日本開催のラグビーW杯2019(RWC2019)の影響で、開幕が2週間ほど前倒しされるなど変則日程となる今年の大学ラグビー。
今や世間の注目は完全に日本代表へ向いていますが、
将来の日本ラグビーを背負う大学生たちの熱いシーズンが一足早く開幕の時を迎えます。
春夏シーズンを終え、今年の各校の戦力はどうなっているのか⁉
今季ここまでの戦いぶりと気になる予想布陣を考えながら、各校の展望を見ていきたいと思います。
まずは101周年目のシーズンを迎える早稲田大学から行ってみましょう。
早稲田 対抗戦スケジュール
8月31日 | 早稲田 | - | 日本体育 | 菅平 |
9月8日 | 早稲田 | - | 青山学院 | 早大G |
9月15日 | 早稲田 | - | 筑波 | ケーズデ |
11月4日 | 早稲田 | - | 成蹊 | 駒沢 |
11月10日 | 早稲田 | - | 帝京 | 秩父宮 |
11月23日 | 早稲田 | - | 慶應義塾 | 秩父宮 |
12月1日 | 早稲田 | - | 明治 | 秩父宮 |
昨年は開幕戦でいきなり難敵・筑波と激突した事を考えると、今年は変則スケジュールながら、ある程度余裕を持ってシーズンへ臨むことが出来そうです。
ただ、やはり9月15日の筑波戦が序盤の山場となる事に変わりはありません。
相手も3戦目となればある程度チームとして仕上がってくるため、開幕戦で対戦するよりもさらに手強い相手になる可能性大です。
まして筑波は開幕戦が明治、次戦は慶應が相手。
状況次第で第3戦は背水の陣となることも十分考えられます。
早稲田としては9月の3試合をしっかりと勝ち切り、余裕を持って10月の中断期間を迎えたいところですね。
ここまでの戦いぶり
それでは次に春夏シーズンの戦いぶりを振り返ります。
5/12 | 春季大会 | 早稲田 | ●36-40 | 東海 |
5/19 | 春季大会 | 早稲田 | ○51-24 | 流通経済 |
5/26 | 春季大会 | 早稲田 | ○36-12 | 慶應義塾 |
6/2 | 春季大会 | 早稲田 | ○47-24 | 大東文化 |
6/9 | 招待試合 | 早稲田 | ●14-29 | 明治 |
6/16 | 春季大会 | 早稲田 | ●24-61 | 帝京 |
8/15 | 練習試合 | 早稲田 | ○33-14 | 天理 |
8/21 | 練習試合 | 早稲田 | ○31-21 | 帝京 |
”次世代ジャパン”を背負う逸材、SH齋藤直人選手を主将に据え挑む今季。
例年早稲田は春夏シーズンは”チームビルディングの時期”と明確な設定があり、ファンダメンタル(基礎)の強化に時間が費やされるため、結果がなかなかついてこない時期が続きました。
一昨年度はAグループで1勝4敗の最下位。
昨年度はリーグ中位が属するBグループで日体大、筑波に敗戦するなど苦戦続き。
夏合宿でも強豪校との対戦では連戦連敗と、ファンとして毎年不安を感じながらシーズンインを迎えるのが常でした。
しかし、今季は違います。
Aグループを戦った春季大会では東海、帝京に敗れるものの、流経大、慶應、大東大から3勝。(早稲田が春季大会で3勝以上を挙げたのは2014度年大峯組以来です。)
フォワード、バックス共に昨季大学選手権4強の主力が多く残った事で、ベース部分が例年以上の水準にある点、そして昨季対抗戦のタイトル獲得(帝京と同校優勝)と久々の正月越えを果たした事による自信はやはり大きいと感じます。
難敵ながら、昨季から主力が多く入れ替わった慶應、大東大らを相手に、難なく勝利を収める事が出来た点にもそれは表れています。
そして今年への期待感が最も膨らんだのは、昨季大学選手権準優勝の天理(○33-14)、そして絶対王者帝京(○31-21)を連破した夏合宿です。
善戦をすることは予想出来ましたが、さすがに勝利までは、、、。
ましてこの両校相手にスクラムを押すなんてことは想像すら出来ませんでした。。。
実際、春季大会では流経大戦以外はスクラムで大苦戦。
