9月9日ついに開幕した関東大学ラグビー対抗戦Aグループ。
明治、早稲田がオフシーズンに帝京を連破するなど、王者に肉薄するチームが現れている今季。
例年にも増して激戦が予想されます。
昨年、帝京、明治が大学選手権決勝を戦い、その2枠が与えられるため、今年このグループの大学選手権への出場枠は”5”。
よほどの波乱がない限り、帝京、早慶明、筑波でほぼ決まりと考えるのが妥当でしょう。
ただ、今年の注目はそれだけではありません。
帝京が大学選手権連覇を節目の”10”に伸ばすか⁉
早慶明が対抗戦王者の座を奪回できるか⁉
順位を一つでも上げて、如何に選手権(トーナメント)の好スロットを掴むか⁉
そこにラグビーファンの興味は凝縮されると言ってもいいでしょう。
そこでここでは、第1節から第7節までの激闘の軌跡と順位を見ていきたいと思います。
(※結果は随時更新します)
2018年 関東対抗戦Aグループ
第1節
9月9日 | 早稲田 | 〇55-10 | 筑波 |
9月15日 | 日本体育 | 17-84〇 | 慶應義塾 |
明治 | 〇88-0 | 青山学院 | |
9月16日 | 帝京 | 〇113-7 | 成蹊 |
<注目試合>
早稲田 〇55-10● 筑波
舞台は今年新設された埼玉県三郷市にあるセナリオハウスフィールド。
私の自宅からここまでは、電車では乗り継ぎ乗り継ぎで少々行きづらいところにあるため、どうせ同じお金を払うなら、とレンタカーを借りて家族で訪れた。
住宅街の一角に突如現れたグランドと、驚くほど鮮やかな緑の芝生に圧倒されると共に、客席に収まりきらず立見客まで現れる盛況ぶりに、この試合の注目の高さが伺えた。
そして結果は....
正直ここまでの圧勝劇は予想すらしていませんでした。
実際、早稲田は春季大会で筑波に完敗を喫しており、強靭なフィジカルから毎年激しいブレイクダウンを強いられる相手で、近年の早稲田にとってはどちらかというと苦手とするタイプ。
ただ、今年に限って言うと、開幕戦でいきなり当たれたことは結果的に早稲田の方に吉と出たように感じます。
なぜなら、早稲田は8月の夏合宿で帝京を下すだけでなく、大東大、東海とも接戦を演じたことにより、チーム全体が上昇気流に乗っていたこと
そして、ケガ人、代表での離脱組が復帰し、例年の対抗戦ではなかなか組めなかったベストメンバーの状態で開幕を迎えられたこと。
筑波にとっては春季大会時に対峙したメンバーと大幅に変わっていたため、戦力分析、戦術構築が難しかったこと。
開始早々の2トライ献上でエンジンがかかる前に主導権を渡してしまったこと
などなど。
フォワードはまだまだメンバーは流動的になりそうですが、バックスはSH齋藤、SO岸岡、両CTB中野、桑山(淳)、両WTB古賀、長田(ケガで前半早々に離脱⇒梅津と交代)、そしてFB河瀬とビッグネーム揃い。
このメンバーでシーズンを通して戦う事が出来れば、他大学にとっては脅威となる事間違いありません。
ようやく、理想形が見えた気がします。
一つ不安を挙げるならオフェンスのタクトを握るSO岸岡のキックの精度(ダイレクトタッチ連発)ですかね....
ただキック自体の判断はよく、素晴らしいキックも何度も蹴りこんでいいたので、制度の部分は今後修正してきてくれるでしょう。
そして、そこに今日の試合で上手くハマったような、早稲田伝統の”アタックル”、”チームディフェンス”がさらに機能してくれば、覇権奪回は決して夢物語ではない。
主将、副将がスタメンに不在(佐藤主将はリザーブ入り)で、3年生以下を中心にしながらも、試合を通して体を張り続けたフォワード陣、黄金時代を彷彿とさせるほどのタレントが揃い始めたバックス陣。
まだ開幕を終えたばかりですが、今年への期待値が劇的に上がってしまいました。
ジャージも伝統の白襟、縞模様のアカクロへ戻し、”創部100周年”を戦う準備が整った早稲田。
中盤戦大きな山場となる11月4日の帝京戦に向けて、メンバーの最適解を模索しつつ、この勢いのまま突き進んでほしいと思います。
第2節
9月23日 | 帝京 | 〇141-7 | 青山学院 |
成蹊 | 5-99〇 | 早稲田 | |
9月30日 | 慶應義塾 | 〇35-24 | 筑波 |
日本体育 | 17-31〇 | 明治 |
<9月23日>
帝京は大量得点で青学を一蹴。
下位チーム相手とはいえ驚愕の21トライ141得点...
