2020年度シーズンへ向けた各大学の戦力予想。
新戦力を迎え入れ、新たなシーズンへ臨む各チームの戦力図と布陣はどのようになっているのか!?
例年よりも少々早い時期ですが、個人的な戦力予想をしてみたいと思います。
予想する方法は、”昨年までの活躍”、”Aチームへの絡み”、”今後の期待値”などを鑑みて、各ポジションの『本命』、『対抗』、『期待』選手を挙げ、最後に現時点での”予想布陣”を見ていきます。
※あくまで私個人としての意見です。
今回お送りするのも『慶應義塾大学』。
前回のフォワードに引き続き、今回はバックスの戦力を考えてみたいと思います。
それではいってみましょう。
フォワード編はこちら↓
【戦力予想2020】関東対抗戦A 慶應義塾大学蹴球部 ~FW編~
2019年度 基本布陣
今季の布陣を考える前に、まずは昨年度のメンバーを振り返ってみます。
※太字は4年生
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
SO古田京前主将、FB丹治辰碩選手ら塾高の『黄金世代』が卒業し、代交代が求められた昨シーズン。
1年生をスターターに起用するなど、3年生以下を中心としたフレッシュなメンバーでシーズンへ臨むも、対抗戦は3勝4敗の5位。
厳しい現実を突きつけられる結果となりました。
それでも、最終戦となった帝京大戦では、それまでのし掛かっていた重圧や鬱憤を吹き飛ばすかのように”黒黄ジャージ”がピッチを躍動。
”真紅の王者”から挙げた9年ぶりの勝利は、慶應の健在ぶりを印象づけるには十分な内容でした。
世代交代により多くの下級生がAチームでの経験を積み、充実の戦力で挑む今季は、誇り高き『黒黄軍団』の意地とプライドを取戻す重要なシーズンとなります。
2020年度戦力予想~バックス編~
それではここから各ポジション毎に今年度の戦力予想をしていきたいと思います。
ハーフバック
<9番スクラムハーフ>
【本命】 上村龍舞選手(4年・国学院栃木)
【対抗】 若林俊介選手(4年・慶應義塾)
【期待】 五藤隆嗣選手(2年・慶應義塾)
昨シーズンは、4年生の上村龍舞選手(国学院栃木)と3年生の若林俊介選手(慶應義塾)が、激しい定位置争いを繰り広げたこのポジション。
最終的に対抗戦で主に”9番”を付けたのは、ハーフからでもキックを多用する戦術にマッチした上村選手。
1年生の頃から“黒黄ジャージ”に袖を通し、対抗戦での出場経験も豊富だった若林選手にとっては、悔しさの残るシーズンだったであろうことは想像に難くありません。
最終学年となる今年はその悔しさを晴らす活躍を、、、
と考えていましたが、公式HPには今春卒業したはずの上村選手の名が記されています。
スタッフ(学生コーチ)か、選手か、上村選手が今年どちらの立場でチャレンジされるのかは現時点で定かでありませんが、もし”選手”ということであれば、”9番”の定位置争いが激化することは必至。
今季も高レベルの争いが繰り広げられることになりそうです。
そして”期待する選手”に挙げるのは、五藤隆嗣選手(2年・慶應義塾)。
昨季はルーキーながら、10月に行われた同志社との定期戦で”9番”を任され、対抗戦でもブースターとして2試合に出場するなど早くも台頭。
”次世代の慶應を担う存在”として、今年は上村選手、若林選手の争いに割って入る活躍が期待されます。
<10番スタンドオフ>
【本命】 中楠一期選手(2年・国学院久我山)
【対抗】
【期待】 三木海芽選手(1年・城東)
このポジションは、昨シーズン、ルーキーながら”黒黄の司令塔”として全試合で先発フル出場を果たした中楠一期選手(2年・国学院久我山)が今年も”本命”です。
