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こんにちはなんくるナイトです。

 

最近仕事が忙しく更新が滞ってしまいました。。

1月21日(土)に行われた日本選手権。来季から大学枠が撤廃された事により、今回の帝京大学が大学勢としては実質最後のトップリーグ勢への挑戦となりました。

私個人としては致し方ないという思いと、これしか方法はなかったのか!?という思いが交錯しています。

今日はこれまでの日本選手権の歴史を見て行きながら、先日決定した来季からの大会方式関して考えてみたいと思います。

 

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日本選手権の歴史

真の日本一を決める一発勝負

今年で54回を数える日本選手権は社会人の優勝チームと大学の優勝チームが一発勝負で日本一を決める大会として古くから親しまれてきた。

1ゲーム制で行われた第1回から第15回大会までは社会人9勝、大学6勝と力関係はほぼ拮抗していたが(第7回~9回は大学勢の3連勝という時代もあった)、しかしその後、新日鉄釜石、神戸製鋼の7連覇などが示す通り社会人勢が大学勢を圧倒。

それでも新日鉄釜石7連覇時代はゲーム自体は競った内容が多く、釜石松尾雄二、同志社平尾誠二の日本代表の”新旧SO対決”など今でもファンの間で語り草の伝説の試合もあり、真の日本一を決定する大会として多くのラグビーファンを魅了してきた。

しかし、神戸製鋼7連覇の時代に入ると、学生ラグビーのスター選手たちが続々と神戸へ集結し、また助っ人外国人選手の登場などで、その実力差は拡大。7連覇を達成した32回大会(1994年)には大東大を相手に102-14とついに100点を超えるゲームが発生し、この大会自体の意義が問われる事になった。

結局、1発勝負制が最後の年となった第34回大会(1996年)までの戦績は、社会人26勝、大学8勝と社会人が圧倒。最後に大学勢が勝ったのは第25回大会(1987年)の早稲田(22-16東芝府中)まで遡るほどになった。

トーナメント制の導入

1発勝負が廃止となった1997年は出場枠が拡大され社会人の上位3チームと大学上位2校のトーナメント制が導入された。

そしてその後も出場チーム数、対象リーグ拡大など毎年のように大会方式を変えていき、トップリーグが発足した2003年度シーズンにはトップリーグ、大学、トップリーグ下部リーグ、クラブチームなどから全22チームが参加するなど、サッカーでいうところの天皇杯のように裾野を広げた。

しかし、トーナメント制を導入し、トップリーグ勢が複数参加できる環境を作った事で、大学勢が勝ち進んで決勝に進むような事は一度もなく、W杯準備のために、再びトップリーグ優勝チームと大学優勝チームの一発勝負に戻された2015年以外は、全てトップリーグ勢同士の決勝戦となっている。

トップリーグと日本選手権の価値はどっちが上?

そこで問題となるのが約4か月にかけて行われるリーグ戦とトーナメント戦で行われる日本選手権の優勝の価値だ。

トップリーグ優勝チームが日本選手権も制し、二冠を達成したときは分かりやすくていい。しかし、トップリーグ発足の2003年から2014年までの全12回の大会のうち、単独優勝として二冠を達成したチームは4度しかない。(※2005年度は東芝(1位)、NEC(3位)の同点優勝のためカウントに含めず)

実に半分以上はトップリーグ1位以外のチームが優勝しているのだ。

これにはリーグとトーナメントで戦い方に違いがあるという事が一つ、そしてリーグ戦で負けたチームがどうしても勝利に対するモチベーションを維持しやすいというメンタルの部分も大きいだろう。

さらに、トップリーグでプレーオフが導入されていた時代には、プレーオフの顔ぶれがそのまま日本選手権のベスト4の顔ぶれといったように、わずかの期間の間に2度も同じ顔ぶれでトーナメントが行われるのだ。(準決勝のカード自体はお互いが被らないように工夫はされていたが。)

これではどっちのチームが本当に強いチームなのか、”興味”、”価値”という点から考えても見る者を惹きつける”ストーリー”が生まれにくいのは事実ではないだろうか。

実際、準決勝でトップリーグ1位チームが敗れた時の決勝戦はどっちが勝ったとしても、どこか”腑に落ちない”シーズンとして私の中にも記憶されているように思う。

2017年度の大会方式

日本選手権兼トップリーグプレーオフ

そしてそんな中、今年1月18日に日本ラグビー協会理事会において来季の日本選手権の大会方式が以下の通り正式決定した。

日本ラグビー協会は都内で理事会を開き、来年度以降の日本選手権から大学勢の出場枠を撤廃することを正式決定した。第1回大会から54回続く「社会人(トップリーグ)対大学」の枠組みは、今年度をもって終止符を打つことになる。

撤廃理由は国内シーズン終了から日本が昨シーズンから参入したスーパーラグビー(SR)開幕までの期間を増やし、トップ選手の負担を軽減して19年W杯での結果につなげるため。19年度以降の大学枠復活を問われた日本協会の坂本典幸専務理事は「原則的にはない」とし、大学世代の強化についてはトップリーグへの二重登録などを模索していく方針を示した。

来季のトップリーグは、各チーム13試合のレギュラーシーズンを年内に行い、年明けに各2試合の順位決定トーナメントを行う。最上位4チームによるプレーオフは、日本選手権を兼ねることになる。 (出典:Sponichi Annex)