いくら100点ゲームが頻発する大学ラグビーとは言え、ここまでの点差はあまり記憶にありません。。。
春夏シーズンで苦しんだ”絶対王者”に火が付いてきたというところでしょうか。
一方の青学は春季大会Cグループでも、リーグ戦1部昇格組の専修大、2部降格の関東学院にも敗戦を喫するなど5戦全敗と元気がありません。
今年就任したOBの大友孝芳新監督のもと、立て直しを図る今季ですが非常に厳しい船出となっていますね。
そして初戦で強豪筑波を予想外の大差で下した早稲田。
この日は序盤こそ自分たちのペナルティからリズムを崩し、成蹊大に差し込まれる時間が目立つも、徐々にペースを取り戻し終わってみれば99得点の圧勝。
SO岸岡、WTB古賀、FB梅津が3トライずつ上げるなど、自慢のバックスで15トライ中13トライを記録。
バックスが華麗に走り回る早稲田はやはり見ていておもしろい!
新戦力のCTB中西(1年・早実)やWTB桑山聖(4年・鹿児島実)、WTB佐々木(4年・桐蔭学園)ら開幕戦のスタメンに名を連ねることが出来ず、悔しい思いをしたメンバーも躍動しバックス陣の層の厚さを見せつける結果となりました。
試合の入りの部分で筑波戦で見せたような集中力が感じられなかったのは残念ですが、ここは”勝って反省できる”という事でいいのではないでしょうか。
もちろん、首脳陣、選手たちがそう思っていないことは試合後のコメントから読み取れますし、慢心はないでしょう。
ターゲットはあくまでも11・4帝京戦!
それまではメンバーを入れ替えながらチーム力を熟成させる期間にしてもらいたいところです。(もう負け試合は見たくありません..)
<9月24日>
筑波は慶應にも敗れこれで連敗。
開始早々のキックチャージからのトライで波乱の気配が漂いましたが、慶應フォーワードの圧力にディフェンスが持ち応えられず。。。
フォワードの縦にこだわった慶應の戦略勝ち(今年の慶應はフォワードがいい!)という見方も出来ますが、それ以上に筑波のディフェンスの脆さが目立ちました。
激しい接点と強烈なタックルに代表されるように肉弾戦は筑波のお家芸でしたが、それらでこの日は慶應に上回れた結果。
筑波にとっては点差以上に完敗といってもいい内容でした。
明治は日体大の執拗なタックルにまさかの大苦戦。
かろうじて勝利はものにしましたが、他校が大量点を積み重ねる中での14点差は後々得失点に大きく響いてきそうです。
昨年は最終的に早慶明の順位が得失点で決定したこともありますしね。
とは言え、全勝優勝しか眼中にない今年の明治にとっては杞憂でしょうか。
第3節
10月7日 | 早稲田 | 〇123-0 | 青山学院 |
筑波 | 21-66〇 | 明治 | |
慶應義塾 | 〇64-14 | 成蹊 | |
日本体育 | 7-90〇 | 帝京 |
この日早稲田の試合は足利陸上競技場。
今住んでいるところからなら車で1時間半(車はないのでレンタカーですが)、電車で2時間。
昨年まで住んでいた大阪からと考えれば決して行けない距離ではない、しかも筑波-明治の試合も見れる...
