今年で7回目を迎え、すっかり春の風物詩となった関東大学ラグビー春季大会。
これまでの6年間は帝京大学連覇の歴史。
その間帝京は大学選手権も勝ち続けていることを考えれば、やはりこの時期とは言え、春季大会はそのシーズンを占う大事な位置付けにあると言えます。
昨年の大学選手権決勝で帝京に1点差と肉薄した明治、そして進化を続ける大東文化、慶應義塾も着実に王者との力の差を埋めて来つつあります。
昨季の対抗戦、リーグ戦上位勢によるAグループの激闘。
その軌跡を追っていきます。
タップできる目次
関東大学ラグビー 春季大会2018
Aグループ組分け
グループ | 順位 | 学校名 |
対抗戦A | 優勝 | 帝京大学 |
2位 | 明治大学 | |
3位 | 慶応義塾大学 | |
リーグ1部 | 優勝 | 大東文化大学 |
2位 | 東海大学 | |
3位 | 流通経済大学 |
対抗戦からは王者帝京に明治、そして昨季最終戦で青山学院相手に100点ゲームをし、得失点差で早稲田を抜いて3位扱いに浮上した慶應義塾。
リーグ戦からは大東文化、東海、流経大とお馴染みの3校です。
昨季はこのAグループを戦った早稲田の名前がここにない事は非常に残念ですが、監督も変わり新しいチームに生まれ変わったばかりであることを考えれば、このグループの相手は少々ハードルが高すぎるかと。。。
去年のように春にボロボロにされる事を考えれば、Bグループでまずは落ち着いてチーム作りに着手できるのはいいのかなとも思います。
スケジュール
第1節
4月28日(土) | 慶應義塾 | 12-63〇 | 大東文化 |
4月30日(月) | 明治 | 〇17-14 | 帝京 |
慶應義塾対大東文化
慶応対大東文化の一戦はアマト、タラウのファカタヴァ兄弟、シオペ・ロロ・タヴォの3人が同時出場可能となった大東が個々の力を見せつけ、危なげなく勝利を収めた。
特に昨年も”大学最強”の呼び声が高かったスクラムは今年も健在。
昨季道半ばで散った”モスグリーン旋風”が今年は本当に吹き荒れそうな予感を感じさせます。
一方の慶応は特にバックス陣に怪我人が多く、まだまだ手探りの布陣。近年着実に力を付けているのは間違いないため、同校史上初の”医学部主将”古田キャプテンの復帰と共に、今後の戦いに注目です。
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慶應スポーツ:【ラグビー】強敵相手に完敗・リベンジを果たせず/関東大学春季大会Aグループvs大東文化大
スポーツ大東:春季大会初戦、慶大に11トライの圧勝!!ルーキー朝倉は2トライの活躍
明治対帝京
そして、昨季選手権決勝の再現となった明治対帝京の注目の一戦。
劣勢ながらも1点差で辛くも逃げ切った帝京には”王者の矜持”を改めて感じさせられましたが、王者をあそこまで追い詰めた明治の姿には正直感動を禁じえませんでした。
最終盤の秩父宮に巻き起こった大観衆の”メイジコール”は今も耳に焼き付いています。
そして、それ以来の再戦となったこの日は逆に明治が3点差という大逆転勝利。
この時期の結果は各チームの”本気度”からなるメンバー構成にもよるので、一喜一憂する状況ではないが、明治にとっては例え春季大会であっても”王者に土をつけた”事は今後のチーム作りに向け非常に大きな意味を持つでしょう。
帝京が大学生相手に敗れたのは2015年11月の対抗戦筑波戦にまで遡る。
それ以前でも過去5年間で帝京を破った経験を持つのは筑波大のみ。
その意味では下級生はもちろんのこと、上級生ですら帝京という絶対王者に勝つ経験はしてきていません。
そんなチームにとってはたとえどんな試合でも、どんな形でも、”勝利”という結果から得られる”自信”は計り知れない意味を持つものでしょう。
さらに今年から外国人留学生の出場枠が2人→3人に拡大し、留学生を擁さない大学にとってはさらなる逆風が吹くと見られていました。
その意味でも今回、明治が帝京を撃破したという事実は早稲田、慶応、法政など、近年なかなか結果の出せない伝統校にとってもヒントを与えるものになったのではないでしょうか。
今年の明治はやはり強い!