まずプレーオフ制に対して個人の意見を述べさせて頂ければ、1リーグ制におけるプレーオフの導入は正直賛成ではない。プレーオフ制というのは米4大リーグ(MLB、NFL、NBA、NHL)に代表されるように複数リーグ制の中で、レギュラーシーズン後に各リーグの上位陣同士が戦う事にこそ魅力が感じられるものだと思う。

プロ野球のクライマックスシリーズしかり、Jリーグのチャンピオンシップのように同一リーグ制のもとでプレーオフを実施すると、どうしてもリーグ戦自体の意味と価値が薄れてしまうような気がしてならない。

しかし、トップリーグと日本選手権という異なる大会がもともと並立するラグビー界においては、日本選手権をトップリーグプレーオフを兼ねた大会とする事には賛成だ。

理由は既に上に書いたためここでは割愛するが、この変更により少なくとも見ているファン、伝えるメディアにとっては、より分かりやすい大会方式になったというのが率直な感想だ。

スーパーラグビーサンウルブズに参加するトップ選手の負担軽減を目的としたシーズン期間の短縮も、自国開催の2019年W杯に向けた”代表強化”の意味では納得である。

大学枠撤廃の意義は?

問題はこの決定だろう。

近年の力関係を見れば、大学が本当の意味でトップリーグ上位勢を倒したのは2006年度の早稲田佐々木組がトップリーグ4位のトヨタ自動車を倒したあの”伝説”の試合のみだ。

(※2014年度に帝京がNECを破ったがNECはその年トップリーグでは10位と低迷していたためここでは省く。)

いつの時代も弱者が強者を撃破する瞬間はたまらない興奮を与えてくれるが、トップリーグと大学の力の差拡大に歯止めがきかない現状では、本気で”打倒トップリーグ”を目標に置いているのは絶対王者帝京大学のみ。既に大学界において敵なしと孤高の存在になりつつある帝京が8連覇の偉業を達成した背景に、日本選手権でトップリーグ勢に挑戦できる舞台があった事は間違いないだろう。

先週行われた今年の日本選手権準決勝でトップリーグ王者サントリーに大健闘(29-54で敗戦も、前半は21-21と互角の戦いを演じた)した事からもその実力は疑いようがない。

しかし、現行のように大学王者がトップリーグ”王者”に挑むような大会方式であれば、正直勝敗は既に見えているし、実施自体の意義が問われるのは致し方ないようにも思う。大学勢とは異なりトップリーグ勢にとってはタイトで激しいリーグ戦を終えた後の試合としては、あまりにも得るものが少ないと感じるからだ。怪我のリスクは常につきまとうし、勝敗に関しても、勝って当たり前、苦戦したらだらしないと言われ、負けようもんならそれこそ大事件だ。

ただ、ラグビー界全体のボトムアップ、競技人口拡大を考えるならいささかこの決定は乱暴なようにも映る。これまでのラグビー人気を支えてきた大学ラグビーを排除し、トップチーム、トップ選手のみを強化するという指針は”2019年W杯での成功”という狭い視野で考えたら効果的かもしれないが、”ラグビー界の継続的発展”という観点から見ると逆行しているよう気がしてならない。

もちろん、W杯の成功が一時的でも”時のスポーツ”となるほどセンセーショナルを巻き起こすことは、日本代表が大躍進を遂げた2015年W杯が証明しているのも事実だ。自国開催であればその効果は計り知れない。内容、結果によっては一気にメジャースポーツの仲間入りを果たす可能性もある。

しかし国内シーズンの”期間短縮”を名目に大学勢の出場権撤廃を決定するのであれば、大学のリーグ戦期間短縮を同時に考えてみても良かったのではないだろうか。大学リーグはトップリーグと違い試合数も少なく、シーズン中毎週ゲームが組まれるという事はない。

大学選手権の開催時期が制限されている理由に早慶戦(11月23日)、早明戦(12月1週目日曜)など日程が固定化されている伝統の一戦が挙げられる。観客動員数から見ても、これらの試合は今でもラグビー界を代表する花形カードだが、近年の選手権での成績から考えると、その人気に実力が追いついてきていないと言わざるを得ないだろう。

NHKの放映権、学内行事などクリアすべき事情は色々あると思うが、既に形骸化している日程を変更するなどの抜本的改革も併せて検討しても良かったのではないかと思う。

個人的には一つの試合後、長いときで2、3週間空くような現行のリーグ日程よりも、毎週又は隔週でも応援する大学が試合をやってくれる方が短期集中でシーズンを楽しめるし、早稲田、慶應、明治などの対抗戦伝統校勢もリーグ戦グループのように前年度の順位によって毎年、対戦順が変わっていくのもおもしろいと思っている。

さらに大学勢の出場権撤廃の救済措置として協会が検討している「二重登録」案は、今季トップリーグパナソニックを主戦場とし大学レベルの試合に出場しなかった山沢拓也選手(筑波大4年)が見本を示した形だが(現行は二重登録は認められていない)、大学生がトップリーグでポジションを確保するためにはフィジカル、戦術理解度のハンデを補うために、常時チーム練習に参加する事が求められるだろうし、大学側としても、普段チームに帯同していない選手を能力だけで試合に起用する事にはネガティブなのではないだろうか。

スーパーラグビーのようにそもそもシーズン期間が異なるならまだしも、同時期シーズンでの二重登録は現実的ではなく、その登録人数が今後増えてくるようだと、この措置自体が大学ラグビー界からの人材流出、引いてはレベルの低下を招く気がしてならない。

”トップリーグと大学ラグビーの共存”

一度下した決定を覆す事は簡単ではないとは思うが、大学ラグビーファンのためにも是非この視点での改革を期待したい。

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