯一ルーキーとして対抗戦全試合に出場を果たした今野勇久選手(2年・桐蔭学園)が今年も本命。
178cmとロックとしては決してサイズは大柄ではないものの、”副将”を務めた桐蔭学園時代は、身体を張ったプレーでチームを花園準優勝へ導き、『U17日本代表』『高校日本代表』『U20日本代表候補』と各年代の代表にも名を連ねる希代のハードワーカー。
さらに驚かされたのは朝日新聞に寄稿されたというこの記事↓
たどり着いたラガーマンの涙
【2/1朝日新聞「声」若い世代】
桐蔭学園高校ラグビー部 前副将
今野勇久(高校日本代表候補)選手 pic.twitter.com/RCIVjpZUWN— なち💖はち (@anifalak3) February 2, 2019
高校生離れした文章力もさることながら、何より感銘を受けたのは、人の気持ちを汲み取れる感受性と仲間への思いやりに満ちたその人間性。
一人の大人として尊敬に値します。
『利他の心』を持つこの選手をあと3年見ることができることは、慶應ファンにとっては心強い限りでしょう。
そして”対抗”と見るのは、池田勇希選手(4年・熊谷)。
2年前まではCチームの試合などに出場していましたが、昨年はジュニア選手権で主力を張り、対抗戦でも4試合に出場するまでに台頭。
ラストイヤーでの定位置奪取へ。
今季に懸ける想いは強いはずです。
バックロー
<6番フランカー>
【本命】 濱野剛己選手(4年・桐蔭学園)
【対抗】 大谷 陸選手(4年・慶應義塾)
【期待】
続いてはフォワード第3列。
まずは、昨年まで川合秀和前副将が君臨してきた”6番”。
今年、このポジションの”本命”に推すのは濱野剛己選手(4年・桐蔭学園)です。
昨季はシーズン序盤こそ出番に恵まれなかったものの、対抗戦第5節の明治戦、第7節の帝京戦といった重要な試合で”8番”を任されるなど、終盤にそのポテンシャルの高さを遺憾なく発揮。
高校時代はディフェンスラインを司るセンターとしても活躍した選手らしく、対人プレーの強さとタックル強度は慶應バックローの中でも随一。
今年は川合前副将の穴を埋める存在として、シーズンを通してピッチに立つ姿を期待したいと想います。
そして”対抗”として挙げるのは、大谷 陸選手(4年・慶應義塾)。
<7番フランカー>
【本命】 山本 凱選手(3年・慶應義塾)
【対抗】
【期待】 福本航平選手(1年・常翔学園)
続く”7番”。
このポジションの本命は、山本 凱選手(3年・慶應義塾)。
この選手をおいて他にいません。
限られた推薦制度の面からもスター級の人材確保が難しいと言われる慶應にあって、唯一
”飛び抜けた存在”
として部内外からその実力を認められ、『U17日本代表』から『U20日本代表』まで、存在する年代別代表全てに名を連ねてきた世代最高峰のバックロー。
177㎝/92kgと決してサイズは大柄ではないものの、低い姿勢のまま相手をなぎ倒していくこの選手の破壊的なボールキャリーは一見の価値あり。
上級生となる今季は、慶應を背負って立つ存在として、そのプレーと声でチームを牽引してくれることでしょう。
そして”期待する選手”には、バックス並みのフィールドプレーと献身的なタックルで、昨冬花園で常翔学園のベスト4進出へ貢献した期待のルーキー・福本航平選手(1年・常翔学園)を挙げたいと思います。
<8番ナンバーエイト>
【本命】 アイザイア・マプスア選手(2年・キングスカレッジ)
【対抗】 北村裕輝選手(4年・慶應義塾)
【期待】
フォワードの最後を飾るのはナンバーエイト。
このポジションの”本命”には、慶應初の”外国人留学生”として昨年鳴り物入りで入部した、アイザイア・マプスア選手(2年・キングスカレッジ)を挙げたいと思います。
来日1年目の昨季は、アタックやボール争奪の局面で随所にポテンシャルの高さを見せつけるも、まだまだチームへ完全にフィットしているとは言えず、出場した試合(日体大/明治/早稲田戦)では全て苦杯をなめるという悔しい結果に。
伝統校としていち早く留学生の受入れへ着手した慶應の先進性に羨ましさを覚える一方で、
『たとえ圧倒的な”個”だとしても、チーム力へ昇華させることはやはり簡単な事ではない』
そのことを改めて感じさせられるシーズンでもありました。
とはいえ、優れた仕事人タイプの選手が揃う慶應にあって、”個”で違いを生み出せる選手が貴重な存在であることに疑いようはありません。
2年目の今季は、チームの主力としてさらに成長を遂げてくれることを期待すると同時に、彼らを生かす戦術を構築する栗原HCの手腕にも期待をしたいところです。
そしてマプスア選手の”対抗”と見るのは、北村裕輝選手(4年・慶應義塾)。
花園県予選決勝で桐蔭学園へ肉薄した『塾高2016年度組』の主将にして、”高校日本代表候補”にも選出された経歴を持つ逸材。
大学でも2年生の時に春季大会4試合&対抗戦2試合に出場するなど、早くから頭角を現わすも、昨年度は全てのカテゴリーで試合出場記録はなし。
怪我などのコンディション面について外部からは窺い知ることはできませんが、プレー面だけでなく卓越したリーダーシップも併せ持つ選手なだけに、ラストイヤーとなる今季は、元気な姿で再びピッチを躍動してくれることを期待したいと思います。
2020年度予想布陣
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
<バックス編はこちら↓>
<新入生情報2021↓>