日本代表のルーマニア、アイルランド戦、B&IライオンズのNZ遠征、南北列強のテストマッチなど、ラグビー満載の6月。
本格シーズンを迎える前に、ラグビー三昧の日々を送る事が出来るのは、ファンにとってはたまらないですね。
そして、大学ラグビーも負けていません。
激戦が繰り広げられている春季大会、今週は早明が揃って登場しました。
早稲田は“王者“帝京、明治は大東大とそれぞれ対戦しました。
タップできる目次
Aグループ 帝京大学ー早稲田大学
試合結果
<6月11日(日)>
帝京大○ | 35 - 14 | ●早稲田大 |
出場選手
青字:キャプテン
点差は縮まったが、、、
試合序盤は早稲田がCTB中野将伍選手、WTB中野厳選手らのゲインなどでペースを掴み、帝京ゴール前まで深く攻め込む。
しかし、後一歩のところでハンドリングミスをすると、そこから一気に帝京のカウンターを食らい、WTB竹山選手に先制トライを許す。
さらに、この日も“ノーフッキング戦略”で帝京相手にスクラム勝負を挑むも、押し込むどころか、逆に押し返され、ペナルティを取られるなど波に乗り切れないまま、ハンドリングミス、ドライビングモールなどを起点に3トライを追加され前半を終える。(28-0)
後半に入り、13分にFL加藤主将のインターセプトからの独走トライでようやく初スコアに成功し、29分には見事なライン攻撃からFB桑山選手がトライを奪い一矢報いるも、この後もスクラムでのターンオーバー、ゴール前でのラインアウトミスなどを連発し敢え無くノーサイド。
最終スコアは35-14と近年の帝京との対戦の中では最も競った点差となったが、内容はほぼ完敗に近く、日本一奪回までの道のりの長さが改めて浮き彫りになる結果となった。
王者との差とゲームプラン
早稲田はこの日、FBに横山選手ではなくフィジカルランナーである桑山聖生選手が入った事により、キック合戦ではなく展開ラグビーに持ち込もうという意図だったように思います。
WTB竹山選手、FB尾嵜選手がキックからのカウンターに優れ、帝京というチーム自体がアンストラクチャーからの攻めに強みを持っている事から、この戦略は間違っていなかったと言えるでしょう。
実際、むやみなキックで相手にボールを渡す事も少なく、戦前予想していたよりもマイボールを持つ時間帯も多かった印象でした。
特に前半は要のチームディフェンス、ブレイクダウンでも果敢にファイトしており、ダブルタックルから幾度もターンオーバーを奪うなど、本来目指すべきゲームプラン通りに運べている部分も多くありました。
ただ、試合を通じてのスクラムとラインアウトの劣勢は気がかりです。
特にラインアウトは頂けません。後半60分、67分、そして76分と相手陣深く攻め込んでのマイボールラインアウトで全てミス。
ロースコアの戦いに持込む事に成功し、ここで1本でもトライが奪えていれば、もう少し帝京を本気にさせる事が出来たところだっただけに、見ていてもどかしさとため息ばかりが漏れる結果となってしまいました。
そしてスクラム。
この日“ノーフッキング戦略”で何本のマイボールを失ったのでしょうか。。。
帝京相手に自分たちの“強みのスクラム”の現在地を知る為に敢えて挑んだという事だとは思います。
ただ、試合中に押せないと分かった段階で、戦略を変えればいいし、最低限マイボールの確保だけは出来るように試合中に修正をする事は必要なのではないでしょうか。
実際、後半にはフッキングをする場面があったり、ノーフッキングでいったりと試合を通じて、何かちぐはぐで統一されていない印象を受けてしまいました。
この春季大会を「“スクラム強化”に最も重点を置いている」、というのであればもちろん理解はします。
しかし、「自分たちの強みを出して“全ての試合で勝ちにこだわる”」事が春シーズン前の方針だったはず。
その意味ではプランを変更してでも勝利へこだわる姿を最後まで見出す事が出来なかったのは残念でした。
随所には光るプレーも
しかし個人で見ると、この日はキックオフ、ハイパント、タッチキックなど主にキックで出色の出来を見せたSO岸岡選手、後半にトライを挙げるだけでなく、再三にわたりビッグゲインを連発したFB桑山選手、厳しいマークに遭いながらも果敢な縦突進でフィジカルの違いを見せつけたCTB中野選手など、帝京相手でもやれる手応えを得た選手も多かったのではないでしょうか。
セットプレー含め、ゴール前での精度の部分はまだまだ帝京に及ばないまでも、そこに磨きをかければ得点力は確実に上がってくるでしょう。
ディフェンス面でもこの日はダブルタックルが決まり、ブレイクダウンでしっかりファイトするなど気迫を見せ、課題のラインディフェンスでも、この日はタレントの揃う帝京バックス相手にアンストラクチャーの局面以外ではよく抑える事が出来ていました。