と思っていた矢先のこの進化。
ここに至るまでは春以降フォワード陣の奮起と、血の滲むような努力があった事でしょう。
今年はラインアウトの獲得率も非常に高く、ディフェンスも強固、これでスクラムが安定すれば、才能あふれるバックス陣がトライを量産できる理想のチームに仕上がります。
早稲田 対抗戦予想布陣
それでは最後に、ここまでの戦いぶり、出場メンバーを参考に、私が勝手に考える予想布陣を見ていきたいと思います。
※あくまで私の独断です。
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
フォワード
昨年唯一4年生が主力を務めるポジションだったフッカーは早稲田実出身の森島大智選手(4年)が台頭。
ボールキャリーとしての能力は昨季の宮里侑樹選手(現・三菱重工相模原)に引けをとらず、ラインアウトの安定感は抜群、そして課題のスクラムでも中心選手として劇的進化を牽引しています。
試合に出るため今年から3番⇒1番にコンバートを決断した久保優選手(3年・筑紫)も、新たなポジションでポテンシャルを発揮できるまでに成長。
昨季から主力の3番PR小林賢太選手(2年・東福岡)と共に、新生早稲田スクラムを支えます。
そしてロックは、1年生からスタメンを張りラインアウトの中心も務める下川選手(3年・修猷館)に加え、期待を込めて星谷俊輔選手(3年・国学院久我山)を入れました。
大型ロックとして推薦枠で入部しながら、ここまでAチームで目立った活躍が出来ず悔しい思いをしてきた同選手。
久保選手、下川選手、丸尾選手ら同学年が主力として活躍する中、今年に懸ける想いは人一倍強いはず。
昨季から試合に出場する中山匠選手(4年・成城学園)、三浦駿介選手(4年・秋田中央)ら4年生の壁は厚いものの、何とかスタメン定着を果たしてほしいと思います。
バックローは昨季の主力が健在で大きな選手変更はなさそうです。
今年U20日本代表として、ワールドラグビーU20トロフィーで活躍した丸尾選手(3年・早稲田実)は持ち前の突破力に磨きがかかり、ジャパンのNo.8として大きくスケールアップ。
ケガの少ない屈強な身体も非常に魅力ですね。
早稲田フォワードの核としてグラウンドを暴れまわってほしいと思います。
そして丸尾選手の2期下で、昨年早稲田実でキャプテンを務めたNo.8相良選手(1年)の台頭にも期待したいところですね。
既にAチーム入りは果たしているため、”本家アカクロ”をまとい試合へ出場する姿も早々に見られるかもしれません。
バックス
見ているだけでワクワクする布陣ですね。
名実ともにチームの中心を務めるSH齋藤主将(4年・桐蔭学園)を、SO岸岡選手(4年・東海大仰星)、CTB中野選手(4年・東筑)、WTB桑山選手(4年・鹿児島実)ら”黄金世代”に、CTB長田選手(2年・東海大仰星)、FB河瀬選手(2年・東海大仰星)の”花園優勝コンビ”がガッチリと脇を固めます。
ケガさえなければ今年も彼らが主力を担う事は間違いありません。
流動的になりそうなのはウィングのポジションでしょうか。
個人的には、黄金世代の一員ながら毎年シーズン終盤にケガに泣かされる梅津友喜選手(4年・黒沢尻北)、そして魅惑のステップを誇る”スピードスター”古賀由教選手(3年・東福岡)の大爆発がそろそろ見たいところ。
しかし、本来はスタンドオフながら抜群の加速力でウィングとしてもプレーできる加藤皓己選手(4年・函館・ラサール)に、春季大会と夏合宿で結果を出し評価を高めた安部勇佑選手(3年・国学院久我山)、 南 徹哉選手(3年・修猷館)らも台頭。
このポジションはシーズン中も激しいポジション争いが繰り広げられることになりそうです。
齋藤主将のバックアッパーとして、春から3か月間ハーフの座を守り続けたSH河村謙尚選手(2年・常翔学園)の存在も非常に心強いですね。
”黄金世代”を中心に例年になく戦力が充実。
そして夏合宿で天理、帝京を撃破したことで日本一を射程圏内に捉える今季の早稲田。
2008年度以来11年ぶりの”荒ぶる”奪還へ!