高校ラグビーを追いかけてすっかり更新が滞ってしまいました。
その間に大学ラグビーも各リーグで佳境を迎え、関東リーグ戦、関西リーグは全日程を終了し、また関東対抗戦も最終節を前に、大学選手権出場校が決定しております。
今日は出場を決めたチームと選手権での組み合わせを見て行きたいと思います。
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第54回全国大学ラグビー選手権大会
大会出場枠
所属リーグ・地域 | 出場チーム数 |
関東大学対抗戦A | 3 |
関東大学リーグ戦1部 | 3 |
関西大学Aリーグ | 3 |
東北・北海道代表 | 1 |
東海・北陸・中国・四国代表 | 1 |
九州代表(九州学生リーグI部) | 1 |
前年度決勝戦出場チーム所属リーグ | 2 |
合計 | 14 |
出場枠は昨年と同様前年度決勝戦出場チーム所属リーグに1枠ずつが与えられるため、帝京大学が所属する関東対抗戦Aと東海大学が所属する関東リーグ戦1部は4校が出場する事が出来ます。
大会日程
開催日 | 時間 | 試合会場 | ||
1回戦 | 2017年11月26日(日) | 13:00 | パロマ瑞穂ラグビー場 | 愛知 |
2回戦 | 2017年12月3日(日) | 11:00 | グローバルアリーナ | 福岡 |
3回戦 | 2017年12月16日(土) | 11:30 | 秩父宮ラグビー場 | 東京 |
14:00 | ||||
12:05 | キンチョウスタジアム | 大阪 | ||
14:05 | ||||
準々決勝 | 2017年12月23日(土・祝) | 12:05 | 秩父宮ラグビー場 | 東京 |
14:20 | ||||
12:05 | キンチョウスタジアム | 大阪 | ||
14:05 | ||||
準決勝 | 2018年1月2日(火) | 12:20 | 秩父宮ラグビー場 | 東京 |
14:10 | ||||
決勝 | 2018年1月7日(日) | 14:00 | 秩父宮ラグビー場 | 東京 |
出場校
それでは各リーグから名乗りを上げた大学を見て行きましょう。
関東対抗戦A
帝京大学
帝京大は今年も定位置の対抗戦1位を確保。
ただ、例年リーグでは圧倒的な破壊力を誇っていた攻撃力は今年は鳴りを潜め、明治、慶応、そして早稲田にも接戦の末、辛くも勝利を収めるという脆さも露呈しています。
先週末に行われた筑波戦でも見られた、ゲーム開始早々にあっさりトライを奪われた場面が物語るように、ゲームへの入りの部分で課題が見受けられます。
ただ、それでもしっかり勝利を収めてくるあたりはさすが。
これから本番を迎えるにあたり、例年の様にもう1段ギアをあげてくる余力があれば、9連覇への道は開けてくるのではないでしょうか。
いずれにしても今年のチームも大学生相手では年間を通して無敗を継続しており、今大会も優勝候補筆頭である事は間違いありません。
9連覇へのカギとなるのは今年強化を進めてきたスクラムと松田力也選手というビッグネームの後を継いだルーキーSO北村選手(御所実)の出来となりそうです。
早稲田大学
春、夏と強豪校相手に思うような結果が残せなかった早稲田ですが、“ワセダは毎年夏を超えると化ける”と言われるように、対抗戦に入ってからは徐々にチームが仕上がりつつあります。
特に整備されてきたオフェンスで王者帝京と互角に渡り合えた(●21-40)事で自信が生まれた事は大きく、先週の早慶戦ではフォワードが劣勢を強いられる中、ハーフバック団を中心としたスピードアタックで12点差のビハインドを跳ね返した試合は、強い早稲田を印象付けるには十分な内容でした。
ただ、対抗戦全ての試合で一人、異次元の活躍を見せるSH齋藤選手なくしてこの結果はありえず、一人に頼らざるを得ない部分に層の薄さが見られ、また重点強化ポイントであるはずのスクラムが全く強みを発揮できていない部分は大きな不安要素です。
チームディフェンス、ブレイクダウンはある程度の成果が出ているだけに、選手権での上位進出のためにはフルメンバーを維持する事とスクラムの整備が必要不可欠です。
まずは12月3日(日)に行われる早明戦でしっかり勝利をものにし、対抗戦2位で選手権出場を果たしたいところです。
明治大学
春夏シーズンから“重戦車復活”を印象付けてきた今年の明治。
対抗戦序盤こそ、その破壊力が猛威を振るいますが、慶応に敗戦を喫した辺りからどこかチームに迷いが生じている様に感じられます。
11月18日に行われた帝京戦では開始4分のトライを皮切りに、なすすべなく3本のトライを奪われ、前半20分で20点のビハインドを許すなど、王者へ挑戦する立場としては試合への入りのまずさを露呈する形となってしまいました。