高校時代は2年生で”10番”として花園ベスト8を経験し、3年時にはスタンドオフとして、花園を制した大阪桐蔭の高本幹也選手(帝京大2年)と共に『高校日本代表』へ選出された世代トップクラスの司令塔。
ルーキーとして臨んだ昨シーズンは、勝ち運にこそ恵まれなかったものの、距離の出る正確なキックと長短織り交ぜた巧みなパスワークで慶應のアタックを牽引。
中でも、早稲田の誇る”希代のゲームメーカー”岸岡智樹選手(現/クボタ)とのマッチアップで堂々と渡り合った早慶戦は見応え十分でした。
大舞台でも物怖じしない強心臓ぶりも大器の証。
2年目となる今季は、”不動の司令塔”として慶應を勝利に導く働きを期待したいところです。
そして個人的に”期待する選手”に挙げるのは、三木海芽選手(1年・城東)。
昨年度の選抜大会で、登録人数17名という少数部隊ながら、塾高(〇21-15)、札幌山の手(〇28-22)といった名門校を次々に撃破し、県勢初の”選抜2勝”という快挙を成し遂げた徳島の公立校・城東高校。
”高校日本代表候補”SH遠藤岳歩選手(近大1年)、”ハードタックラー”FL伊藤優汰選手(立命大1年)らを擁し”黄金世代”と評されたチームを、主将として、司令塔として牽引したのがこの三木選手。
文武両道を貫き、現役で慶應進学を掴み取ったその才幹は、『公立の星』と呼ぶに相応しい。
是非1年目からAチームへ絡む活躍を見せてほしいと思います。
センター
<12番センター>
【本命】 イサコ・エノサ選手(2年・キングスカレッジ)
【対抗】 鎌形正汰選手(4年・慶應義塾)
【期待】 野畠諒也選手(3年・慶應義塾)
続いてはセンター。
まず”12番”の本命に挙げるのは、慶應初の外国人留学生として昨年話題になったイサコ・エノサ選手(キングスカレッジ)。
対抗戦デビューとなった昨季の日体大戦では、開始4分でいきなり初トライを奪うなど大器の片鱗を窺わせるプレーを披露するも、とりわけデイフェンス面においては連携不足が否めない、というのが正直な印象でした。
ただ、エノサ選手とLOマプスア選手が入部したのは、昨シーズン開幕後の9月。
昨季のプレーを見ただけで、その是非を議論するのは早計でしょう。
現時点で確実に言えるのは、栗原由太前主将(現/リコー)が抜けた慶應バックス陣において、”フィジカル”で局面を打開できる選手の存在はやはり貴重であるということ。
今年はバックスの”核”として、シーズンを通した活躍が期待される選手の1人でしょう。
そして”対抗”と見るのは、今季の中心となる『塾高2016年度組』の1人・鎌形正汰選手(4年・慶應義塾)。
昨シーズンは春季大会3試合で”10番”を務め、対抗戦の帝京戦では栗原前主将を抑えスターターに名を連ねるなど、3年目で主力へ定着。
正直、帝京戦を見る限り鎌形選手と三木選手が形成するセンターコンビの方が、安定感という面でもよりチームとして機能しているのではないか、と感じている自分もいます。
ゲームメーカーとしてもインサイドセンターとしても高い能力を持つ同選手。
ラストイヤーとして迎える今季。
エノサ選手という強力なライバルが存在するとはいえ、まざまざとスタメンを明け渡すわけにはいかないでしょう。
そして”期待する選手”に挙げるのは、昨年の春季大会東海大戦で”12番”を背負った野畠諒也選手(3年・慶應義塾)。
高校時代は、精度の高いキックを武器に2年生から正フルバックとして選抜大会へ出場し、3年時には主将を務めた経歴を持つ選手。
3年目での爆発に期待をしたいところです。
【本命】 三木亮弥選手(4年・京都成章)
【対抗】 菅 涼介選手(3年・慶應義塾)
【期待】 永山 淳選手(1年・国学院久我山)
”13番”の本命に挙げるのは三木亮弥選手(4年・京都成章)。
ここは揺るぎがないところでしょう。