悩みに悩みましたが、これから続く”マスト観戦”の帝京戦、早慶戦、早明戦の事を考えると、ここは家族へわがままを通す段階ではないと判断し、J-Sports On demand(JOD)での観戦を選択。
JODは対抗戦、リーグ戦、関西リーグのほとんどの試合をLive放送するので、ラグビーファンにはたまりません。
J SPORTS
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さて、この試合早稲田は青山学院を相手に19トライの猛攻で123得点。
早稲田の100点ゲームは2014年の明治学院戦(104-0)以来。
近年、得点力の低下が課題の一つだった早稲田ですが、筑波戦55得点、成蹊戦99得点、そしてこの日の123得点と着実に攻撃力がついてきているのは間違いありません。(FW:6トライ / BK:13トライ)
この日3トライのハットトリックを達成したNo.8幸重、CTB中野(将)、WTB佐々木らをはじめ、今季の布陣は下級生時代から中核を担ったメンバーが中心。
昨季限りで辞任した山下前監督は「シニアチーム(A/Bチーム)にフォーカスしすぎた」と批判されることもありますが、”創部100周年での日本一奪還”という至上命題をわずか3年でクリアするためには、帝京のような全体の底上げよりもまずは少数精鋭を育て上げる手段以外になかったのではないかと思います。
重点強化ポイントにあてた”チームディフェンス”、”ブレイクダウン”、”スクラム”は2年間で結果を出せたとは言えないと思いますが、ことチームディフェンスに関しては今年の夏合宿の帝京戦、そしてここまでの対抗戦を見ていても確実に進化を遂げています。
もちろん、相良新監督の手腕によるものは大きい事に異論はありません。
ただ、継承するコーチ陣に大きな変更はなく、その素地を作ったのは過去2年間にあったと言えると思います。
私もこのブログで色々と厳しい言葉を並べてきましたし、部の内部事情は分かりませんが、山下体制での3年目も見てみたかったという思いは今でもあります。
とは言え、これで早稲田は3連勝。そして初の完封勝利。
ターゲットとなる帝京との全勝対決(11月4日)が見えてきましたね。
そして、前節日体大の粘りの前に苦しんだ明治でしたが、この日はWTB山村、FB山沢ら自慢の攻撃力が爆発し難敵筑波を撃破。
筑波にとってはスクラムで明治に完全に上回られたのが誤算でしたね。
今年の明治はフォワード、バックスともに充実し、とてもいいチームに仕上がってきています。
慶應は成蹊、帝京は日体大にそれぞれ順当勝ちし、これで帝京、早慶明が3連勝、それ以外が3連敗と昨季の上位校と下位校の明暗がくっきりと分かれる事になりました。
個人的に今年のダークホースに挙げていた筑波は早慶明に3連敗。
日程的なハンデがどうなるかと思っていましたが、見事に私の読みは外れてしまいましたね...
しかし、今年は対抗戦から5校が大学選手権へ出場できます。
筑波のここからの奮起に期待したいです。
第4節
10月20日 | 明治 | 〇110-0 | 成蹊 |
10月21日 | 慶應義塾 | 19-24〇 | 帝京 |
青山学院 | 31-73〇 | 筑波 | |
日本体育 | 10-68〇 | 早稲田 |
明治は成蹊に圧勝。
早稲田も春季大会初戦で不覚を取った日体大相手に、前半こそ21-10と競る展開に持ち込まれるも、後半に入ると怒涛のトライラッシュで終わってみれば68得点の猛攻。
春のリベンジを果たしました。
この試合ではバックス陣で唯一の4年生WTB桑山(聖)が、ハットトリックという結果で最上級生としての意地を示すと共に、WTB古賀(2年)、CTB長田(1年)、FB河瀬(1年)ら期待の下級生トリオもそれぞれトライを記録するなど躍動。
既に今年の早稲田に必要不可欠な存在感と安心感を醸し出しています。
次節はいよいよ王者・帝京戦!
若きアカクロ軍団が王者の壁をぶち破れるか。
今年は大いにチャンスありです!
帝京は今節慶應に苦しみながらも5点差で振り切り全勝を維持。
来る11月4日(日)は早稲田-帝京の”全勝決戦”、明治-慶應の伝統の”慶明戦”が秩父宮で見れます。
久々の秩父宮。
これはマスト観戦でしょう!
第5節
11月3日 | 青山学院 | 〇26-23 | 日本体育 |
成蹊 | 0-101〇 | 筑波 | |
11月4日 | 明治 | 24-28〇 | 慶應義塾 |
帝京 | ○45-28 | 早稲田 |
11月4日(日)は久しぶりの曇天模様。
パラパラと落ちる小雨と上がらない気温で底冷えしそうな気候でしたが、スタンドはそれを吹き飛ばすほどの大盛況。
早慶戦、早明戦以外でこんなに人が集まるのか。。
対抗戦観戦のブランクがあるとは言え、これは誤算でした。
少し遅れていったら中央よりの位置は確保できず端っこの方に....
