関東リーグ戦1部2018

9月16日に開幕した関東大学ラグビー リーグ戦1部。

近年は東海大の躍進もあり、このリーグからは4校の大学選手権出場枠を確保してきました。

しかし、昨年の大学選手権決勝が帝京対明治の対抗戦勢同士の戦いとなった事から、今年このグループに与えられる出場枠はわずかに3校。

序盤で下位校相手に取りこぼしをしてしまったチームは、早々に選手権出場へ黄信号が灯るという例年になく緊張感に包まれた戦いを余儀なくされます。

さらに、今年は大東大を除く上位陣が春夏シーズンから軒並み不調。

このままでは主要リーグという立場ながら関東対抗戦、関西リーグの後塵を拝す危険性すらはらんでいます。

このまま”モスグリーン軍団”1強の時代となってしまうのか⁉

東海流経が強豪の意地を見せるのか⁉

それとも古豪・法政が真の復活を遂げるのか⁉

その戦いの軌跡を追っていきます。

(※結果は随時更新していきます)

 

2018 関東リーグ戦1部

第1節

9月16日 専修 21‐53〇 大東文化
法政 〇43-10 中央
拓殖 7-47〇 東海
流通経済 〇29-26 日本

開幕節は4強が順当に勝利。

ただ、敗れたとはいえ日大の戦いぶりには心が熱くなりましたね。

14-29で流経大リードで迎えた残り10分。

ここからの粘りは見事の一言でした。

この試合を通じて貫いた気迫あふれるプレーでロスタイム含む2連続トライで26-29。

「あと5分時間が残っていたら...」

「後半30分に流経大にPGを許してさえいなかったら...」

たらればになってしまいますが、この試合の日大は見ている者にそんな気持ちを抱かせるほど””を感じさせてくれました。

今年あの”アメフト問題”で激震に揺れた日大。

ラグビーとアメフトを混同した一部ファンからは、ラグビー部に対しても厳しい言葉が投げつけられるなど、同じフィジカルコンタクトを伴うスポーツ従事者として辛い立場に追い込まれたことだと思います。

しかし、ラガーマンとして出来ることは

”試合で魂のこもったプレーを見せる事”

”どんなに苦境に立たされても諦めない姿勢を示すこと”

”激しい中にもフェアプレーを貫くこと”

ラグビーファンはそんな彼らの姿をきっと見ているはずですし、今日のようなプレーを続けていく事でこそ、失われた”日大ブランド”の復活は見えてくるはずです。

”がんばれ日大!!”

そんな思いを抱かせてくれる開幕戦でした。

 

 

第2節

9月23日 東海 〇48-28 日本
大東文化 〇55-5 拓殖
9月24日 専修 〇38-33 法政
流通経済 〇29-7 中央

大東東海流経はそれぞれ順当勝ち。

とは言え、対抗戦で90点、100点ゲームが連発しているのとは対照的に上位、下位勢の戦いの中、点差の詰まったゲームになっているのが今年のリーグ戦の特徴です。

ここまでの最多得点は大東大が今節拓殖相手に記録した55。

今年のリーグ戦勢の実力拮抗を表していると言えます。

前節流経大相手に善戦した日大は今節も強豪東海相手に果敢なチャレンジを見せました。

前半早々に3連続トライを喫し完全にワンサイドゲームになるかと思われましたが、今年の日大はここで大崩れしない。

前半の内に2トライを返すと、後半途中には5点差まで追い詰める奮闘ぶり。

最終的には東海の地力に屈しアップセットはなりませんでしたが、20点という点差ほど力の差は全く感じませんでした。

戦っている東海側も引き離しても引き離しても追いすがってくる日大には、肝を冷やしたのではないでしょうか。

今年の日大やはり一味違います。

 

そして、、、今年、個人的に躍進を予想していた法政に波乱がおきてしまいました。。。

今年2部から昇格した専修にまさかの敗戦。

大学選手権出場枠の3位以内に入るためには、終盤戦まで一つも落とすことのできない状況の中、第2戦で早くも喫してしまった黒星。。

法政にとっては痛すぎます。

しかし振り返ってみても、試合開始早々に2トライを許す試合の入りの悪さ、ハンドリングミスの連発、2人目以降のサポートの遅さに見られる集中力の欠如、この試合に懸ける執念、フィジカル・フィットネス不足、、、などなど。