2017年度の花園準々決勝で、その年”高校三冠”を達成した東福岡を最後まで追い詰めた京都成章の主将。
171cm/81kgのサイズからは想像できないほどの激しいタックルと、防御網を切り裂く鋭いアングルチェンジを武器に、2年生から主力として”黒黄ジャージ”に袖を通してきた逸材。
メンバーの入れ替えが激しかった昨季のバックス陣にあって、日体大戦を除く6試合でスターターを務めるなどフィジカル&メンタル面共に安定感抜群。
第121代の”副将”へ就任した今年は、名実ともに”リーダー”としてバックス陣を牽引する活躍が求められます。
そして”対抗”と見るのは、2018年に『男子セブンズユース日本代表』として、ユースオリンピックで日本の銅メダル獲得へ貢献した菅 涼介選手(3年・慶應義塾)。
このような実績を持つ選手でも、容易にスターターの座を掴むことのできない慶應というチーム。
やはりいい選手は揃っています。
まだ実際にそのプレーを見たことはありませんが、今年”黒黄ジャージ”を着てプレーする姿を見たい選手の1人です。
そして”期待する選手”に挙げるのは、永山 淳選手(1年・国学院久我山)。
188cm/92kgと国際規格のサイズで『U17日本代表』『高校日本代表』を歴任し、昨年『U20日本代表候補』へ高校生として飛び級で選出された実績を持つ俊傑。
その活躍の場はラグビーの域だけにとどまりません↓
<ESC Academy>
ユース世代アスリートのさらなる競技力向上と人材育成のため、現役大学生が運営するプロジェクト。1人1人の選手が持つ 「可能性」を最大限に引き出すため、次世代を担う選手たちに様々なコンテンツを提供します。
永山選手はこの素晴らしいプロジェクトを立ち上げた張本人。
将来を見据えた明確なビジョン、そしてそれを行動に移す実行力。
見事としか言いようがありません。
競技の面でも、既に春からAチーム入りを果たしているとメディアでも報じられており、1年目からスターターに名を連ねる可能性も十分。
ここからの4年間が非常に楽しみな選手です。
バックスリー
<11番ウィング>
【本命】 佐々木隼選手(2年・桐蔭学園)
【対抗】 鬼木 崇選手(2年・修猷館)
【期待】 辻田拓史選手(2年・慶應義塾)
続いてはバックスリー。
まず”11番”の本命に推すのは、佐々木隼選手(2年・桐蔭学園)。
昨年はルーキーながらBチームの試合で信頼を獲得し、対抗戦では早慶戦、帝京戦といった重要なゲームで”11番”を任されるなどAチームへ定着。
2018年度の花園で、チーム最多の”9トライ”を記録し準優勝へ導いたその決定力はやはり伊達ではありません。
有望選手が集うこの激戦区で、今年も確固たる地位を築くことができるか。
注目です。
そして宮本選手の”対抗”と見るのは、鬼木 崇選手(2年・修猷館)。
抜群のボディバランスとキレキレのステップを武器に、昨シーズンは対抗戦の日体大戦で先発デビューを果たすなど、1年目から強烈なインパクトを残した逸材。
元々高校時代はスタンドオフやセンターとしてアタックに”違い”を生み出せるプレーヤーだっただけに、インサイドでもボールを持てるこの選手はやはり希少な存在。
同学年の佐々木選手とのポジション争いは、昨年以上に白熱したものになりそうです。
そして”期待する選手”に挙げるのは、辻田拓史選手(2年・慶應義塾)。
1年目の昨季は主にBチームで研鑽を積み、筑波大とのジュニア選手権の入替戦では、自慢のランが冴え渡り3トライと大爆発。
昨年末にはセンターとして『U20日本代表候補』にも選出されるなど、躍進目覚ましい今年の注目株。
2年目の今季、大爆発の予感が漂います。
<14番ウィング>
【本命】 宮本恭右選手(4年・慶應義塾)