チームがパニックになった際に本来立ち戻る場所であるはずの“スクラム“ですら不発に陥った時、どのようにチームをコントロールするのか。
古川主将、梶村副将らリーダー陣のキャプテンシーに対する真価も問われます。
それでも、新入生含め個々のメンバーは他校が羨むほど豪華そのもの。
今年のチームはここで燻っているチームではないはずです。
自分たちの強みを改めて見直してチームを整備し、昨年京産大に金星を献上した悪夢を払拭する姿を選手権で見せて欲しいと思います。
慶応義塾大学
前評判通りの強さを発揮している今年の慶応。
SO古田選手、FB丹治選手ら昨年から主力を張ったメンバーが今年も充実しているバックス陣はもちろんの事、今年の慶應の強さはフォワード陣の奮闘によるところが大きいのは疑いの余地はありません。
帝京、明治、早稲田相手にフォワードで優位に立つ慶応の姿は殆ど記憶になく、今年の充実ぶりが伺えます。
特に高さ、強さを兼ね備えた佐藤主将、辻選手の両ロック陣は間違いなく今年の大学No.1コンビ。
対戦する大学はラインアウトなどのセットプレーや密集サイドでこの両選手を抑える事が勝利へのカギとなります。
早慶戦ではチャレンジャーとして向かってきた早稲田の前に受けに回り敗戦を喫しましたが、今年の実力に疑いようはなく、再び挑戦者としてのマインドセットに成功すれば、選手権で旋風を巻き起こす可能性は十分にあると思います。
関東リーグ戦1部
大東文化大学
ついに“モスグリーン軍団“が復活の時を迎えました。
ドシャ降りの中、死闘の末昨季2位の流経大を撃破した試合(○19-14)、そして王者東海を1トライに封じ込めた試合(○12-5)は感動の一言。
特に東海戦で見せた“狂気のタックラー“FL河野主将を中心とした次から次に相手へ突き刺さったタックルには久々に魂を揺さぶられました。
進化を続ける今年のスクラムは間違いなく大学界No.1の破壊力を誇り、NO.8アマト・ファカタヴァ選手、WTBシオペ・ロロ・タヴォ選手ら留学生を中心としたオフェンスも他校を凌駕するポテンシャルは十分。
試合ごとのムラをなくし、このチームディフェンスの強度を維持する事が出来れば、選手権での真の復活も見えてくるのではないでしょうか。
今年は大東大に大注目です。
東海大学
PR三浦選手、FB野口選手、CTB鹿尾選手ら日本代表キャップ保持者にNO.8デビタ・タタフ選手、WTBモエアキオラ選手ら留学生を擁する布陣は関東リーグ戦だけでなく、全体を見渡してもタレント力は大学界No.1です。
しかし、昨年は最終戦で流経大、今年は大東大に不覚をとるなど、チャレンジャーとして向かってくる相手に近年脆さを見せているのもまた東海大の特徴です。
昨季は比較的楽な組み合わせのままピークを帝京との決勝へ持って行く事が出来ましたが、2位に終わった事で、初戦が対抗戦4位(早慶明)、準々決勝が天理と今年は選手権初戦からピークを保ち続けなければいけません。
昨年までとは異なる立場で迎える一発勝負のトーナメントで、どのようなチームマネージメントを見せるのか、今年こそ同校悲願の優勝達成はなるのか、楽しみは尽きません。
流通経済大学
大東大、東海の後塵を拝した流経大。
No.8大西主将を中心にした強力なフォワード陣は健在ながら今年は今一つチームとして波に乗り切れない印象を受けます。
リーグ戦3位に終わった事で3回戦を突破すれば準々決勝では王者帝京大とのカードが待ち受けます。
昨年はリーグ戦2位ながら初戦でエンジンがかかりきらないまま慶応に不覚をとった同校。
今年は初戦をしっかり勝ち切り、昨年リーグ最終戦で東海相手に見せた鬼気迫るプレーで帝京に挑戦して欲しいと思います。
法政大学
法政が2年ぶりに大学選手権へ戻って来ました。
リーグ戦13回の優勝を誇る名門も昨季はまさかの7位で入れ替え戦へ回る憂き目に遭いました。
今年から元東福岡監督の谷崎氏から島津新体制となり、特にフォワードを中心に強化を進めて来ました。
大東大、東海、流経大といったリーグ戦TOP3にはまだまだ及ばないものの、昨年まで目立っていた中位、下位チーム相手の取りこぼしも改善され、3勝4敗ながら4位に滑り込みました。
今年1勝6敗の最下位に低迷した関東学院に敗れるなど、まだまだ脆さは残りますが、昨季入替え戦からの復活劇は見事。
往年のファンも胸を撫で下ろしている事でしょう。
ただ、選手権初戦の相手は強力フォワードを擁する京産大。
フォワードに課題を持つ法政としては最も苦手なタイプの相手と言えます。
CTB東川主将、WTB中井選手、根塚選手、FB萩原選手などバックス陣には決定力を誇るランナーを擁しているだけに、フォワード陣がいかに踏ん張れるかが、“オレンジ軍団“復活のカギを握ります。
関西大学Aリーグ
天理大学
今年も全勝で関西リーグを駆け抜けた天理。
夏合宿では関東強豪校相手に苦戦を強いられましたが、激戦の関西リーグでの安定した戦いぶりを見る限り今年も関東勢と互角に渡り合える実力を有している事は疑いようがありません。
