こんにちは内弁慶サラリーマンなんくるナイトです。

昨日に続いてラグビー大学選手権のレビューをしてみたいと思います。

今日は早稲田大学同志社大学

東西の盟主対決第1弾です。

大学選手権 準々決勝 第2試合

早稲田大学(関東対抗戦2位)ー同志社大学(関西1位)

山下大悟新監督を迎え復活を期す早稲田とこちらも関西復権を目指す関西の雄同志社の注目の一戦です。

舞台は花園。

東西の人気校同士の激突、そして準々決勝の中で最も力が拮抗していると予想されたカードなだけにスタンドには多くのラグビーファンが詰めかけました。

試合経過

試合はいきなり大きく動きました。

先制は同志社。

マイボールラインアウトからのバックス展開、鮮やかなライン攻撃からCTB石田選手があっさりと早稲田のディフェンスラインをブレイクしインゴールを落し入れます。

同志社の勢いは止まりません。

豊富なタレントを擁すバックス陣が次々に早稲田のディフェンスラインをブレイクし猛然と責め立て、16分LO山田主将、22分怪我から復帰したFB崎口選手、34分にはエースWTB松井選手が連続してトライ。

完全なる同志社ペースの中、前半終了間際にももう一人のエースWTB安田選手がトライ。

 

決定力のあるバックスリー揃い踏みで33-0で前半終了。

花園は歓喜の渦に包みこまれます。

一体誰がこの展開を予想できたのでしょうか?

 

続く後半。

早稲田が勝つにはこれ以上離されるわけにはいきません。

それでも最初に得点したのは同志社でした。

前半から崩され続けていた外のスペースを狙われFL丸山選手のトライで40-0。

この時点でほとんど勝負は決しました。

 

前半やられっぱなしだった早稲田も後半は意地を見せました。

この1年強化に取り組んできたスクラムで再三プッシュ、同志社のペナルティを誘発し、

21分にはPR海土選手をシンビンに追いやります。

一人少なくなってさらに優位にたったとこから怒涛のような反撃に出て後半だけで5トライを奪取。

それでも40点の差はいかんともしがたく無情のノーサイド。

 

早稲田大学 31-47○ 同志社大学

同志社は早稲田から1999年以来17年ぶりの勝利を収めました

 

戦評

早稲田のこの敗戦は非常にショッキングです。

春シーズンこそ苦戦しましたが、対抗戦に入ってからは強化を進めてきたフィジカル、スクラムで他校に優位に立ち、帝京には大差で屈するも、早慶戦、早明戦には苦しみながらも連続して勝利。

帝京に次ぐ対抗戦2位で選手権のシード権まで獲得します。

私自身、近年低迷してきた早稲田にようやく光明が差して来たかに思っていました。

 

ただ、帝京相手には春から強化してきたはずの『チームディフェンス』が崩壊して75失点。

早慶戦、早明戦でもフォワードでは優位に立ち、試合を有利に進めていましたが、ディフェンスの部分、特にCTB、WTBのポジションでのラインディフェンスの甘さは目についていました。

今季、早稲田のディフェンスの基本は『ダブルタックル』です。

これは一人に二人がタックルに行ってゲインラインを切らさず、優位なポジションで敵を倒したところからターンオーバーを狙うというものです。

これには相当なフィジカルとフィットネスが求められますがそこは練習量でカバーできる部分でしょう。

ただ問題はバックスラインのディフェンスです。

『ダブルタックル』は密集付近では人が多くいるため効果的ですが、バックスラインは基本的に1対1の局面が基本であり、そこは当然一人一人のタックルスキルが求められます。

さらには、一人に二人行くという事は必然的に相手は人があまる状態となり、そこのカバーをしなければ今回のようにディフェンスラインの外の部分で大きなスペースと人が足りない状況が生まれてしまいます。

ましてや今年の同志社のようにバックスリーに決定力のあるタレントを擁するチームに対しては。。。

まさに”諸刃の剣”。

同志社がそこを狙っていたのかは分かりませんが、再三にわたり、外で勝負され次々とラインブレイクを許す結果となりました。

早稲田にとってもこの結果は想定外でしょう。

重点強化ポイントの『チームディフェンス』が崩壊してしまったのですから。

それでも強化ポイントの一つである『スクラム』はこの日も同志社フォワードを圧倒する力を見せました。

ただ問題はこのように点差が開く局面に陥った時に、持ち味が『スクラム』では点を取るのに多くの時間が必要だという事です。

この試合でもスクラムを組み直す事で、大切に使わなければいけない時間をどんどん消費してしまっていました。

50分、1時間ハーフであれば後半の内容を見ればもしかしたら結果は違ったものになったかもしれませんが、ラグビーは40分ハーフ。スクラムで挽回するには40点差はどう考えても致命的すぎました。

 

それでも今年の取り組みは間違っていないと思います。

帝京に対抗するため、フィジカル、フィットネス、スクラム、コンディショニングにそれぞれ専門家を招聘し本気の強化に取り組みました。

特にスクラムの強化は日本代表、トップリーグで首位を走るヤマハも力を入れそれぞれ結果を出しています。問題はチームとしての”強み”がそれだけになってはいけないという部分だと思います。

今年はフィジカル、スクラムの部分に多くの時間を費やし、チームディフェンス、オフェンスに関しては本格的な着手まで長い時間を要したと聞いています。

まだ改革は道半ば、熟成にはやはりまだまだ時間が必要だという事でしょう。

実際、2000年前半に黄金時代を作った清宮監督も1年目は覇権に手が届いていません。(関東学院大に敗れ準優勝)

改革は一日にしてならず!

オフェンス、ディフェンスをさらに整備して、来年こそ”盟主早稲田の復活”を具現化してほしいと願っています。

山下監督の今後の改革を応援します!

 

そして、同志社大学

前半の速攻はとにかく見事の一言でした。

早稲田に勝つためにはフォワードで奮闘し、決定力のあるバックスを自由に走らせる場面を多く作る事。

そして地元花園の声援をバックに早稲田に対して完全アウェイな状況を作り出す事と見ていました。

しかし今日の前半はそんな事は吹き飛ばすかのような勢いと鮮やかさがありました。

さすが今季のレギュレーションにより3位までしか選手権に出場できない関西リーグで、厳しいゲームを重ねてきたチームです。

きっと見ていた同志社ファンにはたまらない内容だったことでしょう。

自慢のバックスで7トライ中5トライを奪取。どれもタレント集団の名に相応しい見事なトライでした。

そうなるとやはり課題はフォワードです。

ベスト4以上で対戦するチームは早稲田と互角、またはそれ以上に強力なフォワードを擁しています。

後半に入りスクラムで崩され、そこから一気にパニックに陥ったようにまだまだ試合の中での”ムラ”が見受けられました。

”爆発的な攻撃力と精神的ムラが共存するチーム”は同志社のカラーの一つですが、(同志社ファンの方すいません。。)ここから先はこれでは厳しい戦いを強いられることになります。

今回は点差が開いたためそのまま逃げ切りの形をとれましたが、関西リーグの天理戦(12-34で敗戦)でもそうだったように、フォワードで劣勢になった時の戦い方は3連覇を達成した1984年以来の覇権奪回には必要不可欠な要素です。

次の舞台は準決勝、秩父宮。

ここからもう1段ピークを設定し東京でも関西旋風を巻き起こしてほしいと思います。

そして今年若くして亡くなられたOB平尾誠二氏に是非勝利を届けてほしいと思います。

頑張れ同志社大学!

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