前回関東”対抗戦グループ”の各チームの春シーズンを振り返りました。
帝京が今季も学生相手に負けなしを続ける中、リーグ戦グループはどのようになっているのでしょうか。
今回は関東リーグ戦各校の戦いぶりを見ていきたいと思います。
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関東大学ラグビー 春シーズン戦績 リーグ戦編
東海大学
5月7日 | 春季大会 | 東海 | ○67-29● | 早稲田大 |
5月13日 | 春季大会 | 東海 | ○31-19● | 明治大 |
5月28日 | 春季大会 | 東海 | ●28-31○ | 帝京大 |
6月4日 | 春季大会 | 東海 | ○50-22● | 流経大 |
6月11日 | 招待試合 | 東海 | ○31-19● | 近畿大 |
6月18日 | 春季大会 | 東海 | ○24-14● | 大東大 |
6月24日 | 練習試合 | 東海 | ○47-33● | 専修大 |
対戦成績:6勝1敗
昨年王者帝京に肉薄した東海。
今季もその強さに疑いの余地はありません。
PR渡邉選手、SH湯本選手などこれまでチームを牽引してきたビッグネームは卒業しましたが、選手層の厚さはリーグ戦グループ随一です。
5月、6月は日本代表の活動に参加するため、FB野口主将、CTB鹿尾選手、PR三浦選手ら主力が不在となる事が多かった中、この成績を残している事が何よりの証拠でしょう。
特に野口主将は6月に行われたチャレンジカップ(ルーマニア、アイルランド戦)でも、スーパーラグビ―勢が勢揃いするメンバー構成の中、バックスではWTB福岡選手と並び3戦全てでスタメン出場するなど、大学生の枠に収まらないクレバー且つ強気なプレーで絶大な存在感を発揮しました。
スクラムでも他大学を圧倒するなど、帝京をも凌駕するフィジカルは今年も健在。
春シーズンには出場していないSO眞野泰地選手が戻ってきて、ゲームメイクにさらなる磨きをかければ今年こそ“悲願の日本一”も見えてくるのではないでしょうか。
流通経済大学
5月7日 | 春季大会 | 流通経済 | ●26-52○ | 明治大 |
5月14日 | 春季大会 | 流通経済 | ●10-15○ | 早稲田大 |
5月28日 | 春季大会 | 流通経済 | ○52-41● | 大東大 |
6月4日 | 春季大会 | 流通経済 | ●22-50○ | 東海大 |
6月18日 | 春季大会 | 流通経済 | ●22-75○ | 帝京大 |
対戦成績:1勝4敗
一方で昨季リーグ戦最終戦で東海を撃破するなど、ここぞというところで勝負強さを発揮してきた流経大は苦戦が目立ちます。
明治、東海、帝京には完敗、春季大会白星のなかった早稲田にも唯一の白星を献上するなど元気がありません。
東海、帝京とのカードを残し後のなかった大東大戦では、持前の集中力を発揮し見事な逆転勝利を掴み取りましたが、戦い方を見ていてもチームとしての方向性がまだ定まっていないような印象を受けます。
今年は昨季下位に沈んだチームが元気な姿を見せており、このままではリーグ戦2位どころか上位キープも危うくなりそうな気配です。
夏以降の強化に期待しましょう。
大東文化大学
4月23日 | 春季大会 | 大東文化 | ○27-0● | 早稲田大 |
4月29日 | 春季大会 | 大東文化 | ●26-35○ | 帝京大 |
5月28日 | 春季大会 | 大東文化 | ●41-52○ | 流経大 |
6月4日 | 招待試合 | 大東文化 | ○54-31● | 同志社大 |
6月11日 | 春季大会 | 大東文化 | ●21-31○ | 明治大 |
6月18日 | 春季大会 | 大東文化 | ●14-24○ | 東海大 |
対戦成績:2勝4敗
流経大と同様に春季大会では1勝4敗と成績だけを見れば苦戦を強いられた大東大。
しかし、戦いぶりをみせているとやりたいラグビーは明確です。
特に今年強力な武器となりそうなのが“スクラム”。
