こんにちは内弁慶サラリーマンなんくるナイトです。
いつも読んで頂きありがとうございます。
今日はラグビー大学選手権準々決勝の第3弾。
慶應義塾大学対天理大学のレビューを書いてみたいと思います。
大学選手権 準々決勝 第3試合
慶應義塾大学(関東対抗戦4位)ー天理大学(関西1位)
3回戦で流経大と同点の末、抽選で辛くも準々決勝へ進出した慶應義塾大対関西リーグを圧倒的な力で制した天理大学の対決です。
舞台は大阪花園、前の試合で同志社が早稲田を見事に下し、東西の盟主対決は西がリードしています。
さらに早慶明で残るは慶應のみ。
慶應が伝統校最後の牙城を守るか、シード校天理が関西王者の力を見せつけるか。
こちらも注目の一戦です。
試合経過
先制は天理。
開始早々の3分、タッチ際の密集からLO澤井選手が抜け出し、そこからPR山口選手、SH藤原選手と狭いスペースで上手くつなぎ最後はWTB久保選手が飛び込みトライ。
さらに、後半6分天理は慶應陣左から右へ展開、ボールが乱れたところをすかさずフォローしたFLコロイブニラギが抜け出しそのままトライ。
12-0と開始早々の速攻で一気にペースを掴みます。
慶應はスクラムなどフォワード戦で劣勢に立たされる中、後半34分に天理陣の密集付近をSH中鉢選手がするすると抜け出し追撃のトライ。
難しい位置からSO古田選手のゴールキックも決まり12-7と追い上げます。
このまま勢いをつけて一気に逆転と行きたいところでしたが、前半終了間際の41分。
天理は慶應ゴール前のスクラムで一気にギアを上げ、慶應をプッシュ。
ディフェンスの陣形が乱れたところをトライゲッターFBケレビ選手が持ち込みトライ。
ゴールも決まり19-7と突き離し前半を終えます。
そして後半、先に得点したのは慶應でした。
開始早々の3分に一気に天理陣内へ攻め込み、SO古田選手が天理のタックルを体をひねりながら上手くかわし、そのままインゴールへ持ち込みトライ。
ゴールも決まり5点差まで追い上げます。
さらにその3分後天理陣内で出来た密集からFL廣川選手が抜け出しトライ。
ついに同点に追いつきます。
しかし、ここで簡単にやられないのが今年の天理。
後半14分慶應ゴール前まで攻め込んでのスクラム。
押しの姿勢を見せるかに見られたが慶應のバックローがスクラムに集中し目を離したすきにNO.8中野選手がボールを持ち出しそのままトライ。
その後も19分にFBケレビ選手がトライを奪い29-19と突き離しにかかります。
そこからしばらく膠着状態が続き、慶應敗戦濃厚の雰囲気の中、36分に天理陣深く攻め込んでからSO古田選手がポイントを作り、そこからCTB堀越選手、WTB小原選手とつなぎトライ。
ついに5点差。1トライ1ゴールで逆転できるところまで持ってきます。
が、反撃もここまで。その後は天理の壁を崩す事が出来ず、そのままノーサイド。
慶應義塾大学 24 - 29 天理大学
戦評
慶應にとっては非常に惜しい試合でした。
スクラムの劣勢は戦前から予想されていましたが、前半から押されながらも随所随所では耐えきり、天理に完全にペースを明け渡さず接戦に持ち込む事に成功しました。
タックルでも天理のフォワード、そして突破力のあるFLコロイブニラギ選手、FBケレビ選手に対しても一人だけでなく二人でしっかりタックルに入りビッグゲインは許しません。
そして圧巻はゴール前。
天理は何度も慶應のインゴールを割る攻めを見せますが、グラウンディング直前にボールの下に体を入れ、天理のトライを防ぐ粘りのディフェンスを見せます。
この試合だけで3回ほどあったでしょうか。
その内の2回はSO古田選手です。
これが1本でもトライに繋がっていたら試合はもっとワンサイドになっていた可能性もあるだけに、本当に素晴らしいプレーだったと思います。
実際に古田選手を見たのは早慶戦からですが一試合一試合の成長が凄いですね。
ゲームメイク、ゴールキックの成長は言うまでもなく、この試合ではパス、キックだけでなく自らランで仕掛け攻めの拠点となるプレーも随所に見せました。
やはりこの選手は非凡です。医学部生ラガーマンの肩書はダテじゃありません。