ただ、東海大がリーグ2位に終わった事から選手権初戦でいきなり激突する可能性が濃厚となり、2年連続の正月越えには大きな壁が立ちはだかります。
関西随一のフォワード陣が東海の誇る強力フォワードにどこまで対抗できるか。
夏合宿では14-45と完敗を喫しているだけに、そのリベンジにも注目が集まります。
京都産業大学
昨年選手権3回戦での明治撃破が決してフロックではなかった事を証明した京産大。
関西王者天理には屈したものの、それ以外を全勝で乗り切った事は大きな自信になった事でしょう。
特に昨季選手権ベスト4の同志社を圧倒した試合(○72-19)は衝撃でした。
選手権初戦で法政を破れば、対抗戦2位チームが待ち受けます。
2年連続の“関東上位勢”撃破に向けて、気運は上り調子です。
立命館大学
勝利した方が選手権出場権を得る関西大との最終戦を制し名乗りを挙げた立命館。
前評判は高かったものの3連敗スタートを喫した時はどうなる事かと思いましたが、その後見事4連勝で3位に踏みとどりました。
立命館の代名詞は何と言っても“強力フォワード“。
初戦では関東対抗戦3位で早慶明いずれかとぶつかりますが、どこと当たったとしてもフォワードを前面に押し出した戦いで、関西リーグ勢の意地を見せて欲しいですね。
東北・北海道代表
東北学院大学
東北地区ラグビーリーグを全勝で制し、北海道大を下して2年連続の出場を果たした東北学院でしたが、先週行われた選手権1回戦で朝日大の前に0-83と完敗。
地域格差の激しい大学ラグビーにあって地方チームが参加できる大学選手権は貴重な場、また来年いいチームを作り上げてこの大会に戻ってきてほしいですね。
東海・北陸・中国・四国代表
朝日大学
週末に行われた選手権1回戦で東北学院を破り2回戦にコマを進めた朝日大。
昨年同じ場所で敗れた福工大は九州リーグで敗退したためリベンジは叶いませんでしたが、今年は“打倒九州勢”として挑んでくるでしょう。
九州リーグ
福岡大学
今年の九州リーグは波乱の連続でした。
リーグ戦後の順位決定戦でリーグ戦1位、2位の福岡工大、九州共立大が4位日本文理大、3位福岡大にそれぞれ敗れるという下克上が起きました。
特に日本文理大はリーグ戦では福工大に0-84と完敗していただけにその衝撃は相当のものです。
そして最終的に九州代表を勝ち取ったのは福岡大。
長く福工大の後塵を拝していた古豪の選手権出場は実に7年ぶりです。
昨年は福工大が東海地区代表の朝日大を撃破しており、リベンジに燃える朝日大との激突が楽しみです。
大会組み合わせ
関東対抗戦最終節前
リーグ戦で大東大が1位、東海大が2位、流経大が3位となった事で、昨年とは全く異なる組み合わせが実現しました。
現時点で対抗戦2位~4位が確定していませんが、再激戦区となるのは間違いなく天理、東海が入るシマです。
3回戦で東海は早慶明のいずれかと激突、それを制したら関西王者の天理、そして準決勝では絶対王者帝京が待ち受けます。
逆に早慶明としてはこのシマだけは何としても避けたいはず。
最終順位決定は今週末の早明戦の結果次第。
早稲田は勝てば2位が確定し、明治は勝てば得失点差でほぼ2位が確定しますが、敗れれば4位転落となります。
12月3日(日)の早明戦は宿命のライバル同士の激突とは別の意味でも熱い戦いとなりそうです。
最終組み合わせ
そして、本日行われた早明戦、慶応対青山学院戦の結果、最終組み合わせは以下の通りとなりました。
勝った方が対抗戦2位を確定させる早明戦は激戦の末、10点差で明治に軍配(29-19)。
この結果、明治が2位を確保し、3回戦がシードとなる有利なポジションを獲得致しました。
これで初戦の相手は京産大と法政大の勝者となり、もし京産大が上がってきた場合は、昨季カードの再現となり、敗れた明治にとっては絶好のリベンジの機会となります。
そして、最終戦で青山学院相手に119-5と圧倒した慶応は早稲田とあった100点近い得失点差をいっきに縮め、逆転での3位を確保。
これで、初戦の相手は関西3位の立命館となり、何が何でも避けたかった東海との初戦を回避する事に成功しました。
準々決勝ではリーグ戦王者となった大東文化との激突のため、決して楽な組み合わせではありませんが、最激戦区を回避できたのは上位進出を目論む慶應にとっては朗報です。
そして、、早明戦での敗戦からまさかの4位へ転落してしまった早稲田。
一番避けなくてはいけなかった最激戦区へ割り振られる事となり、東海大との対戦が決定してしまいました。
優勝への道のりは東海、天理、帝京を乗り越えていく必要があります。
全て春夏シーズンで大敗をしている相手だけに、苦戦は必至ながら、このポジションなら失うものは何もありません。
まずは初戦の東海戦に今年の全てをぶつけてほしいですね。