明日いよいよ開幕を迎えるラグビーワールドカップ2019日本大会。

我らがジャパンは開幕戦のロシア戦を皮切りにプール戦全4試合を戦います。

決勝トーナメントへ進出できるのは5チーム中わずか2チーム。

史上初のベスト8を目指すジャパンが入るプールAの展望と順位予想をしてみたいと思います。

予選プールA

アイルランド  (9大会連続9回目)

世界ランキング1位

 

<2019年テストマッチ戦績>

・6か国対抗戦  3勝2敗 3位
2/3   ●20-32 イングランド  ダブリン
2/9   ○22-13 スコットランド エジンバラ
2/25 ○26-16 イタリア    ローマ
3/11 ○26-14 フランス    ダブリン
3/16 ●7-25   ウェールズ     カーディフ

・テストマッチ
8/10 ○29-10 イタリア      ダブリン
8/24 ●15-57 イングランド    ロンドン
8/31 ○22-17 ウェールズ     カーディフ
9/7   ○19-10 ウェールズ     ダブリン
通算6勝3敗

過去6大会で準々決勝に進出しながら、なかなかベスト8の壁を破れないアイルランド。

今回は初めて世界ランキング1位として本大会に臨みます。

スクラム、モールの中心を担う主将のHOローリー・ベスト(37歳)、185㎝/125kgの巨漢を生かし驚異の突破力を誇るPRターグ・ファーロング(26歳)らに代表されるフォワードはフィジカルが強く機動力があり、正確なキックと自らトライを奪う嗅覚に優れるSHコナ・マレー(30歳)、”世界No.1ゲームメーカー”との呼び声高いSOジョナサン・セクストン(34歳)らバックスはタレント揃い。

2016年、2018年にオールブラックス(NZ)を破っている事からも、今大会の優勝候補に挙げられるのは当然と言えます。

ただ、8月24日に行われたイングランド戦ではラインディフェンスが崩壊し、イングランドの誇るバックス陣にいいように走られ52失点の大敗。

長らく世界トップに君臨する王国ニュージーランドがこのような大量失点で敗れることは考えられず、世界ランク1位国としてまだ圧倒的な力を見せつけるまでには至っていません。

プール戦を通過するとベスト8で待ち受けるのはほぼ確実にNZ南アのどちらか。

今大会もベスト8の壁は高いと予想します。

 

スコットランド  (9大会連続9回目)

世界ランキング7位

 

<2019年テストマッチ戦績>

・6か国対抗戦  1勝3敗1分 5位
2/2   ○33-20 イタリア    エジンバラ
2/9   ●13-22 アイルランド  エジンバラ
2/23 ●10-27 フランス    パリ
3/9   ●11-18 ウェールズ   エジンバラ
3/17 △38-38 イングランド  ロンドン

・テストマッチ
7/18 ●3-32   フランス   ニース
7/24 ○17-14 フランス   エジンバラ
9/1   ○44-10   ジョージア  トビリシ
9/7   ○36-9     ジョージア  エジンバラ

通算4勝4敗1分け

”ジャパンの天敵”SHグレイグ・レイドロー(33歳)、欧州最高のFBスチュアート・ホッグ(27歳)らバックスに世界有数のタレントを擁すスコットランド

ただ、世界ランキングが示すようにW杯でもなかなか上位進出が叶わず、1991年のベスト4を最後に過去5大会の最高成績はベスト8止まり。

欧州6か国対抗でも1999年以来20年間優勝から遠ざかっており、ティア1国(ラグビー伝統国)ながら優勝を狙える位置にいないのが現状です。

2015年大会にジャパンは南アを撃破したあと”中3日”で同国へ挑み完敗を喫しましたが、今回はスコットランドが同じ状況。(10月9日ロシア戦、10月13日日本戦)

相手の強度は違えど中3日はやはり厳しい日程です。

ジャパンとの最終戦を前にした対ロシア戦でどんなメンバーを組んでくるのか。

各試合でのメンバー構成にも注目したいと思います。

 

日本  (9大会連続9回目)

世界ランキング10位

 

<2019年テストマッチ戦績>

パシフィックネーションズ杯  3勝0敗 優勝
7/27 ○34-21 フィジー  釜石
8/3   ○41-7   トンガ   花園
8/10 ○34-20 アメリカ  スバ