敗戦の要因となったポイントは一つではありません。

FL吉永、WTB根塚、FB萩原ら前節から主力にメンバー変更が生じているとは言え、この状態では”真の復活”への道のりはまだまだ険しいと言わざるを得ません。

次節拓殖戦でもこの状況が続くようなら選手権出場どころか、入替戦が視界をよぎってきます。

 

ただ、この試合はそれら全てで法政を上回った専修の方を褒めるべきでしょう。

33-33の同点で迎えたロスタイムラストワンプレー。

法政ボールスクラムをターンオーバーしトライに結びつけたのは、フォワード陣8人の集中力、そして勝利への執念が生んだ猛プッシュでした。

2部から上がってきたとかは関係ない、格上、格下も関係ない、一試合一試合を全て勝つつもりで臨むんだ。

そんな気持ちが伝わってくるような専修の戦いぶりでした。

村田亙監督、、いいチームを作ってきましたね。

 

次節、専修は流経と相まみえます。

連続のアップセット達成へ気力は充実。

期待しましょう!

 

 

第3節

10月6日 中央 5-78〇 東海
法政 〇60-17 拓殖
10月8日 専修 14-56〇 流通経済
日本 13-52〇 大東文化
この日は4強が順当に勝利を収めました。
 
ここまでいまいち元気がなかった流経大も、前節で法政を破るなど1部昇格組ながら順調なチーム作りを進めてきた専修を一蹴。
 
第5節から始まる”4強決戦”を前にそろそろエンジンをかけていきたいところです。
 
そして東海もこの日は中央に爆勝。
 
東海はここまで3試合、フォワード陣は全て同じスターティングメンバーが先発。
 
バックスも今節からWTBモリキ・リード、CTB坪田が今季初先発を飾った以外は全て同じメンバー。
 
東海クラスの大学はリーグ戦序盤は毎試合メンバー変更を繰り返しながら、来るべき終盤戦に向けて最適解を模索するのが常。
 
もちろん、固定メンバーで怪我なく戦い続けることが出来ているという事は言えるかもしれません。(個人的にはNo.8タタフ、SO眞野のメンバー復帰を期待してますが...)
 
ただ、今年のチーム方針として全体の底上げよりもAチームの成熟度を上げる事にフォーカスしているようなプランが伺えます。
 
今季は春から苦戦続きだった東海。
 
春季大会で流経大、夏合宿で早稲田に勝った以外は全敗。(2勝9敗)
 
早くからメンバーを固定せざるをえないのは、今季のチーム力に危機感を抱いているということの表れか。
 
今年は大東大以外は混戦模様のリーグ戦。
 
第5節から始まる4強直接対決に向けて、まずは次節でどのようなメンバーで臨み、どう戦うのか。
 
楽しみですね。

 

第4節

10月20日 日本 31-41〇 法政
東海 〇73-15 専修
10月21日 拓殖 33-40〇 流通経済
中央 17-81〇 大東文化

法政は日大とのシーソーゲームを制し3勝目。

ここで星を落としていたら上位対決を前に3位以内確保が難しくなっていただけに、何とか首の皮一枚つながった結果です。

日大はこの日も法政相手に奮闘。

後半17分の段階で一時リードを奪いましたが、ラスト15分を粘れず悔しい逆転負け。

上位相手に4連敗と結果は出せませんでしたが、毎試合毎試合熱い戦いをファンに見せてくれており、昨年と比較すると明らかにチーム力が上がっています。

次節以降の初勝利に期待ですね。

 

そして、ついにNo.8テビタ・タタフがメンバー復帰を果たした東海

この日挙げた11トライ中実に8本をフォワード陣が記録するなどフォワード陣に勢いが戻ってきました。

特に後半17分過ぎからの怒涛のトライラッシュは見事。

東海らしさを取り戻しつつあります。

 