帝京もまだまだフルメンバーではないので、この時期の結果は参考程度にしかなりませんが、Bグループに回った昨年とは違い、この時期に公式戦で王者と体をぶつけ合う事が出来たのは、今後に向け大きな経験となったはずです。
次週最終戦の相手は“永遠のライバル”明治。
前節帝京フォワードをスクラムで粉砕するなど、“重戦車”復活の兆しを見せるフォワードが相手という事で、この日以上にスクラムでの苦戦は必至です。
強みを消された時にどのような戦い方を見せるか、ゲームプランも含め注目の"春早明"になりそうです。
帝京盤石のバックスリーコンビ
帝京は相変わらずの精度の高さを見せつけました。
WTB竹山選手、FB尾嵜選手のキック処理、アンストラクチャーからのカウンターアタックなどの個人技、そして連携面も年々凄みが増している印象です。この二人は今季怪我もなく試合に出続けており、特に尾嵜選手は日本代表にも選ばれるなどまさに盤石の状態。
また竹山選手は昨年のこの時期、コンディション不良で控えに回る事も多かっただけに、ルーキー時代を彷彿とさせるここまでの活躍は、上級生となった今季にかける気迫が伝わってきます。
昨年までこの2人と不動のバックスリーを担った吉田杏選手が、今季は本職のNo.8での出場を続けており、14番は毎試合毎にメンバーが入れ替わっています。
今年は誰がこのポジションを勝ち取りバックスリーを形成するのかも楽しみです。
例年に比べ得点力という部分ではそこまでの破壊力は感じないものの、前週明治を苦しめたドライビングモールは、この日も攻めのペースを変えると共に早稲田フォワードを粉砕するなど、点がほしいときに確実に点を取れる武器を持っているのも帝京の強みの一つです。
東海、明治、大東文化などライバル校のレベルが上がり、苦戦が予想される今季、ここからシーズンに向けてどこまでレベルを上げてくるのか。
帝京の今後にも注目していきます。
Aグループその他結果
試合結果
<6月11日(日)>
明治大○ | 31 - 21 | ●大東文化大 |
明治は前節帝京フォワードを粉砕するなど、今季自信をつけてきたスクラムがまさかの劣勢に陥ります。
大学レベルでは最強との呼び声高い東海相手にも互角に組んでいただけに、今季スクラムの評価がうなぎ上りの大東大相手とはいえ、これは想定外だった事でしょう。
しかし、スクラムに拘り過ぎた早稲田と違い、明治はこの部分で崩されても冷静に対処し、後半に見事な逆転勝利を収めます。
この日初先発のCTB森勇登選手(東福岡)がビッグタックルを披露したり、FB山沢京平選手(深谷)、WTB石川貴大選手(報徳学園)など期待のルーキーがそれぞれ持ち味を発揮してトライを挙げるなど、新戦力が躍動しているのも今季の明治の特徴です。
今大会の勝ち越しをかけて臨む、次週早稲田との最終戦。
いまからワクワクしますね。
Aグループ順位表(第7節終了時)
各チームが4試合を終え、全勝は帝京、1敗で東海が追う展開。
次週最終節は早稲田対明治の春早明、帝京対流通経済、東海対大東文化の3試合が行われ、春の王者が決定します。
早明戦ももちろん注目ですが、個人的には東海対大東文化のスクラム対決に注目したいところですね。
Bグループ試合結果
<6月11日(日)>
慶応義塾大○ | 42 - 19 | ●筑波大 |
慶応義塾大 : 4勝1敗(Bグループ優勝) 筑波大 :3勝2敗
前節拓殖に敗れ全勝がストップした筑波はこの日も慶應の前に守備が崩壊し42失点での敗戦。
慶応は前半2本のトライで先行されるも、前半20分過ぎから怒涛の5連続トライで筑波を突き離し、4勝1敗でBグループ優勝を決めました。(※中央大との最終節は既に不戦勝が決まっているため。)
前週に行われた早稲田との招待試合からLO佐藤主将、エースFB丹治選手が復帰しており、ようやく役者が揃ってきた印象です。
Cグループ試合結果
<6月11日(日)>
立教大● | 14 - 71 | ○法政大 |
日本体育大○ | 61 ‐ 21 | ●成蹊大 |
立教大 :2勝3敗 法政大:5勝0敗(Cグループ優勝)
日本体育大:4勝1敗 成蹊大:0勝5敗
法政は15人中4年生がわずか3人という若い布陣で立教を圧倒。
Cグループの優勝を見事全勝で飾りました。
谷崎氏から島津監督へ体制を一新した法政大学。
そもそもCグループを主戦場にする大学ではないので、この結果を喜んでいる場合ではないかもしれませんが、有望な1年生も加入しており、今季リーグ戦の”台風の目”になるかもしれませんね。
<関東大学ラグビー春季大会放送予定>
6月18日(日)
13:00 早稲田大 Vs 明治大 J SPORTS オンデマンド(Live)
13:30 帝京大 Vs 流通経済大 J SPORTS オンデマンド(Live)