それでも、全体でみると慶應にとってはベストゲームをしながら勝てなかったという印象ではないでしょうか。
慶應が勝つならこの展開という展開には持ち込みましたが、それでも勝ち切ることが出来なかったのはやはり実力は天理の方が上だったと認めざるを得ません。
強いて言うなら開始早々の連続トライを防ぎ、もう少し失点数を抑える事が出来ていたなら、、、
たらればですね。。
これで3回戦で京産に屈した明治、この前の試合で同志社の波に飲み込まれた早稲田、そして慶應と関東の盟主校3校が5季ぶりに正月超えを果たせず姿を消す形となりました。
しかも舞台は全て花園、相手は京産、同志社、天理と関西のチームです。
これは関西リーグのレベルが上がった事、そして帝京、東海など新興勢力に早慶明が遅れを取っていることを如実に示しているのかもしれません。
しかし、慶應に関しては対抗戦で明治、帝京、早稲田と3連敗を喫しながらチームを立て直し、3回戦でリーグ戦2位の強豪流経大と引き分けを演じた活躍は本当に見事なものでした。体格面で劣っていても果敢に突き刺さるタックル、点差をつけられても決してあきらめずに挽回しようとするメンタル。
どれを取っても”ラグビーのルーツ校”の名に恥じない姿を見せてもらいました。
今季の中心となったSO古田選手、3回戦で負傷し惜しくもこの試合を欠場したエースFB丹治選手はまだ2年生、そして他にもバックス陣は来季もほとんどの主力選手が残ります。
早慶明不在の正月は正直ラグビーファンにとっては物足りません。
おそらくスタンドも満員になるのは難しいでしょう。
再び早慶明が覇権を争う時代を心待ちにしながら来季の慶應の活躍にも期待したいと思います。
鈴木主将始め4年生の皆さんお疲れ様でした。
一方の天理大学。
まずは準優勝した2011年以来5季ぶりのベスト4進出おめでとうございます。
慶應の粘りに会いながらも冷静な試合運びをし、一度もリードを許さず逃げ切った今日の内容にはさすが関西王者の風格が漂っていました。
スクラムで優位に立ち、外国人選手を上手く使いながら慶應ディフェンス陣を苦しめ、キック合戦でもSO後藤選手のロングキックで効率的に陣地を稼いでいました。
確かに持ち味は出ていた。
と見る事も出来るかもしれません。
ただ、天理にとっては決して会心の勝利と言う印象ではないのではないでしょうか。
スクラムこそ序盤からプレッシャーをかける事が出来ていましたが、全体的にタックルは甘く、オフェンスでも関西リーグ勢を圧倒した凄みを感じる事が出来ず、どこかふわふわと綺麗にラグビーをしようとしている雰囲気がありました。
自分たちの強みを最大限に引き出し、いけいけラグビーで“打倒早稲田“を実現した同志社とは正反対の内容です。
もちろん、コンディショニング、メンタルの部分で同志社のピークがこの準々決勝にあったのとは異なり、天理はその先を見据えた戦いをしていたのかもしれません。
ただ、試合後の監督、主将のコメントからは「自分たちの強みを出せた、練習してきた成果を出せた」と成果の方を強調する内容が多く見られます。
果たして真意なのでしょうか?
負けたら終わりのトーナメントで、もし最後に逆転を許し敗れていても同じ内容のコメントを残す事が出来たのでしょうか?
もしそれが本当であればこの先の戦いは非常に厳しいものになると予想します。
今年のチームの仕上がりに絶対の自信を持っているとは言えベスト4の壁は決して低くなく、ここから先の戦いは一戦一戦に全てをかけて臨まなければ決して勝ち上がれるものではありません。
特に一発勝負のトーナメントでは一瞬の油断が命取りになりかねません。
その意味ではこの試合でもそういう鬼気迫るようなものを見せてくれることを願っていました。
少し熱くなってしまいましたが、、、
内容はどうあれ、まず“打倒関東勢“は果たしました。
この次に狙うのは“打倒帝京”そして”関西勢32年ぶりの頂点“です。
もう一度初心に帰り1月2日に全ての照準を合わせ、是非熱い天理の展開ラグビーを見せて欲しいと切に願っています。
関西王者の実力はこんなものではないはずです!