【対抗】 沖 洸成選手(4年・尾道)
【期待】 髙武俊輔選手(2年・尾道)
14番の”本命”に挙げるのは、やはり宮本恭右選手(4年・慶應義塾)。
塾高時代はスクラムハーフとして攻撃陣をリードする立場でしたが、大学ではウィングとして1年生から”黒黄ジャージ”に袖を通すなど、フィニッシャーとしてもその能力を遺憾なく発揮。
ただこの選手の真骨頂はやはりディフェンス面。
抜群の読みから低く鋭く突き刺さるタックルは強烈の一言。
昨シーズンもロックオンした相手を幾度もその牙の餌食にしてきました。
黒黄のDNAを受継ぎ、魂のタックルを体現し続ける生粋のファイター。
今年もこの選手は欠かすことが出来ません。
そして宮本選手の”対抗”と見るのは、名門・尾道で1年生から花園を経験した沖 洸成選手(4年・尾道)。
昨シーズンは、対抗戦終盤の4試合にフルバックとして先発に名を連ねるなど、黒黄の”最後の砦”へ君臨。
今年はバックスのどのポジションで起用されることになるのかは分かりませんが、個人的にはこの選手の決定力は是非ウィングで、と考えています。
いずれにしても、今年もAチームへ絡んでくる選手であることは間違いないでしょう。
そして”期待する選手”に挙げるのは、髙武俊輔選手(2年・尾道)。
尾道では2年生までNo.8、主将を務めた3年生時はフルバックとして活躍し、『U17日本代表』『高校日本代表』にも名を連ねた世代屈指のオールラウンダー。
ルーキーイヤーとして臨んだ昨季は、夏合宿までAチームの試合へ出場するなど早くから頭角を現わすも、9月以降の試合出場記録は0。
恐らく怪我などコンディション面に要因があったと予想されますが、この選手の持つスケールの大きいランプレー、正確なオフロードパスは慶應にとって大きな武器となることは間違いなく、個人的には丹治選手(現/パナソニック)のように、”個”で違いを生み出せる能力を備えた選手だと見ています。
今年はシーズンを通してピッチを躍動する姿を是非期待したいところです。
<15番フルバック>
【本命】 山田 響選手(1年・報徳学園)
【対抗】 小谷田尚紀選手(4年・慶應志木)
【期待】 行徳冠生選手(1年・東福岡)
ラストを飾るフルバック。
ここは迷いなく山田 響選手(1年・報徳学園)を本命に推します。
高2の時に飛び級で『高校日本代表』に選出され、『セブンズユース日本代表』としても世界を経験した世代最高峰のスピードスター。
山田響(やまだひびき)FB
報徳学園(兵庫)#高校ラグビー#大学ラグビー pic.twitter.com/xrWPU8WkxO— KOCKY.RUGBY (@toyrugby) March 23, 2020
正直”モノ”が違います。。。
栗原HCから
『チームの中心になってくれないと...』
と、早くも”エース指名”を受けるのもその能力の高さ故。
将来の慶應を背負って立つスーパーエースとして、その成長に期待が高まります。
そして”対抗”と見るのは、小谷田尚紀選手(4年・慶應志木)。
昨季は、対抗戦の開幕から3試合でスターターへ名を連ねるも、その後はAチームでの出場はないままシーズンを終えるという無念を経験しました。
”付属校”慶應志木で主将経験を持つ熱き闘将。
ラストイヤーでの巻き返しへ。
今季へ懸ける想いは人一倍強いはずです。
そして”期待する選手”に挙げるのは、ヒガシのエースナンバー”15番”を背負って、昨シーズンの花園でも躍動した行徳冠生選手(1年・東福岡)。
2020年度予想布陣
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
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