新国立競技場が決勝の舞台に決定した2019年度のラグビー大学選手権。
JRFUメンバー向けに先行販売された準決勝、決勝のチケットは指定席が既に完売と、大学ラグビーの注目度はとどまるところを知りません。
今大会も今週末に行われる3回戦からは、いよいよ関東・関西の主要リーグ勢が登場します。
前回の対抗戦に続き、見どころ第2弾は『関東リーグ戦1部編』。
昨季は3校が全て準々決勝で敗退するという屈辱を味わったリーグ戦勢。
今季の巻き返しはあるのか!?
大学選手権での展望と予想布陣を見ていきたいと思います。
タップできる目次
大会スケジュール
(情報元:日本ラグビーフットボール協会)
組み合わせ表
リーグ2位に入った日大は京産大、早稲田、3位の流経大は帝京大、天理大、そして3回戦がシードとなった1位の東海大までも、準々決勝では同志社と筑波の勝者と激突するなど、リーグ戦3チームはそれぞれ厳しい戦いを強いられることになります。
リーグ戦復権のためには、この中から最低1校が『正月越え(準決勝進出)』という結果を残すしかありません。
リーグ戦1部 代表校顔ぶれ
それでは代表校のリーグ戦での成績と予想布陣を見ていきましょう。
東海大学 (15大会連続17回目)
リーグ戦戦績
優勝:7勝0敗
8/31 | 東海 | ○100-21 | 中央 |
9/7 | 東海 | ○98-12 | 専修 |
9/14 | 東海 | ○50-14 | 拓殖 |
11/3 | 東海 | ○50-7 | 日本 |
11/9 | 東海 | ○46-15 | 法政 |
11/16 | 東海 | ○26-21 | 流経大 |
11/30 | 東海 | ○27-18 | 大東大 |
昨季の主力が多く残り、春季大会では公式戦で初めて帝京を撃破するなど春シーズンから充実ぶりが目立った今季の東海。
リーグ戦に入っても昨季上位勢の大東大、流経大、法政大らが序盤戦で軒並み苦戦を強いられる中、1校だけ別次元の強さを発揮。
W杯中断期間明けの日大との全勝対決も快勝し、このまま独走態勢に入るかと思われました。
しかし、昨季上位勢との対戦が始まった終盤戦はいまいちピリッとしない試合が続きます。
法政にはフォワードの優位を生かせず後半に3トライを奪われる苦戦。
流経大戦ではエンジンがかかりきらず、試合開始から後半ロスタイムまで終始リードを許す苦しい展開。
大東大戦では序盤の楽勝ムードから一転、一時逆転を許すと、後半ラスト10分でかろうじて再逆転する薄氷の勝利。
全勝優勝は達成したとは言え、日本一を狙うチームとしては不満の残る内容でリーグ戦を終えることになりました。
3回戦がシードとなるトーナメントでは、準々決勝でいきなり同志社vs筑波の勝者と激突すると、その先の準決勝の相手はほぼ確実に昨年度の王者・明治。
今の状態のままでは結果は見えてしまいます。
準々決勝ではどちらが相手でもフォワードで圧倒するくらいの試合を見せ、王者への挑戦権を手にしたいところでしょう。
予想布陣
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
流経大、大東大とのラスト2試合は留学生不在の布陣で臨み大苦戦。
しかし、FLレキマ・ナサミラ選手(1年)、No.8ノア・トビオ選手(2年)らがスタメンに復帰すれば、フォワードの顔ぶれは明治・天理など上位勢にも引けは取りません。
東海の生命線はやはりセットプレーとブレイクダウン。
この部分を選手権でどこまで徹底できるかが、上位進出の鍵を握りそうです。
そして、リーグ9トライのWTB林隆広選手(2年)や、エースFB酒井亮治選手(2年)ら豪華なフィニッシャーが揃うバックス陣の注目は、
『丸山凛太郎選手(2年・東福岡)の起用法』
流経大戦で長期離脱から復帰を果たし、続く大東大戦でも絶妙なキックパスでトライを演出するなど輝きを放った同選手。
しかし、スタンドオフのポジションは今季は真野泰地主将(4年・東海大仰星)が君臨。
さらにセンター陣も今夏のオールスターに選ばれた杉浦選手(3年)と全7試合スタメン出場の依田選手(4年)が不動の地位を築いています。
『個』で違いを生み出せるこの希代のゲームメーカーに司令塔の座を任せるのか、それともインパクトプレーヤーとして後半から変化をもたらす起用法を選択するのか。
この選手の起用法が一番の焦点となりそうです。
個人的には真野主将と丸山選手の共演が、相手にとっては脅威になると見ますが、果たして....
いずれにしてもスタメン発表を楽しみに待ちましょう!
