こんにちはなんくるナイトです。
いよいよ始まりましたラグビー大学選手権。
今週より関東、関西主要リーグ戦上位チームが登場しいよいよ戦いが本格化してきます。
今日行われたのは3回戦4試合、ここを突破すれば4回戦から登場するシード校への挑戦権を得る事が出来ます。
今日は3回戦の中から注目のカード京産大ー明治大の結果と戦評を書いてみたいと思います。
今日も是非お付き合い下さい。
大学選手権3回戦
京都産業大学(関西3位)ー明治大学(関東対抗戦3位)
京都産業大 26-22 明治大
歓喜と涙の結末。
お互い伝統的にフォワードに拘りを持つチーム同士。
前回見どころでご紹介したように京産フォワードが明治フォワードに対して優位に立てるかどうかが大きなポイントでした。
そして、ゲームはファンの期待通りお互いのプライドとプライドがぶつかり合いました。
意地がぶつかり合う前半
始めにペースを掴んだのは明治。
開始早々の3分と7分にWTG矢野選手が立て続けにトライを奪います。(12-0)
京産フィフティーンが浮足立つ間の一瞬のスキ。
ここはさすが明治。
しかし、追いかける展開となった京産は迷いがなくなったように、タックルをどんどん突き刺します。
実直なディフェンスを重ねる事で、やがてペースが転がり込んできます。
前半27分ラインアウトモールをフォワード一体でゴール前まで押し込み、
そこからさらにフォワードのラッシュ。
最後はNo.8フェインガ・ファカイ選手のトライ。(12-7※ゴール成功)
後ろから体ごと押し込んだFL眞野主将のサポートも秀逸です。
さらには前半31分、京産ボールのラインアウトからフォワードが一気にラッシュ。
最後はバックスの選手まで参加し明治ディフェンスを完全に粉砕します。(12-14※ゴール成功)
明治にとっては完全アウェーの花園。
観客も格上明治に対するアップセットへ徐々に期待感が高まります。
それでも明治は前半終了間際の38分LO尾上選手の突進で再逆転のトライ。(19-14※ゴール成功)
前半は明治リードで折り返します。
大波乱の後半
やはりスクラムです。
後半開始早々のスクラムを京産は押しました。
明治は早明戦でのスクラムをまだ引きずっている印象でした。
やはりフォワードに絶対の自信を持つチームだけにフォワードで粉砕されたショックというものは計り知れないものがあったのかもしれません。
前半予想以上に善戦しペースをつかみつつあった京産にとってはここで押せたことで一気にいけいけムードになっていきました。
関西のチームはいけいけラグビーなので勢いがつくと止められません。
そして後半12分。京産ゴール前へ攻め込んだ明治に対し、京産ディフェンスが襲い掛かります。
明治フォワードが孤立したところを、FL李選手が魂のジャッカル。
そこからキックで逃げる選択をせずフォワード、バックスでつなぎにつないで17フェーズ。
最後はNo.8ファカイ選手が明治の牙城を崩し、ディフェンスの裏に出てオフロードパス。
走り込んだHO中川選手のトライ。(19-21※ゴール成功)
自陣ゴール前からの鮮やかなカウンター。
17フェイズを重ねて95mを攻め抜きました。
明治も反撃。
後半24分ゴール正面からのペナルティゴールで22-21と再逆転。
しかしこの1点差というのは逆に京産の考え方をシンプルにさせたと思います。
1点差であれば京産はペナルティゴールでも逆転、トライならさらに4点差をつける事ができ(ゴール成功なら6点差)、逆に明治に対して大きなプレッシャーを与える事が出来ます。
明治としてはここでタッチに蹴り出しゴール前ラインアウトからモールでトライを取りきることが出来ていたなら、、、
フォワード陣も息を吹きかえし点差も3点(ゴール成功なら5点差)となり逆転にはトライが必要となる京産へ大きなプレッシャーをかける事が出来ました。
たらればですが、京産の勢いを止めるためにはそれぐらいのリスクとチャレンジが必要だったと思います。
そして勢いの止まらない京産は後半27分。
強烈なタックルでファンブルを誘い、すかさず反応したWTG坂本選手がボールを拾い上げ独走のトライ(22-26※ゴール失敗)
ついに逆転。
そしてこの試合のハイライト。
後半30分の京産自陣10mラインでのマイボールスクラム。
ここで京産フォワードのプライドが爆発します。
8人が一つにまとまり明治フォワードをどんどん後退させます。
約15mは押したでしょうか。
ここまでスクラムで完膚なきまでに粉砕される明治はほとんど見た事がありません
終了間際明治も意地の猛攻を見せますが、最後まで足の止まらない京産は倒れても立ち上がりタックル、そしてまた立ち上がりタックル。
勝利への執念と愚直なまでの姿勢は見ている人の心を打ちます。
そしてついに、、、歓喜の瞬間!
気がついたら涙があふれ出ていました。
激戦の後で
京産フィフティーンに歓喜の輪が広がります。
「好選手を集めて勝つのではなく、人間力が生きてこないと意味がない。努力すれば夢がかなうことを大学スポーツで体現できたら自分の仕事は終わる」。(京産大 大西監督談)
(出典:京都新聞”負けて我あり”)
”京産大の歴史”とも言うべき名将大西監督の目に涙、あの日本ラグビー界のレジェンド元木由紀夫コーチの目にも涙。鬼の目にも涙。
この試合に懸けてきた1年間の血と汗と涙の結晶でしょう。
やるべき事をコーチ陣が示し、それを選手が信じて全力で応える。
握手して泣いて抱き合って泣いて。
そしてスタンドも一つになって歓喜の渦を作り出す。
「おめでとう!」ではなく、「ありがとう!!」の声。
この試合を見た人の素直な思いでしょう。
しかしこれだけ花園が沸いたのを見たのはいつ以来でしょうか。
東高西低と呼ばれて久しい大学ラグビー界において、京産にとっては7回目のチャレンジにして初めて明治を撃破する事に成功しました。
”打倒関東!”
関西のファンもこの瞬間を待ち望んでいました。
こういう試合を続けていけば関西のラグビー熱が消えることはありません。
スター選手不在の雑草集団京産大学、素晴らしい魂を見せてもらいました。
そして明治。
フォワードの劣勢を最後まで覆すことが出来ませんでした。
元祖”重戦車”としてフォワードの立て直しは来季以降避けては通れない課題です。
それでもバックス陣にはキラ星の如き才能が来季も残ります。
CTB梶村選手、WTG山村選手、矢野選手。
特に梶村選手は大学最終年。リベンジに燃えてくることでしょう。
来季、”重戦車明治の復活”を期待したいと思います!
さぁ勝った京産は準々決勝で打倒帝京の最右翼東海大と激突します。
次も応援しましょう!!