創部120周年のメモリアルイヤーに対抗戦5位と苦しみ、選手権出場を逃した慶應義塾大学

慶應が全国の舞台から姿を消したのは1997年度以来、実に22シーズンぶりのこと。

明治、早稲田の伝統校が相次いで復活を遂げる中、日本最古の歴史を誇る”ルーツ校”にとっては、明暗が分かれる結果となりました。

再起を図る新シーズンへ向けて、4月18日に同部HP上で2020年度の新入部員が発表されました。

今年はどのようなメンバーが『黒黄軍団』の仲間入りを果たしたのでしょうか。

<新入生情報2021↓>

慶應義塾大学蹴球(ラグビー)部 新入部員と注目選手

2020年度新入部員一覧

PO氏名出身校サイズ代表歴
PR岡広将桐蔭学園173/99
PR杉之原晃生慶應義塾172/90
PR杉山諄慶應義塾185/101
PR末永拓三慶應義塾170/75
PR豊島健太郎茗渓学園176/101
HO酒井貴弘慶應義塾169/84
HO福澤慎太郎本郷168/85代表候補
U17代表
LO小松秀輔名古屋178/94
LO多田聖也慶應義塾178/83
FL木村亮介慶應義塾172/80
FL齋藤浩太郎慶應義塾168/74
FL富田颯樹慶應志木173/79
FL濱本紘輝慶應義塾169/70
FL福本航平常翔学園170/83
FL本郷海志慶應志木171/80
No.8井上皓介慶應義塾175/94
SH櫛田憲吾クライストチャーチ
ボーイズ
163/68
SH小池輝利慶應義塾169/74
SH中山元八戸171/74
SH吉田統胡慶應義塾168/68
SO上野知和慶應義塾175/73
SO三木海芽城東167/79
CTB大久保凌慶應義塾178/75
CTB中西一真慶應義塾177/77
CTB永山淳国学院
久我山
188/93U20候補
高校代表
U17代表
7’sアカデミー
WTB相澤源希仙台三175/75
WTB櫻井翼国学院
久我山
169/70
WTB清水鳴哲本郷175/74
WTB樋口豪桐蔭学園174/85
WTB森田祐輝慶應NY174/71
FB大野嵩明慶應義塾175/75
FB行徳冠生東福岡180/83
FB佐々仁吾国学院
久我山
173/76
FB松岡陽平慶應義塾170/75
FB矢部耀司クライストチャーチ
ボーイズ
170/79
FB山田響報徳学園174/72高校代表
ユース五輪
代表
7’sアカデミー

(情報元:慶應義塾大学蹴球部HP)

総勢36名が新たに入部することになりました。

高校日本代表(候補)クラスは3名と決して多くはないものの、”弟分”慶應義塾高校からは、共同主将のPR杉之原選手、FB松岡陽平選手を含む16名が加入。

全国屈指の『高大連携』は今年も健在です。

注目はこの選手!

本郷躍進の”象徴”

フォワード陣は、慶應高のレギュラークラス6人に加え、

桐蔭学園の花園優勝メンバーであるPR岡広将選手、

茗渓学園で2年生からレギュラーを張る”パワフルランナー”PR豊島健太郎選手、

そして、バックス並みのフィールドプレーと献身的なタックルで、常翔学園の花園ベスト4へ貢献したFL福本航平選手など楽しみなメンバーが入部。

 

中でも一番の注目は本郷の福澤慎太郎選手でしょう。

本郷中の中心選手として『太陽生命カップ全国中学生大会』で”準優勝”という実績を引っさげて高等部へ進学。

そしてその準優勝を経験した”黄金世代”が中心となったチームは、彼らが2年生の時に都予選決勝で目黒学院を破り8年ぶりとなる花園出場を果たすと、翌年となった昨冬は同決勝で国学院久我山との激戦を制し2年連続で花園切符を獲得。

福澤選手はその全ての試合に出場し、自身も高校日本代表候補に選ばれるなど、まさに”本郷躍進の象徴”として活躍しました。

フォワードながらバックス並みのハンドリングスキルを持ち、低い姿勢から防御網を突き破るボールキャリーは破壊力満点。

そのプレースタイルは、下級生時代から昨年まで慶應フォワードを支え続けたFL川合秀和前副将を彷彿とさせます。

同じポジションには、1年生から試合に出場し、昨年定位置を確保した原田衛選手(3年・桐蔭学園)という強力なライバルが存在しますが、是非1年目からAチームに絡む活躍を見せてほしいですね。

