4月からスタートした関東大学ラグビー春季大会もいよいよ大詰め。
王者帝京、昨季選手権準Vの東海が相変わらずの強さを披露する一方、明治、大東文化など復活を期す名門校の活躍もあり春シーズンから目の離せない戦いが繰り広げられてきました。
そして、迎えた最終節。
注目の一戦は早稲田対明治の“春早明”。これしかないでしょう。
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Aグループ 早稲田大学ー明治大学
試合結果
<6月18日(日)>
早稲田大● | 26 - 55 | ○明治大 |
出場選手
青字:ゲームキャプテン
春早明は明治が完勝
明治はここまで帝京、東海には不覚を取るも、大東文化、流通経済を破り2勝2敗。
この早明戦に勝ち越しがかかります。
そして、一方の早稲田はここまで流通経済に勝ったのみで1勝3敗。
“永遠のライバル“明治を相手に奮起が期待されました。
しかし、試合は、、、
開始早々の明治FL前田選手のトライを皮切りに7分、18分、25分と4連続失トライ。
試合開始30分で26-0。
完全にワンサイドゲームかと思われました。
しかし、そこから早稲田も巻き返します。
早稲田の誇る“フィジカルモンスター”CTB中野選手が完全なる個人技で1本返すと、44分にはこちらも期待の新戦力WTB古賀選手がタッチライン際の強さを見せつけ追撃のトライ。
26-14の射程圏内とし後半に望みを繋ぎます。
ただ、後半に入って早々のミスが痛かった。
ビッグタックルからのカウンターラックでマイボールラインアウトのミスを帳消しにし、明治陣深く押し込んだ早稲田でしたが、CTB黒木副将が無理に繋ごうとしたボールが明治FB山沢選手の胸にスッポリ。
渡した相手が悪く、そのまま約70mを走り切られ14-31。
ここで追撃ムードは一気に沈静化。
その後は明治の誇るスピードランナーWTB山崎選手、CTB森選手に次々とトライを許し、終わってみれば26-55。
春早明は”明治の完勝”という結果に終わってしまいました。。。
秋への課題が浮き彫りに
まず春季大会を通じて相手校の劣勢に立たされていた”スクラム”でしたが、やはり明治相手にも通用しませんでしたね。
特に前半序盤の出来は、このまま行ってしまったらこの試合はどうなってしまうんだろうと恐ろしくなるほど、まともに組ませてすらもらえていませんでした。
フロントロー陣のプライドは相当ボロボロにされた事だろうと思います。
しかし、前半18分にPR柴田選手が途中出場し、3番に入っていたPR鶴川選手が1番に回ってからは大きく改善の跡が見られました。
鶴川選手は昨年も1番として主力を張った選手。
ここまでのスクラムを見る限りでは、この選手を1番に固定し、3番は高校日本代表の新戦力久保選手(筑紫)をどんどん試合で使いながら育てる方針の方がいい気がします。。。
そして、次の課題はやはり”ラインアウト”。
帝京戦でもそうでしたが、この試合でも敵陣深く攻め込んだマイボールラインアウトを何本ミスしたのでしょうか。。。
試合が決まってしまったCTB黒木選手のパスミスは確かに痛恨のプレーでしたが、そこに至る局面を作ってしまったのはラインアウトのミスからです。
HOのポジションはまだ固定されていませんが、秋に向けてここを修正しなければ正直今季も厳しいシーズンになりそうです。
最後に”チームディフェンス”。
ここまで点を取られていて何ですが、個人的にこの部分は現時点での及第点は与えられるかと思います。
キック後のアンストラクチャーからのディフェンスは正直まだまだ甘いものの、セットからのディフェンス、密集サイドのディフェンスに関しては、春季大会初期の頃に比べ、先週の帝京戦あたりから精度が上がってきているように感じます。
去年はこの部分で同志社に圧倒されてしまっただけに、ここの重点強化はマストでしょう。
そして、キックオフでのキックミス、キャッチミス、要所でのハンドリングミスもこの試合多く見られましたが、ここは練習の繰り返しと試合での経験を積んでいくしかありません。
そういう意味では今回急遽岸岡選手に代わり、スタメンSOの座を担った高橋選手にとってはいい経験になったのではないでしょうか。
しかし、黒木副将にとっては酷な試合となってしまいましたね。。。
今回の舞台は地元宮崎。
ラグビーの試合ではなかなかみられないグラウンドレベルでの実況中継が入り、地元選手並びに九州出身の選手は大々的にフォーカスされた中での凱旋試合でした。
ここまで副将として安定感のあるプレーを披露してきただけに、大事な場面でハンドリングミスを数回犯してしまったこの試合は相当に無念だった事と思います。
想像するだけでも辛くなりますが、この悔しさをバネにここからのさらなる奮起に期待します。
他にもルーズボールへの働きかけや、タッチキックの精度などまだまだ課題は山積みですが、毎年夏を越えて見違えるチームになるのが“ワセダ“。
ここまで愛情が溢れるあまり辛口コメントばかりしてきましたが、夏合宿以降のノビシロに期待したいと思います。
重戦車復活へ手応えあり
一方の明治はある程度の手応えを掴めた春季大会だったのではないでしょうか。
特にスクラムは唯一苦戦した大東大以外は優勢に組む事が出来ており、近年浮き彫りになっていた”スクラム強化”という課題への取組みが、見事に結果として表れる形となっていると感じます。
負け惜しみではなく、今日の試合でのスクラムは往年の早明戦を彷彿させるほど、久しぶりに“重戦車メイジに挑むワセダ”の構図が見て取れました。
(秋の早明戦ではそんな事を考えている余裕はないと思いますが。。)
チームディフェンスの部分はまだまだ修正が必要かと思いますが、CTB森選手(東福岡)、FB山沢選手(深谷)、WTB石川選手(報徳学園)など期待の新戦力も、出場した試合ではそれぞれ出色の出来を見せ、何より今のチームにはLO古川主将始め、CTB梶村副将、WTB山村選手、FB高橋(汰)選手など特にバックスでは超主力級の選手が不在の状態です。
これらの選手が復帰してきた時、どのような布陣で、どのような戦いを見せるのか。
今年の明治、、、強くなりそうです。
Aグループその他結果
試合結果
<6月18日(日)>
東海大○ | 24 - 14 | ●大東文化大 |
帝京大○ | 75 - 22 | ●流通経済大 |
大東大は東海に敗れたものの、かなりいい勝負をしましたね。
流通経済に逆転を負けを喫するなど試合毎のまだまだムラが気になりますが、今季のスクラムは大学界随一の強さを誇ります。
秋シーズンがますます楽しみです。
Aグループ順位表(最終順位)
<最終順位>
1位 帝京大 5勝0敗
2位 東海大 4勝1敗
3位 明治大 3勝2敗
4位 流通経済大 1勝4敗
5位 大東文化大 1勝4敗
6位 早稲田大 1勝4敗
Aグループは帝京の6連覇で幕を閉じましたが、例年に比べ得点差も小さく、競ったゲームが多く見られたのが印象的でした。
間違いなく他校のレベルがあがり、帝京との差は縮まっていると思います。
これから夏合宿での強化を経て秋シーズンにはどのようなチームに変貌しているのか。
各大学の夏情報も追っていきたいと思います。