・テストマッチ
9/6   ●7-41   南アフリカ 熊谷
通算3勝1敗

いよいよジャパンのベスト8を懸けた戦いが始まります。

2015年大会の”ブライトンの奇跡(南ア撃破)”以降、サンウルブズとしてスーパーラグビーへ参戦し、代表としてもこの4年間で全てのティア1国とテストマッチを行うなど、過去に類を見ない最高の環境で準備期間を過ごしてきました。

イングランド、フランスら強豪国と接戦を演じるまでに成長し、現在のジャパンへ与えられた称号は”歴代最強”。

7~8月に行われたPNCでは格上のフィジーにも快勝し、悲願のベスト8進出へ視界は良好。

と言いたいところですが、、個人的にはまだ100%信じ切れるところまでは行けていません。

 

その背景にあるのは、この4年間で上位国から勝利を挙げたのが、ティア1の中で最も実力の劣るイタリアのみという事実。

接戦は演じても最後は強豪国の底力に屈する姿を何度も目の当たりにしてきました。

 

戦術面でも、前HCのエディー・ジョーンズはマイボールを保持し続ける「ポゼッションラグビー」を導入し”ジャパンウェイ”を確立したのに対して、ジェイミー・ジョセフが採用したのはキックを主体としてアンストラクチャーを意図的に作り出す「キッキングラグビー」。

ジェイミージャパン発足当初は、必然的に50/50の局面が多くなるこの”諸刃の剣”的戦術の是非について議論が噴出しましたが、強豪国と接戦を繰り広げ、キックからの芸術的なトライシーンが何度もメディアで流されるうちに、いつしかその議論も消滅。

その是非は結果を持って論じられるのでしょうが。。。

 

ただ先日行われた南ア戦では、武器となるべきキック戦略が裏目に出て、相手にカウンターを食らうシーンが目立ちました。

キック戦術のタクトを振るうSO田村優選手(キャノン)が強烈なプレッシャー下に置かれ、両WTBのキックチェイスが不十分な際に生じる脆さは、2016年のアルゼンチン戦(20-54)、2017年のオーストラリア戦(30-63)、2018年のニュージーランド戦(31-69)で見られた姿とほぼ同じ。

オフェンスが手詰まりとなった状態での不用意なハイパント⇒カウンター⇒被トライ

このリスクへの対策がまだ見えてきていないことにも不安が残ります。

 

キッキングラグビーの浮沈を左右するのは間違いなく”SO田村選手の出来”次第。

ハマった時は”歴代最強”かもしれないが、ハマらなかった時は...

さらに田村選手に不測の事態が生じれば...

この”個”に頼らざるを得ない部分と、キック主体という計算外要素の多さが、”勝てる”という確信が持てない要因です。

 

もちろん、絶対的司令塔の田村選手が全試合で万全の状態、そしてPNCのフィジー戦、トンガ戦のように相手によって柔軟に戦術を変える。

これが出来れば言う事はありません。

しかし、現実的に一人で準々決勝までの5試合を戦い抜くことは困難。

その意味で今大会最も重要となるのはバックアップの松田力也選手(パナソニック)の存在だと思います。

W杯前のテストマッチでは出場時間が短すぎて、”松田10番”のオプションを試せなかった(あえて試さなかった??)ことに疑問は残りますが(出場時間:田村選手304分 / 松田選手61分)、2023年W杯の”正司令塔候補”に頼らなければいけない場面は必ず来るはず。

ジェイミーも言うようにジャパンの強みは、

”ユーティリティー性”

スタンドオフも含めた全てのポジションで”リスクヘッジは出来ている”と信じるしかないでしょう。

 

ただ、もちろんプラス要素もあります。

南アとも互角に組み合った”スクラム”と、世界トップ相手に80分間リロードを繰り返した”フィットネス”は世界レベル。

スーパーラグビーに身を置き、フィジカル部分で気後れする選手も今や皆無。

”世界一”と自負する練習量の裏付けもあります。

後は自国開催のプレッシャーを力に変え4年間培ってきた強みを存分に発揮できるかに懸かっています。

まだ私たちは本当の意味での”歴代最強ジャパン”の姿は見ていません。

それを証明できるのはベスト8という結果のみ。

その悲願が自国開催のワールドカップで実現できれば、再び日本国中に勇気と感動を与えられるはずです。

 

私たちラグビーファンの願いは

2015年の感動をふたたび!

悲願のベスト8進出!

ラグビーを日本の文化に!