学生最強の東海相手にはやや苦戦をしましたが、王者帝京、好調明治相手でも優位に立つなど、スクラムでは今季リーグ戦を席巻しそうな勢いを感じます。
昨季の課題だったディフェンスも、脆さを露呈してしまった流経大戦以外では強豪相手でもしっかり機能していたと言えるでしょう。
あとは試合ごとのムラ(これも長年の課題。。)を減らす事が出来れば、上位進出も見えてくると思います。
ただ、個人的に応援しているFL河野主将に昨季までの“狂気“を感じないところは少し気がかりです。
主将の立場として全体を見渡す仕事ももちろん必要だとは思いますが、あの“狂気”が他の選手に乗り移った時、一体大東大はどんなチームに変貌してしまうのか。
その瞬間が楽しみでなりません。
中央大学
5月20日 | 練習試合 | 中央 | ●28-44○ | 専修大 |
5月28日 | 練習試合 | 中央 | ○43-38● | 青山学院大 |
6月4日 | 練習試合 | 中央 | ●10-54○ | 関東学院大 |
6月11日 | 招待試合 | 中央 | ●26-31○ | 朝日大 |
6月18日 | 練習試合 | 中央 | ●7-35○ | 慶応大 |
7月1日 | 定期戦 | 中央 | ○111-5● | 甲南大 |
対戦成績:2勝4敗
昨季浜岸主将ら4年生を中心とした“丸刈り“で爽やかな旋風を巻き起こし、リーグ戦4位で大学選手権出場を果たした中央大。
今季は1年生から試合に出続けた主力の4年生が卒業し、新たなチームとしてスタートを切った矢先、部員の麻疹感染が発覚し春季大会、セブンズ大会などこの時期の全ての公式戦を棄権。
波乱の幕開けとなりました。
しかし、今シーズンから近大、神戸製鋼、NTTコムでも活躍した中山浩司氏をヘッドコーチに招聘し強化へ着手。
活動を再開した5月以降も苦しい戦いが続きますが、秋には持前の愚直なラグビーに加え、トップリーグ経験もある指導者の下、洗練されたチームへ生まれ変わる可能性大です。
まだ情報も少ないので、夏シーズンの様子を見てみましょう。
拓殖大学
4月30日 | 春季大会 | 拓殖 | ●26-30○ | 関東学院大 |
5月8日 | 春季大会 | 拓殖 | ●55-57○ | 慶応大 |
5月21日 | 春季大会 | 拓殖 | ○46-33● | 青山学院大 |
6月4日 | 春季大会 | 拓殖 | ○55-40● | 筑波大 |
6月11日 | オープン戦 | 拓殖 | ○47-21● | 立正大 |
6月17日 | オープン戦 | 拓殖 | ●19-78○ | ホンダ |
対戦成績:3勝3敗
2010年以降、入替え戦の常連(唯一2012年は3位と躍進)でしたが、2014年の1部再昇格以降、2015年の6位、2016年の5位と着実にその順位を上げてきている拓殖大。
留学生を中心にした強靭なフィジカルと強力なスクラムを始めとするセットプレーは今や拓大の代名詞にもなっています。
春季大会でも慶応、そして筑波からそれぞれ55得点とその攻撃力は上位校と比較しても申し分ありません。
ただ、対抗戦2部の立正大戦以外は全て30失点以上とその攻撃力とは裏腹にディフェンスに脆さがあるのも事実。
逆にそこが改善されれば間違いなく上位を狙えるポテンシャルを秘めているチームでしょう。
関東学院大学
4月30日 | 春季大会 | 関東学院 | ○30-26● | 拓殖大 |
5月7日 | 春季大会 | 関東学院 | ○29-20● | 青山学院大 |
5月14日 | 練習試合 | 関東学院 | ●21-26○ | 明治学院大 |
5月21日 | 春季大会 | 関東学院 | ●24-49○ | 慶応大 |
5月28日 | 春季大会 | 関東学院 | ●12-38○ | 筑波大 |
6月4日 | 練習試合 | 関東学院 | ○54-10● | 中央大 |
6月18日 | 練習試合 | 関東学院 | ●36-38○ | 専修大 |
6月24日 | 招待試合 | 関東学院 | ○38-33● | 関西学院大 |
7月1日 | 練習試合 | 関東学院 | ○51-26● | 山梨学院大 |
対戦成績:5勝4敗
そして今年リーグ戦の台風の目になりそうなのは古豪関東学院です。