日本大学 (6大会ぶり18回目)
対抗戦戦績
2位:5勝2敗
9/1 | 日本 | ○34-12 | 法政 |
9/8 | 日本 | ○34-28 | 流経大 |
9/14 | 日本 | ○40-33 | 大東大 |
11/3 | 日本 | ●7-50 | 東海 |
11/17 | 日本 | ○83-5 | 中央 |
11/24 | 日本 | ○29-21 | 専修 |
11/30 | 日本 | ●26-29 | 拓殖 |
リーグ開幕から法政大、流経大、大東大を撃破し、今シーズン1番のサプライズを巻き起こした『ヘラクレス軍団』日本大学。
リーグ後半はやや息切れした感はあったものの、2016年度の一部復帰からわずか4年での2位躍進は見事の一言。
PR坂本駿介主将(4年・三本木農)を中心に鍛え上げたスクラムは流経大、大東大ら強豪校を粉砕し、3年生以下を中心とした伸び盛りのバックス陣も躍動。
選手権で”台風の目”となる可能性を最も秘めるチームです。
初戦の相手は同じくスクラムに絶対の強みを持つ関西の強豪京産大。
似たような特徴を持つチーム同士。
この力勝負は非常に見物です。
ここで日大が圧倒するようであれば、準決勝で当たる早稲田にとっては驚異な存在となることでしょう。
予想布陣
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
フォワードはリーグ序盤戦の好調を支えたメンバーを中心に構成。
LOアサエリ・サミソニ選手(3年)、No.8テビタ・オト選手(2年)に加え、リーグ6トライのNo.8ハラシリ・シオネ選手(2年)ら留学生は超強力。
メンバーを入れ替えながら”3つ”の出場枠を効果的に使ってくることでしょう。
そしてバックス陣はSH村上選手(3年・京都成章)、SO吉田選手(4年・城北)の好調HB団に、攻守の要CTBフレイザー・クワーク選手(2年)は不動。
ここに、怪我で離脱していたエースWTB杉本悠馬選手(4年・佐野日大)が戦列復帰し、出場した全5試合でトライをマークしているナサニエル・トゥポウ選手(1年)を、ジョーカー的役割で起用できれば、見ていてワクワクするようなバックス陣が完成します。
一方で個人的には譜久原琉選手(コザ)、石川留依選手(美里)、水間夢翔選手(佐賀工)ら注目の1年生トリオが躍動する姿も是非見たいところ。
きっと彼らにも出番は訪れることでしょう。
流通経済大学 (12大会連続20回目)
対抗戦A戦績
3位:5勝2敗
9/1 | 流経大 | ○31-19 | 拓殖 |
9/8 | 流経大 | ●28-34 | 日本 |
9/14 | 流経大 | ○64-33 | 中央 |
11/3 | 流経大 | ○57-33 | 専修 |
11/9 | 流経大 | ○22-21 | 大東大 |
11/16 | 流経大 | ●21-26 | 東海 |
11/30 | 流経大 | ○43-25 | 法政 |
序盤の取りこぼしを最小限に抑え、大東大との事実上の3位決定戦を大接戦の末制し、辛くも出場権を確保した流経大。
東海とリーグ戦の覇権争いをしていた時代に比べるとフォワードの弱体化は否めませんが、第6節では王者・東海大を最後の最後まで追い詰め、最終戦では昨年敗れた法政に快勝を収めるなど、終盤になるにつれチーム力が上がってきている印象です。
選手権初戦の相手は2017年度、2018年度に続き3季連続で顔を合わせる因縁の相手・帝京大。
過去2年は、
2018年度 : ●0-45
2017年度 : ●19-68
と全く歯が立ちませんでしたが、今の置かれているチーム状況を鑑みると今年は勝機ありとみます。
リーグの強豪ながら、
『流経大は大学選手権で勝てない。』
というレッテルを覆すためには帝京は絶好の相手。
流経大の歴史は動き出すか!?
その結果は如何に!?
予想布陣
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
フォワードは多くのメンバーを入れ代えながらも、ロックのポジション以外はほぼスタメンは固定されてきていると見ます。
問題は外国人留学生の起用法。
ここまで、LOタマ・カペネ選手(2年)、LOアピサロメ・ボギドラウ選手(1年)、シオネ・リクアタ選手(1年)らを起用してきていますが、留学生を有効に起用している他校と比べると、まだ3人ともチームに上手くフィットしているとは言いがたい状況です。
バックスには、リーグ戦でそれぞれ5トライをマークしているCTBヴィリアメ・タカヤワ選手(3年)、WTBイノケ・ブルア選手(2年)ら強力なランナーが存在するため、”3つ”の出場枠の内2つをバックスで使う方が効果的と考えます。
バックスには他にも、昨季流経大柏高の中心メンバーとして花園で大活躍したSO柳田翔吾選手(1年)や、合計11トライでリーグ戦のトライ王を獲得したWTB横瀬慎太郎選手(4年・常総学院)、さらに切れ味鋭いステップと抜群のスピードで魅了するFB河野竣太選手(2年・常翔学園)など、タレント力は帝京に引けを取りません。
いかに苦手意識を克服し、メンタル面、フィジカル面で初戦にピークを持ってくることができるか。
帝京との一戦は3回戦屈指の好カードと見ています。