次節からは上位4校(大東大、東海大、流経大、法政大)による直接対決がスタート。

大学選手権への”わずか3枠”をめぐる戦いもいよいよ佳境に入ってきます。

 

第5節

10月28日 東海 △33-33△ 流通経済
日本 〇50-38 拓殖
大東文化 〇54-36 法政
専修 〇27-17 中央

いよいよ始まった上位対決。

第1弾は大東大対法政。

大東大はここまで4試合を全て失点を21点以下に抑えてきましたが、この日は法政相手に36失点。

昨年は”狂気のタックラー”FL河野主将を中心とした強固なディフェンスを作り上げ、リーグ戦王者に返り咲きました。

リーグ戦での失点は法政、流経大に喫したわずか14。

あの東海大さえも5失点(〇12-5)に封じ込めた鬼気迫る守備は”モスグリーン軍団”の復活を印象付けると共に、ラグビーファンを魅了しました。

ファカタヴァ兄弟(LOタラウ、No.8アマト)を中心とした攻撃力は今年も破壊力抜群なだけに、選手権での上位進出を見据える大東大にとってはディフェンス面に課題を残す結果となりました。

一方の法政にとっては痛い2敗目。

崖っぷちまで追い詰められた結果です。

”真の復活”はやはりまだまだ遠い道のりなのか。。。

残る東海、流経大を相手に名門の意地を見せてほしいところです。

 

 

そしてもう一つの上位対決東海流経大は33対33の引き分け。

4度のリードを追いついた流経大の粘りが光る内容でした。

 

それにしても流経大は上位との戦いになると毎年見違えたようなチームに変貌しますね。

一昨年の東海戦(〇29-26)、昨年の大東大戦(●14-19)がいい例です。

強豪相手となった瞬間にディフェンスの集中力と共にメンバー全員のギアが一段上がる姿は見ていて明らか。

やはり力は持っているチームなんですよね。

ただ、その気持ちの部分のムラがチームがもう一段上に上がれない要因のような気がしてなりません。

リーグ終盤に上がって来た気力が選手権まで持続できず、ベスト8でまるで別のチームのようにあっさりと姿を消してしまうのはその表れでしょう。

今年リーグ戦3位のチームは選手権のベスト8で対抗戦の1位チームと対戦する事がすでに決まっています。

上位進出するためには何とか2位以上には入りたいところ。

そのためには次節の大東大戦が大きな山場となってきます。

 

そして東海にとっては痛い星を落としてしまった結果です。

昨年まで正SOを務めた眞野泰地がアウトサイドCTBとして臨んだ復帰戦でしたが、残念ながら勝利で飾ることはできず。

2年ぶりの優勝を目指す東海にとっては苦しい立場に追い込まれました。

次節で対戦する法政はもう一敗も出来ない状態で挑んでくるため激戦は必至。

春先から苦戦の連続だった今季のチームにとって山場となる一戦を迎えます。

 

そして、日大を忘れてはいけません。

拓殖を相手に待望の今季初勝利!

残念ながら選手権への芽は摘まれていますが、最後まで日大らしさを見せた戦いをしてほしいですね。

 

 

第6節

11月10日 法政 17-39〇 東海
大東文化 〇46-14 流通経済
11月17日 日本 〇47-10 専修
11月18日 拓殖 〇12-7 中央

法政対東海、大東大対流経大。

リーグ戦が誇るチーム同士の直接対決が見れた11月10日の秩父宮。

しかし、、集まった観衆はわずか3,445人...