慶明戦の伝統と両校に対する今年の期待値の高さが伺えます。
明治対慶應義塾
明治にとってはなぜ負けたのか、なぜこのような試合展開になってしまったのか、モヤモヤが残る結果でしょう。
戦前の予想通り、というか毎年の慶明戦通り、試合は明治FWが慶應に圧力をかける展開。
相手ボールスクラムをターンオーバーするなどスクラムの優劣は明らか。
バックス陣の顔ぶれを見ても、タレント力は明らかに明治が上。
....だが、それでもなかなか圧倒的できない。
慶應のゲームプランはいたってシンプル。
突き刺さっては立ち上がり、また突き刺さるタックル。
執拗なブレイクダウンでプレッシャーをかける。
ボールを持つとフォワードの縦を中心に愚直に順目、順目への攻めを繰り返す。
奇をてらった戦略もサインプレーもない。
突出する個も存在しない。(この日は一人で違いを生み出せるFB/WTB丹治が欠場)
それでも、、
その一つ一つの精度が高いんです。
一人一人がぶれずにそのプレーを遂行し続けれるんです。
だから帝京、明治と肩を並べる事が出来るんです。
最後に逆転につながったトライは明治がスクラムをプッシュした瞬間に慶應No.8がそれと入れ替わるようにボールを持ち出し、スクラムサイドを駆け抜けたもの。
圧倒したい明治とそれを逆手に取りたい慶應。
その構図が最後に如実に表れた試合だったと感じました。
「小さいものが大きいものを倒す工夫」
タックル、ブレイクダウン、サポートプレイ、シンプルなゲームプラン。
慶應にあって今の早稲田にないもの。
さて、早稲田は如何に...
早稲田対帝京
この敗戦は非常にショッキングです。
「今年は何か起きるかも!」
「ついに王者を倒す瞬間が...」
帝京戦を前にそんな気持ちにさせてくれたのは実に8年ぶり。
早稲田が対抗戦で最後に帝京に勝利した2010年以来でした。
しかし、、、その淡い期待は前半だけで脆くも崩れ去りました。
開始早々のわずか30分で4トライを献上し0-28。
しかもその内2トライはスクラムトライ。
チーム全体が帝京の猛烈なプレッシャーにさらされ何もできず、フォワード陣は帝京フォワード陣に完全に粉砕されました。
帝京は前節慶應戦でも露呈したように試合への入りの部分に課題を抱えてました。
立ち上がりのトライで精神的に優位に立つ。
これが早稲田が勝利するために求められるポイントでした。
それだけに前半早々の猛攻で早稲田がトライを取りきっていれば、また展開は違ったものになったかもしれません。(最終的にノックオンでカウンターを食らう結果)
しかし逆に言うと、帝京も自分たちの課題を理解し、そこにしっかり対策を立ててきたという事でしょう。
抜かれても抜かれても戻ってはタックルを繰り返す執念、そしてゴール前は絶対に破らせないという集中力は見事としか言えません。
準備してきたスクラム、立ち上がりの集中力、ペナルティを最小限に抑える規律(早稲田10に対し帝京2)。
対策として立ててきたことを大一番で選手全員がしっかりやりきる。
これが王者の強さなんだと改めて実感しました。
「後半は28-17だから力は互角」
「次やれば勝てない相手ではない」
そんな議論には何の意味もない。
大勢が決してからの得点とイーブン状態での得点では価値が違う。
確かに後半の早稲田の4トライはどれも鮮やかでスーパーなトライでした。
昨年よりも成長していることは間違いない。
ただ、、結局勝てなければ意味がないんです。
それでも顔をあげよう。
試合中スタンドからは再三早稲田に対するヤジが飛んでいたが、
それは最後には「ありがとう!」、「がんばれよ!」に変わっていた。
早稲田ファンは復活を待っている。
そして今年は十分にその力がついてきていると信じている。
次はいよいよ早慶戦。
待ったなしです!
