4月に選抜大会が終わったのも束の間、高校ラガーには次なる戦いが待ち受けています。
それがサニックスワールドユース。
高校世代で国代表ではなく学校別に雌雄を決する唯一の国際大会です。
今回で18回目を数えるこの大会ですが、日本チームが過去に栄冠を勝ち取った事は一度もありません。
しかし、去年東福岡が準優勝。
”ヒガシ”は今年も圧倒的な戦力を有しており、更に選抜優勝校桐蔭学園も対抗馬として突出した力を持っています。
この2校を中心とした日本勢の初優勝はあるのか!?
激闘の軌跡を追って行きます。
サニックスワールドユース2017
参加校
【日本勢】
<前年度花園ベスト4>
東福岡(福岡) 東海大仰星(大阪)
御所実(奈良) 桐蔭学園(神奈川)
<予選会優勝チーム>
東海大相模(神奈川)
※予選会の結果はこちら⇒サニックスワールドユース2017予選会
<九州ラグビー協会推薦チーム>
大阪桐蔭(大阪) 石見智翠館(島根) 佐賀工(佐賀)
【海外勢】※各国協会推薦チーム
マウントアルバート グラマースクール(ニュージーランド)
リセ ボルデバッス(フランス)
ヘンリー カレッジ(イングランド)
ジエングオ ハイスクール(台湾)
クイーンヴィクトリア スクール(フィジー)
プチョンブク ハイスクール(韓国)
エニセイ-STM(ロシア)
フレイムズビー ハイスクール(南アフリカ)
予選リーグ
<プールA> | |
東福岡(福岡) | 東海大相模(神奈川) |
リセ ボルデバッス(フランス) | ブチョンブク(韓国) |
<第1節>
<第2節>
東福岡 ●20-25○ リセ ボルデバッス
東海大相模 ○61-0● プチョンブク
<第3節>
<最終順位>
東福岡はフランスのリセボルデバッスに惜しくも敗れるも、2勝1敗と2位で予選リーグを突破。
今年1月に行われた予選会を優勝して参戦した東海大相模はリセ、東福岡とも互角に渡り合っており、選抜大会での活躍も含め今季の充実が伺えます。
惜しくも予選リーグ突破はなりませんでしたが、冬に向けて楽しみなチームですね。
<プールB> | |
桐蔭学園(神奈川) | 佐賀工(佐賀) |
マウントアルバート(NZ) | エニセイSTM(ロシア) |
<第1節>
マウントアルバート ○38-21● 佐賀工
桐蔭学園 ○28-14● エニセイ-STM
<第2節>
桐蔭学園 ○17-13● マウントアルバート
佐賀工 △12-12△ エニセイ-STM
<第3節>
桐蔭学園 ○42-20● 佐賀工
<最終順位>
今年は久しぶりに全国上位に絡んでくるのではないでしょうか。
<プールC> | |
東海大仰星(大阪) | 石見智翆館(島根) |
ヘンリーカレッジ(ENG) | クイーンヴィクトリア(フィジー) |
<第1節>
ヘンリー カレッジ ○57-14● 石見智翠館
東海大仰星 △12-12△ クイーンヴィクトリア
<第2節>
東海大仰星 ○43-7● ヘンリー カレッジ
石見智翠館 ●5-24○ クイーンヴィクトリア
<第3節>
<最終順位>
前述の通り、選抜大会で佐賀工の前に敗れ予選リーグ敗退という屈辱を味わった、昨年花園準優勝校東海大仰星。
復活を期す今大会ですが、しっかり立て直してきましたね。
クイーンヴィクトリアとは引分けるもイングランドのヘンリー、選抜大会ベスト4の石見智翆館には危なげなく勝利を収め1位通過。復活を印象付けました。
<プールD> | |
御所実(奈良) | 大阪桐蔭(大阪) |
フレイブズミー(南ア) | ジエングオ(台湾) |
<第1節>
大阪桐蔭 ○17-5● フレイムズビー
御所実 ○28-5● ジエングオ
<第2節>
御所実業 ●7-35○ フレイブズミー
大阪桐蔭 ○39-14● ジエングオ
<第3節>
大阪桐蔭 ○17-15● 御所実
<最終順位>
選抜大会ベスト4の大阪桐蔭が前評判通りの戦いぶりで見事3戦全勝の1位通過。
最終節での御所実とのカードは近畿大会、選抜大会で見れなかっただけに白熱しましたね。
近畿大会1回戦で仰星に敗れ、選抜大会への出場が絶たれた御所実ですが、今年もいいチームです。