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帝京大ラグビー部HP:関東大学春季大会A(さっぽろラグビーフェスティバル) 対明治大学戦
明大スポーツ新聞部:ラグビー部 絶対王者撃破 春初陣で帝京大に公式戦8年ぶり勝利/関東大学春季大会
第2節
5月5日(土) | 流通経済 | 35-53〇 | 慶應義塾 |
5月6日(日) | 東海 | 33-62〇 | 明治 |
流通経済対慶應義塾
昨季大学選手権ベスト8校同士の激突は後半まで一進一退の攻防を繰り広げるが、後半16分のWTB中山選手のトライを皮切りに、次々と慶応バックス陣が流経大のインゴールを陥れるなど5連続トライで突き放し、そのまま勝利を手にした。
慶応は古田主将、辻選手、丹治選手ら昨年の主力の多くが欠場するなど、苦しい布陣ながら、特にBK陣は経験の浅い選手らが躍動。
どの選手が入ってきても、チームとしての戦い方が変わらないところが今の慶応の強さですね。(早稲田は、、、)
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慶應スポーツ:【ラグビー】BK陣が疾走!!新戦力が活躍し逆転勝利を収める/関東大学春季大会Aグループ VS流通経済大
東海対明治
前節で王者帝京を下した明治の勢いはこの試合でも止まらない。
リーグ戦屈指の強豪東海を相手に前半だけで取るも取ったり50得点。
このレベルの戦いで「まさか100点ゲームか⁉」という心配が頭をよぎりますが、後半に入るとさすがに東海も息を吹き返し、最終的には62-33でノーサイド。
後半だけのスコアで見れば12-26と明治は「後半の戦い方に課題を残した」という声がもちろん上がると思うが、それでも前半明治が見せた破壊力は圧巻です。
東海がここまでボロボロにされる姿は近年で初めて見ましたし、正直ここまで勢いの差が露呈するとは非常にショッキングですね。
対抗戦勢の元気な姿を見れたのは嬉しく思いますが、近年のリーグ戦勢の砦、東海、流経大の元気のない姿は”リーグ戦のレベル維持”という観点からもとても気がかりです。。。
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明大スポーツ新聞部:ラグビー部 東海大相手に10トライ奪い快勝続く/関東大学春季大会
第3節
5月13日(日) | 帝京 | 〇38-17 | 大東文化 |
明治 | 〇61-14 | 流通経済 |
帝京対大東文化
明治と並び今季優勝候補の呼び声が高い大東文化。
帝京は前節明治に公式戦で久々の敗戦を喫しており、ここで大東大が勝利するようなら「今年の大学ラグビーは面白くなる!」とひそかに期待をしておりましたが、、、
結果は帝京の順当勝ち。
大東大はファカタヴァ選手など核となるところに強力な外国人留学生を擁しているため、個々の力で打開しようとしすぎている感が強く出ていた気がします。
ボールの扱い方の雑さも目立ち、昨年かなり改善されてきたはずの”ムラ”が散見されたのは非常に残念でしたね。。
試合途中でレイト気味に受けたタックルで、今やチームの要に成長したSH南選手(2年)が負傷退場してしまったのも大東大にとっては痛かったですね。。
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大東スポーツ:前半接戦も後半は沈黙...帝京に逆転負けを喫する
帝京ラグビー部HP:関東大学春季大会A 対大東文化大学戦
明治対流通経済
この日も明治の破壊力は健在。
前節、関東大学選抜チームに選ばれていた選手も合流した今節は、前節露呈した”後半の戦い方の拙さ”も改善され、全く危なげのない勝利。
これで強力な外国人留学生を擁するチーム(帝京、東海、流経)を3タテ。
この勢いどこまで続くのか⁉
次の慶明戦が楽しみですね。
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明大スポーツ新聞部:ラグビー部 流経大に大差で勝利 全勝で前半戦を折り返す/関東大学春季大会
第4節
5月20日(日) | 東海 | 7-69〇 | 帝京 |
慶應義塾 | 12-45〇 | 明治 |
東海対帝京
2015年度、2016年度の選手権決勝カードもこのような大差が付くようになってしまいましたか。。
帝京はマッカラン兄弟ら3人の外国人枠をフル活用。その他にも主将秋山選手、副将竹山選手らほぼフルメンバーといっていい布陣。
一方の東海は主将のモエラキオラ、デビタ・タタフ、モアキ・リードらチームの主戦級をメンバーに加えておらず、メンバーだけ見てもその差は明らか。
その差がそのまま点差に現れたと言ってしまえばそれまでだが、気になるのは東海のディフェンスの”淡白さ”。