最後の大学選手権出場からはや6年。
その間には2部降格も経験しました。
榎本淳平ヘッドコーチ、立川剛士氏、入江順和氏ら黄金期を知る精鋭たちが母校復権へ着手して以降、多くの新入生も集まり出し、その地道な強化が徐々に実を結びつつあります。
春季大会でも慶応をあと一歩のところまで追い詰めるなど、手応えを掴む部員たちから聞こえてくる目標はもはや1部残留ではなく「大学選手権出場」。
“カントー“の進撃に注目が集まります。
法政大学
4月29日 | 春季大会 | 法政 | ○33-29● | 日本大 |
5月7日 | 練習試合 | 法政 | ●14-43○ | 筑波大 |
5月14日 | 定期戦 | 法政 | ●31-36○ | 関西大 |
5月21日 | 春季大会 | 法政 | ○102-7● | 成蹊大 |
5月28日 | 春季大会 | 法政 | ○80-7● | 山梨学院大 |
6月4日 | 春季大会 | 法政 | ○52-29● | 日本体育大 |
6月11日 | 春季大会 | 法政 | ○71-14● | 立教大 |
6月18日 | 招待試合 | 法政 | ●52-61○ | 立命館大 |
対戦成績:5勝3敗
昨季入替え戦に回る屈辱を味わった名門法政。
谷崎前監督(前東福岡監督)からバトンを受け継いだ島津久志新監督の下、高校日本代表クラスの有望な新入生も加え巻き返しを図ります。
Cグループへ回った春季大会は格の違いを見せつけるかのように危なげなく全勝優勝。
エースWTB中井健人選手(筑紫)は絶好調、そしてFL橋本陸選手(東京)、FL山下憲太選手(長崎海星)、HO濱野隼也選手(秋田工)など新戦力も続々と公式戦デビューを果たすなど、仕上がりは上々です。
ただ、東西の強豪筑波、立命館相手にはそれぞれ不覚を取っており、まだその真価を問うには時期尚早なのも事実。
夏以降の強豪との戦いの中で今期の立ち位置が判明してくるでしょう。
法政復活にはまずフォワードの強化が全てです。
前FWコーチの指揮官の手腕に注目していきましょう。
日本大学
4月9日 | オープン戦 | 日本 | ○31-5● | 専修大 |
4月23日 | オープン戦 | 日本 | ○73-5● | 玉川大 |
4月29日 | 春季大会 | 日本 | ●29-33○ | 法政大 |
5月7日 | 春季大会 | 日本 | ●26-31○ | 日本体育大 |
5月13日 | 春季大会 | 日本 | ○22-14● | 山梨学院大 |
5月28日 | 春季大会 | 日本 | ○63-7● | 成蹊大 |
6月4日 | 春季大会 | 日本 | ○45-36● | 立教大 |
6月11日 | オープン戦 | 日本 | ●19-61○ | 京都産業大 |
6月18日 | オープン戦 | 日本 | ●12-19○ | 国学院大 |
6月24日 | オープン戦 | 日本 | ●12-61○ | 筑波大 |
7月2日 | オープン戦 | 日本 | ○43-21● | 立正大 |
対戦成績:6勝5敗
リーグ戦草創期のメンバーで3度のリーグ優勝、大学選手権ベスト4など輝かしい実績を持つ日大。
近年は1部、2部の降格、昇格を繰り返すなど低迷が続きます。
今季は春からAチームだけで11試合と多くの試合をこなしながら強化へ着手。
春季大会では3勝2敗と勝ち越し、法政、日体相手にも接戦を演じるなどまずまずの結果を出しています。
関東学院、法政、日大など名門チームが下位に低迷する関東リーグ戦。
これらのチームが上位争いに加わってくる姿を待ち望むファンは決して少なくないでしょう。
まだこの時点では上位勢との対戦がないため、その可能性は未知数ですが、各校復活へ向けて本格的な強化に着手しており、昨年までとは違う姿を見せてくれる可能性は十分です。
東海が頭一つ抜き出ているのは間違いありませんが、2位以下は群雄割拠。
今季リーグ戦は虎視眈々と上位を窺う下位チームの巻き返しに期待できそうです。
対抗戦編はこちらから⇒【今年も帝京の独走か!?】関東大学ラグビー2017 春シーズン戦績~対抗戦編~