前週明慶戦、早帝戦という対抗戦注目の4強決戦に19,000人の大観衆が集結した事を考えると...何とも寂しい限りです。

もともと人気の差はあれど、これが今の対抗戦とリーグ戦の注目度の違いと言えます。

試合展開も東海、大東大が前半だけで大量リードを奪い、早々に大勢が決するという同じような展開。

私も含め法政、流経大の善戦を見たかったファンにとっては残念な結果となってしまいました。。。

特にここで敗れると大学選手権への道がほぼ絶たれる法政

名門の最後の意地に期待していましたが、試合開始早々から自陣でのペナルティを連発し、

ペナルティ⇒ゴール前ラインアウト⇒モール⇒トライ献上

と負のスパイラルに陥り失点を重ね、前半だけで27失点。

なすすべなくトライを献上する様は、まさに前週帝京に屈した早稲田の姿を見るようでした。

実力が上のチームを相手に番狂わせを起こすためには、

”先制点”、”ペナルティ&ミスを最小限”、”ロースコアの展開”がマスト。

特にフォワードに力を持ち、リードを許すとスローペースの展開に持ち込まれる東海相手では、この展開は厳しいと言わざるをえません。

 

それでも東海は一昨年(●0-78)、昨年(●7-76)と惨敗を喫した相手。

近年全く歯が立たなかった相手に後半だけを見れば12-12と五分。

FW陣も後半は東海相手にスクラムを押し込むケースが見られるなど、強化は間違いなく成果として現れてきています。

”ビッグスリー”と互角に戦える土壌は出来つつある。

後はそこにゲームプランと試合中の修正能力が身に付けばさらなる高みにいけるはず。

次戦最終節の相手は流経大。

こちらも近年なかなか勝てていない相手です。

流経大が棄権しない限り、法政の大学選手権出場は夢と消える状況ですが、、、

オレンジ軍団の最後の意地に期待しましょう!

 

そして、流経大を危なげなく退けた大東大はこれで6戦全勝で勝点24。

優勝の行方は勝点2差で追いかける東海との直接対決に委ねられることになりました。

今年の大学選手権組み合わせはリーグ戦2位は”死のグループ”行きがほぼ見えている状態。

優勝の行方と共に最終順位も注目です!

 

大学選手権の組み合わせはこちら👇

【勝手に組み合わせ予想も⁉】ラグビー大学選手権2018 日程&組み合わせ表

 

最終節

11月25日 流通経済 21-22〇 法政
拓殖 〇33-24 専修
大東文化 21-28〇 東海
中央 12-69〇 日本

法政は最後の最後で意地を見せてくれましたね。

後半26分に今シーズンなかなか結果を残せていなかったエースWTB中井健人が勝ち越しトライを決めると、ラスト15分間は流経大の怒涛のアタックを止め続け、1点差で逃げ切りに成功。

リーグ戦BIG3(東海、大東大、流経大)の一角を下したのは実に2014年の流経大戦以来。

低迷の続く法政ですが、やはり上位争いへ割って入る実力を持っていることを証明した結果です。

今シーズンの法政は島津体制2年目として充実したメンバーを抱え、課題だったFWの強化も順調に進み、上位進出を見据えたシーズンでした。

実際、大学選手権への出場権を得た3位流経大との勝点差はわずか1。

十分にリーグ戦を勝ち抜ける力を備えていました。

それだけに、、、第2節専修戦でのつまづきが最後まで尾を引いてしまいましたね。。。

33-21の状態からラスト15分で立て続けに3トライを許す壮絶な逆転負け。

来期は島津体制3年目の集大成。

下位相手の取りこぼしをなくさない限り優勝、そしてその先は見えてきません。

来期のオレンジ軍団に期待しましょう!

 

そして優勝は、、、最終節の直接対決で大東大を撃破した東海となりました。

昨年大東大へリーグ戦盟主の座を明け渡した東海でしたが、わずか1年でその座を奪還。

しかし春夏シーズンの元気のなさを考えれば、この結果は正直予想できませんでした。

シーズンが深まるにつれメンバーが揃ってきたという事もあるかと思いますが、大東大の強力な外国人勢へ突き刺さり続けたタックルと、15人一体となった集中力はまさに全盛期の東海そのもの。

大東大の”一強”と考えていたリーグ戦勢ですが、東海の復活で面白くなってきましたね。

リーグ戦覇者の初戦は明治と立命館の勝者との準々決勝。

明治が勝ち上がったとすると、、、

東海対明治。

たまらない試合になりそうですね!

 

 

2018年最終順位表(11月25日付け)

 

リーグ戦1部順位表

 

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