前半だけで50失点を喫した明治戦に続き、この試合でも赤い壁に飲み込まれるように69失点。。
こんなチームだったでしょうか。。
流経大と共に近年リーグ戦の2強と言われた両チームですが、今年はメンバー的にも全盛時の勢いが失われつつあるのは明らか。
大東大が復活の兆しを見せているとはいえ、東海のレベル低下は対抗戦、リーグ戦のパワーバランスにも大きく影響を及ぼします。
まだまだ調整段階とはいえ、”リーグ戦の雄”としての誇りは失ってほしくありませんね。
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帝京ラグビーHP:関東大学春季大会A 対東海大学戦マッチレポート
慶應義塾対明治
昨季は春、秋共に慶應に軍配が上がった慶明戦。
近年は慶應に強い早稲田、早稲田に強い明治、明治に強い慶應という一つの不文律が出来あがっているように感じていましたが、そんな慶應でも明治の勢いを止めることは出来ませんでしたね。
とは言え、この試合から医学部生”キャプテン”古田選手が復帰したのは明るい材料。
東海、帝京と続くラスト2試合で秋へ向けた弾みを付けたいところです。
一方の明治は苦手慶應すらも一蹴し、これで負けなしの4連勝。
次戦大東大に勝利すれば7年目の春季大会で初優勝を飾ります。
大東大との”最強フォワード”対決。見逃せませんね。
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慶應スポーツ:主将古田が復帰するも明大に完敗/関東大学春季大会
第5節
5月27日(日) | 大東文化 | △31-31△ | 流通経済 |
大東文化対流通経済
前節帝京、明治にそれぞれ敗戦を喫した大東大対流経大の一戦。
今年の力関係を考えれば大東大優勢は間違いないと思っていましたが、蓋を開ければ終了直前までゲームがもつれる大接戦。
しかも、大東大がロスタイムのトライ&ゴール(ポールに当たりギリギリ入る。。)で辛くも追いつくという予想外の展開でした。
慶明を相手に2連敗し、残り試合が帝京、東海と厳しい状況に追い込まれていた流経大にとっては、ここで敗れればAグループ全敗という屈辱が現実味を帯びてくるほどこの試合は重要でした。
ここぞというところで結束し、フィジカル強度が一段とアップする強い時の流経大を見れたことは秋のリーグ戦に向けても非常にポジティブな結果だったと思います。
東海に元気のない状況ではなおさらですね。。
次回は流経大は帝京、大東大は明治とそれぞれ優勝候補に挑む両校。
リーグ戦勢の意地を見る事が出来るでしょうか。
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第6節
6月3日(日) | 帝京 | 〇82-17 | 流通経済 |
慶應義塾 | 〇50-41 | 東海 | |
明治 | 〇80-14 | 大東文化 |
対抗戦勢がリーグ戦勢を一蹴。
今年の構図を表すような結果となってしまいましたね。
一時の勢いが失われつつある東海、流経は致し方ない部分もあると思いますが、
昨年のリーグ戦覇者大東大はこんな結果ではいけません。
秋に向けて夏の強化に期待したいところです。
第7節
6月10日(日) | 大東文化 | 〇41-36 | 東海 |
帝京 | 〇52-12 | 慶應義塾 |
大東大は昨年のリーグ戦覇者の意地を見せ、何とか東海を振り切りました。
前々節では大東と流経が引き分ける結果に終わっており、
今年のリーグ戦上位3校の力が拮抗していることを如実に表しています。
逆に言うと本命不在でどこの大学にもチャンスがあるという事。
ここに私が個人的に期待している法政がどのように絡んでくるか。
秋シーズンが楽しみですね。
第8節
6月17日(日) | 流通経済 | 24-28〇 | 東海 |
最終節のリーグ戦強豪対決は東海に軍配。
これで春季大会での対戦成績は
大東大:1勝1分
東海大:1勝1敗
流経大:1分1敗
そして全ての試合が5点差以内。
この結果を記憶しながら秋シーズンの戦いを見ると、
夏合宿の伸び率がわかり、さらに楽しめそうです。
最終順位表
【最終順位】
優勝:明治大
2位:帝京大
3位:大東文化大
4位:慶應義塾大
5位:東海大
6位:流通経済大
帝京を撃破した明治がついに春季大会の初優勝を飾りました。
特に帝京戦以外は各リーグ上位勢を全く寄せ付けない戦いぶりで、
今年の充実具合が結果にも現れています。
田中新監督、そして幹部陣のインタビューを見ていても、全く満足している感はなく
今年に懸ける貪欲な姿勢が見て取れます。
元々、紫紺に集う素材は大学界随一、ここに謙虚さとトップレベルのコーチングを身に着けた明治は間違いなく強い。
今年は明治を中心に展開されていきそうな気配ですね。
早稲田はどうなるか....置いて行かれないようについて行ってほしいところです。。