準々決勝
ヨーロッパ対南半球の激突、ワクワクする一戦でしたが、見ていて強く印象に残ったのは高校にもその国の特色が表れるという事ですね。
ボルデバッスはキックパス、ライン展開など多彩な攻め方を見せる一方、フレイムズビーの方はとにかくフィジカル勝負。
まさにフランス対南アフリカのテストマッチを見ているような構図でした。
日本では高校別で見ても色々な特色のあるチームが多いので、こうまで国のカラーが表れるのは非常に興味深かったです。
一方のフィジーはレフェリングに対応できずイライラが募って不用意なペナルティから自滅してしまった印象です。
他の試合と異なりこの試合が日本人レフェリーだった事がコミュニケーションも含め不利に働いてしまった部分はあったかもしれませんが、そこはコントロールして試合に集中してほしかったですね。
ただ、レフェリングに関しては、”アウェイの洗礼”とは言え、国際試合の開催国として相手チームへしっかりとコミュニケーションを取る語学力、ヒートアップした試合を落ち着かせるコントロール能力もレフェリーには求められる要素だと思います。
そうでなければ来ようと思ってくれる外国チームがいなくなってしまいますよね。
<第3試合>
東海大仰星(大阪) ●19-33○ マウントアルバート(NZ)
前半に2トライを連取し、好調なスタートを切った仰星でしたが、マウントアルバートの多彩な攻めにディフェンスが崩壊し、惜しくもベスト4進出を逃しました。
しかし、NZ勢は会場の雰囲気を作るのがうまいですね。
同校女子チームの存在があったとは言え、一つのタックル、ラインブレイクの度に大歓声が沸き、声援だけで会場をホームのような雰囲気にしてしまいました。
序盤は仰星にいいようにやられていた選手たちもその声援に乗せられるかのように、のびのびと思い切ったプレーをし始めます。
そして勢いに乗るとニュージーランド人はもう止められません。
仰星はディフェンスラインとフルバックの間に落とすキックと信じられない体制から繰り出すオフロードになかなか対応が出来ませんでした。
日本の高校レベルでこうまでこの種のキックを多用してくるチームやオフロードの技術を持ったチームはなく、日頃からそれを想定した練習は積んでないはずなので、致し方ない部分もあるかもしれません。
逆にこれが国際試合を経験する醍醐味とも言えますね。
しかし、フィジカルの部分ではNZ王者と互角に渡り合い、昨年から取り組んでいる直線的アタックでトライを取るなど、通用する部分も多く見られました。
選抜大会で佐賀工に敗れたショックは大きかったと思いますが、しっかり立て直してきましたね。
ここで得た自信を胸に冬に向けてさらにいいチームを作ってほしいと思います。
<第4試合>
U18の8人が戻ってきた”ヒガシ”はここまで強いのか。。。
相手は選抜大会ベスト4の大阪桐蔭ですよ。それがここまで圧倒されるとは、、、
No.8福井翔大、SO丸山凜太郎、WTB稲吉渓太、U18国際大会を3位という好成績を収めて帰還したU18日本代表の主力メンバーです。
彼らを中心としたオフェンスはスピード、フィジカル、技術面共に高校レベルではなく、大阪桐蔭のディフェンス網を次々と打ち破りました。
後半は大幅にメンバーを入れ替えましたが、U18組の不在を埋めた選抜大会での経験もあり、チーム力は落ちません。
しっかりトライを重ね強豪大阪桐蔭に対し大差のゲームを演出しました。
ただ、モールのディフェンスはあまり練習をしてない印象です。
今日の大阪桐蔭、そして昨年度の花園でも御所実に相当やられていましたので、ここが冬に向けた課題となりそうです。
大阪桐蔭にとってはこの敗戦はショッキングでしょう。
毎年前評判どまりでなかなか結果を残せていないだけに、夏冬に向けてここからの奮起を期待したいです。
準々決勝の結果、桐蔭学園、東福岡と日本チームが2校ベスト4に進出しました。
日本勢悲願の初優勝へ向けて、上るべき階段はあと2つです!
準決勝
<第1試合>
ボルデバッス(フランス) ○12-11● 桐蔭学園(神奈川)
<第2試合>
マウントアルバート(NZ) ○27-12● 東福岡(福岡)