第6節
11月18日 | 青山学院 | 〇21-12 | 成蹊 |
帝京 | 15-23〇 | 明治 | |
筑波 | 〇55-24 | 日本体育 | |
11月23日 | 慶應義塾 | 14-21○ | 早稲田 |
明治 〇23-15 帝京
ついに紫紺が深紅の王者を飲み込んだ。
”圧倒”、”撃破”、”粉砕”、”劇勝”、、、
色々な表現ができると思うが、この日の戦いを象徴する言葉は”飲み込んだ”が一番しっくりくる気がします。
まずは”スクラム”。
前半5分のペナルティ、前半10分のトライ、そして後半2分のトライ。
それら全てがスクラムを起点に得点につなげたもの。
中でも、帝京ボールスクラムをターンオーバーし、CTB森勇登のキックをWTB高橋汰地が確保しインゴールへ持ち込んだトライはあざやかの一言。
この試合を象徴するトライだったと同時にこの日の両校の勢いの差を如実に表したシーンでした。
鍛え上げてきたスクラムはこの試合を通して王者を苦しめ続け、
「スクラムで勢いを持たせてしまった」
試合後の岩出監督が語るように、重戦車がまさにスクラムで王者を”飲み込んだ”試合だったと言えるでしょう。
そして、もう一つは”観客”。
1万1000人と前節の慶明戦、早帝戦の入りと比較するとスタンドには空席も見えたが、駆け付けたファンの多くは紫紺を後押し。
ビッグタックルに沸く声援、押し込むスクラムに自然発生する”メイジ”コール、鮮やかなトライに狂喜乱舞する紫紺の旗、そして歓喜を迎えた瞬間の涙。
まさに明治劇場。
2年前の大学選手権3回戦で同志社が早稲田を撃破した時の花園のように、この日明治ファンは聖地秩父宮を完全に明治のホームに変え、勇敢な選手らとともに絶対王者を飲み込みました。
帝京相手に10年ぶりの対抗戦勝利を飾った明治はこれで帝京と並び5勝1敗。
次節早明戦に勝利すれば3年ぶりの対抗戦優勝が見えてきます。
一方の帝京も次節筑波戦に勝てば対抗戦史上最多の8連覇が確定。
ただ、早稲田、慶應も含めこの4校はこの先の結果によってはどのチームにも優勝の可能性が残り、どのチームも4位に転落する可能性を秘めています。
混沌としてきた今年の対抗戦。
今週はいよいよ早慶戦。
楽しみましょう!
早稲田 〇21-14 慶應義塾
”晴れの特異日(晴れの確立が一番高い日)”の名の通り11月23日は快晴。
初冬の肌寒さはあるものの絶好のラグビー日和の中、95回目を迎える早慶戦は行われました。
この日は今年中国から帰国し数年ぶりの秩父宮観戦という大学時代の先輩と共に観戦。
かくいう私も早慶戦の生観戦は10年以上ぶりと、学生時代は毎年の恒例だったイベントも今は昔。
お互い年を重ねたことを実感しながら(?)の観戦です。
前週明治が帝京を下したことで、対抗戦はここまで帝早慶明4校が1敗で並ぶという近年稀にみる大混戦。
両校に優勝の可能性が残るという事もあり、意地とプライドが激しくぶつかり合う好ゲームの末、前半から効率よく点を重ねた早稲田に軍配。
最後の早稲田ゴール前の攻防に声が枯れるほどの声援を送った多くのアカクロ狂はさぞ溜飲を下げたことでしょう。
逆に慶應にとっては痛恨の敗戦です。
想定以上の早稲田のディフェンスプレッシャー、ゴール前ラインアウトの低獲得率、優位と見られていたスクラムの誤算など当初のゲームプランに狂いが生じたことは否めません。
ただどうしても解せないのは、、、
なぜペナルティを狙わなかったのか?
ということ。
この日慶應は前半4分、12分、33分に割とイージーな場所でのペナルティを獲得するも、全てタッチキックを選択するも、その後のラインアウトが全て不発。
結果前半を無得点で終えてしまったことで、逆にDG、PG、トライなど着実に加点した早稲田にペースを握られる展開となった。
確かに前節の明治戦も含め今年の慶應はPGを狙う戦略を殆どとっていないのは事実。
ただ、、ここ最近の早慶戦の戦績を見てみると、、
2014年 早稲田 △25-25 慶應義塾
2015年 早稲田 〇32-31 慶應義塾
2016年 早稲田 〇25-23 慶應義塾
2017年 早稲田 〇23-21 慶應義塾
そう、慶應にとっては勝利こそあげられていないものの全ての試合が2点差以内の大接戦。
このように拮抗した力関係の中ではキックの差が勝敗に直結するというのは明白な事実。
そして慶應の主将は頭脳明晰、冷静沈着、全体を俯瞰する視野の広さ、キックの精度、そしてSOとしても大学界随一のゲームメーカーである古田京。
2年生から早慶戦に出場するなど下級生から主力として活躍した逸材ですが、早慶戦デビューとなったその試合(●23-25)では自らのタッチキックミス、PGミスが敗戦につながってしまった苦い経験をしています。
あの時の彼の表情は今でも脳裏に焼き付いています。
その彼だからこそ、キックの重みは分かっていたはず。
チームのゲームプランに口を挟む気はありませんが、今シーズンの対抗戦で94%の成功率を誇る左足をもってすれば、この9点はこの日の試合展開に大きな意味を持っていたと、早稲田目線ではなく1年時から追いかけてきた古田選手の一人のファンとして残念に思えてなりません。
大学選手権での奮起に期待します!