 

日の丸を背負う選手一人一人の表情、コメントはその使命感と自信に満ち溢れています。

日本ラグビー充実の時。

我らがブレイブ・ブロッサムズの躍進に期待しましょう。

 

サモア(8大会連続8回目)

世界ランキング16位

 

<2019年テストマッチ戦績>

・パシフィックネーションズ杯 1勝2敗
7/27 ○25-17   トンガ  アピア
8/3   ●10-13 アメリカ スバ
8/10 ●3-10   フィジー スバ

・テストマッチ
8/24 ○36-19 NZ XV オークランド
9/7   ●15-34 豪  パラマタ
通算2勝3敗

1991年、1995年W杯でベスト8に進出するも、その後は全て予選プール敗退と低迷するサモア。

近年では試合出場給を巡る自国協会の財政問題が取り上げられるなど、チームはグラウンド内外で厳しい状況が続いています。

アイルランド、スコットランド相手の番狂わせは正直期待できそうにありません。

ただ、誇り高き”アイランダーの魂”は健在、そして日本で活躍するベテランSOトゥシ・ピシ(豊田自動織機)と変幻自在のステップを持つFBティム・ナナイウイリアムズのコンビは強力

日本も決して侮ってはいけない相手です。

ロシア(2大会ぶり2回目)

世界ランキング20位

 

<2019年テストマッチ戦績>

・テストマッチ
6/5   ●26-48 ウルグアイ    モンテビデオ
6/10 ○48-40 アルゼンチンXV モンテビデオ
6/16 ○20-0   ナミビア     モンテビデオ
8/18 ●15-85 イタリア     マルケ
8/27 ●22-35 Jersey Reds   モスクワ
9/7   ●14-42 Connacht    モスクワ
通算2勝4敗

2度目の本大会出場を果たしたロシア。

初出場だった2011年大会は4戦全敗に終わったため、今大会のターゲットはW杯初勝利です。

パワーを前面に押し出してくるオールドスタイルのチームですが、ジャパンにとっては2018年11月の対戦で試合終盤までリードを許すなど大苦戦(○32-27)した相手。

開幕戦では開催国相手に全てのプライドを懸けて挑んでくることでしょう。

ジャパンにとっては非常に重要な一戦となります。

順位予想

それでは最後にプールAの順位予想をしてみたいと思います。

 

アイルランドはやはり首位通過の筆頭候補です。

イングランドに大敗したとはいえ、直近のテストマッチで当時世界ランク1位のウェールズに連勝を飾るなど復調気配を見せています。

南半球勢が存在しないプールAでは頭一つ抜けており、日本もアイルランド相手には善戦止まりと予想します。

従い、日本にとっての最大のライバルはやはりスコットランドになるでしょう。

私が勝手に考えるベスト8進出への青写真は

・アイルランドが全勝で通過

・日本とスコットランドが1敗同士で最終戦へ

・勝利した方がベスト8進出

前回2015年大会では南ア、スコットランド、日本が3勝1敗で並び、最後はボーナスポイントの差で敗退が決まっています。

ボーナスポイント:4トライ以上獲得、7点差以内の敗戦にそれぞれ1ポイントが与えられる

攻撃力のある両国相手に勝点勝負を挑むのはやはりリスキー。

であれば、1位のアイルランドには全勝で通過してもらい、スコットランドとは直接対決で2位を決める方が考え方もシンプルになります。

さらに、1敗同士で最終戦を迎えた場合、負けたら敗退というプレッシャーは格上のスコットランドの方に重く圧し掛かってくるはずです。

攻め急いで前掛かりになったスコットランドを田村選手のキックで背走させる。

そんなシーンをつい思い浮かべてしまいます。

 

逆に格上国に余裕を持たせてしまったら前回大会の二の舞になる可能性は大きい。

やはりアイルランドには全勝してもらって、

”日本がスコットランドを破るのみ”

この1本で勝負したいところです。

 

ワールドカップは楽しんだもの勝ち!

存分に楽しみましょう^^

コメント欄
  1. dalichoko より:

    現時点でブレイブブロッサムズは過去最強だと思います。
    でも上の2チームに勝つ可能性は限りなくゼロだと思います。
    しかし、限りなくゼロに近い可能性に挑戦するとが彼らの背負ったものなのですから、悔いのないように戦ってほしいですね。
    (=^・^=)

    • nan9rew より:

      そうですね。
      選手一人一人のコメントからもその使命感はヒシヒシと伝わってきます。
      最強ジャパンの挑戦を見届けましょう。

コメントを残す

CAPTCHA