世代屈指の”両雄”並び立つ

続いてはバックス陣。

まずは国学院久我山が誇る万能バックス・永山淳選手。

久我山は一昨年、昨年と都予選決勝で敗れたため、惜しくもチームとしての花園出場は叶いませんでしたが、永山選手個人としては高校2年生で”U17日本代表”、”高校日本代表候補”、そして3年生では”高校日本代表”へ選出された逸材。

さらに、今年6月に行われる予定だったU20チャンピオンシップ(コロナウィルスの影響により中止)に向けたU20日本代表候補に、バックスで唯一高校生として選出されるなど、その実績と実力は折り紙つき。

福澤選手擁する本郷と激突した花園都予選決勝で、試合終了間際に記録したトライは、名門久我山の”プライド”を見せつける印象的なシーンでした。

その試合ではスタンドオフを務め、代表にはセンターとして選出されるなど、バックスの複数ポジションをこなせるユーティリティ性に加え、188cm/93kgと規格外のサイズも魅力十分。

慶應にとっては待望の『大型センター』の加入と言えるのではないでしょうか。

昨年加入した慶應史上初の留学生イサコ・エノサ選手とのセンター陣が形成されることになれば、迫力満点のライン攻撃を見ることができそうです。

それにしても、昨年卒業した槇瑛人選手(早大2年)といい今年の永山選手といい、久我山にはやはりいい選手が在籍していますね。

 

 

そして、今年度の慶應最大の目玉はやはり山田響選手(報徳学園)でしょう。

この選手の実績は永山選手をも上回ります。

高校1年でセブンスユースアカデミーに選ばれると、2年生ではアルゼンチンで行われた『ユースオリンピック』にセブンズ日本代表として最年少出場。

南アフリカを破るなど全6試合に出場し、日本初の銅メダル獲得に貢献。

さらに15人制でも、2年生の時に飛び級で”高校日本代表”に選ばれると、代表遠征最終戦のU19ウェールズ代表戦では、途中出場からわずか5分で2トライを奪うなど抜群の決定力を披露。

その才能が世界で通用することを証明しました。

今年度は、諸事情のため1月末に行われた代表の”最終セレクション”を辞退する形となりましたが、もし参加していれば代表選出の可能性は極めて高かったことでしょう。

50m6秒1を誇るスピードもさることながら、機を見るに敏なライン参加、的確なポジショニング、そして相手を一瞬で置き去りにするステップワークは世代随一。

この選手がボールを持てば何かやってくれる。

見ている人にそんな期待感を抱かせてくれます。

 

長崎北陽台の山口泰輝選手(帝京大)、常翔学園の吉本匠希選手(立命館大)、御所実の石岡玲英選手(法政大)、大阪桐蔭の芦塚仁選手(同志社大)、東海大仰星の谷口宜顕選手(東海大)ら、才能豊かなビッグネームが集うこのポジション。

それぞれが新しいチームでどのような活躍を見せてくれるのか。

高いレベルでしのぎを削る彼らの成長を楽しみにしたいと思います。

 

そしてそれ以外にも、

ヒガシのリーダーの1人として、高本とむ選手(帝京大)、松岡大河選手(京産大)と共に破壊力抜群のバックスリーを形成した行徳冠生選手(東福岡)、

都予選決勝で見応えのあるマッチアップを何度も披露したWTB清水鳴哲選手(本郷)と、FB佐々仁吾選手(国学院久我山)、

そして、文武両道を地で行く城東で1年生からレギュラーを張り、徳島県勢初の”選抜2勝”という快挙を達成したチームで主将と司令塔を務めた三木海芽選手など、楽しみな逸材がずらり。

たとえリクルートがなくても、さすが慶應、いい人材が集まってきます。

『黒黄軍団』復活へ

接戦を演じながらも勝ち星に恵まれず苦しんだ昨シーズン。

それでもリーグ最終戦では、9年ぶりに帝京を撃破。

”手負いの虎”は最後にその意地を見せつけました。

この試合で最も輝きを放ったのは、リザーブスタートの栗原主将に代わり、ゲームキャプテンを務めたFL川合秀和副将。

『Man of the Match』に選ばれた試合後の挨拶で、ファンに向けて発したコメントは忘れることができません。

「最後に全員で慶應のプライドを見せることができた。選手権は逃してしまったが、慶應ラグビーはこれからも続いていく。」

途中言葉に詰まりながらも、気丈に前を向き語った来季への想い。

今年はその意思を受け継ぐ後輩達が、ルーツ校としての”プライド”を取戻すシーズンです。

再起を懸ける『黒黄軍団』。

強い”ケイオー”の帰還が待ち望まれます。

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(最新)慶應義塾大学蹴球(ラグビー)部 新入部員と注目選手

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