そして劣勢の下馬評を見事に覆した早稲田。
やはり今年のチームの目を引くのは華麗なるバックス陣です。
目の肥えたファンですらも度肝を抜くドロップゴール(約55m!)と的確なエリアマネージメントを披露したSO岸岡(東海大仰星)。
無尽蔵のスタミナで早稲田のテンポを生み出し続けたSH齋藤(桐蔭学園)。
FB河瀬(東海大仰星)のラインを切り裂くカウンターアタック。
そしてこの日も別格の存在感を示したCTB中野(東筑)。
他にもCTB桑山(淳)(鹿児島実)、WTB古賀(東福岡)、長田(仰星)...
4年生不在ながら気が付けば高校時代のスター選手揃い。
誰がボールを持ってもワクワクするこの期待感はいつぶりでしょうか⁉
このタレント力は間違いなく大学界でも随一の布陣です。
良い人材が帝京、明治に流れると言われる中、このメンバーを早稲田に結集させたことだけでも山下前監督の功績だと個人的には思いますね。(だからこそ低迷の言い訳にはならないのですが。。。)
ただ、この日の勝利の陰には、若きスター達を輝かせる”縁の下の力持ち”の存在があった事を忘れてはいけません。
劣勢が予想されたスクラムでほぼ互角に組み合い、激しいプレッシャーで相手キーマンのSH江嵜の動きを封じ、そして密集サイドで繰り返されるLO辻、FL川合、山本らの強力な縦突進を体を張って止め続けたフォワード陣。
中でも自陣ゴール前で再三のピンチを救ったラインアウトは、ペナルティゴールを狙わずトライを取りに来た慶應の歯車を狂わせた大きな要因となりました。
とは言え試合全体を通しては、後半ロスタイム早稲田陣ゴール前での(慶應にとっては痛恨の)ノックオンなど、相手のハンドリングミス、ペナルティに助けられた部分も正直あり、ラインディフェンス(特にブラインドサイド)やスクラムにもまだまだ課題があるのは事実。
それでも、
早慶戦は僕らにとって特別な試合。何で早慶戦が負けられないか。その具体的な理由があるわけじゃなく、俺らがワセダで相手がケイオーだから。
試合後、佐藤主将が語ったように早慶戦は理屈じゃなく勝つ事が全て。
そして次週、それ以上の意味を持つ早明戦勝利の先に、8年ぶりの対抗戦優勝が見えてきます。
そして最後に、試合に出られなかった悔しさを胸に秘め試合後のインタビュー、会見に臨んだ佐藤主将。
その毅然とした対応、コメントに心から敬意を表したいと思います。
第7節
12月1日 | 青山学院 | 17-98○ | 慶應義塾 |
筑波 | 10-66○ | 帝京 | |
12月2日 | 早稲田 | ○31-27 | 明治 |
成蹊 | 12-59〇 | 日本体育 |
帝京が筑波を下したことにより帝京の対抗戦8連覇が決定。
対抗戦の8連覇は早稲田を抜いて史上最多となります。
序盤で早慶明に3連敗を喫し今シーズン苦戦の続いていた筑波は最終的に帝京にも完敗。
3勝4敗の5位で大学選手権の出場枠こそ確保しましたが、初戦がリーグ戦2位の大東文化大と厳しい戦いを強いられることになります。
また、帝京が勝利したことにより12月2日に行われる早明戦で勝利した方が、帝京と両校優勝となる事が確定しました。
大学選手権への順位付けは
・早稲田が勝利の場合
1位 帝京
2位 早稲田
3位 慶應義塾
4位 明治
※1位と2位、3位と4位は当該対戦の勝敗により
・明治が勝利の場合は
1位 明治
2位 帝京
3位 早稲田
4位 慶應義塾
※1位と2位、3位と4位は当該対戦の勝敗により
早明戦から目が離せなくなりましたね!
2018年最終順位表
大学選手権の組み合わせは👇