2020年度シーズン対抗戦Aグループ第5節注目試合のゲームレビューをお伝えしていきます。

第5節対戦表

11月7日
11:30早大〇50-22筑波大秩父宮有料
14:00日体大(不戦勝)〇明大秩父宮有料
11月8日
11:30青学大0-78〇慶大上柚木有料
14:00帝京大〇106-7立教大上柚木有料

早稲田大 〇50-22 筑波大

ハイライト

レビュー

今節最大の注目カードは、早稲田の快勝という意外(?)な結果に終わりました。

早稲田は前節帝京大と厳しい試合を戦い、次節からは早慶戦、早明戦というビッグゲームが控えるだけに、この試合へのピーキングは難しいものがあるのではないか、と個人的には考えていました。

しかし、そんな懸念は完全に杞憂。

この試合での早稲田は、必要以上に入れ込まず、かといって緩さを感じることもなく、ほどよいメンタリティで戦っているような印象を受けました。

これが『大学王者』の貫禄というものなのか。

その姿は、私の中に”大人の集団”として印象づけられている、武井日向主将が率いた昨年の明治と重なります。(ライバル校ですが...)

ここまで全試合で司令塔を務めてきた吉村紘選手(2年・東福岡)の欠場、そしてチームの大黒柱No.8丸尾崇真主将(4年・早稲田実)の途中退場という緊急事態下でも、落ち着きを失わず難敵・筑波に勝ちきったことは大きい。

その裏には、先週の帝京撃破でチーム全体に自信と勢いが生まれたことに加え、やはりチーム内の激しいポジション争いがあるのではないかと感じます。

中でも目を引くのは、

”MOM”を獲得した帝京戦に続き、この日も気の利いたプレーを連発し勝利に貢献した⑥坪郷智輝選手(4年・川越東)、

鉄壁なディフェンスと秀逸なアングルチェンジからのトライでこの日の”MOM”に選出された⑫平井亮佑選手(4年・修猷館)、

的確なポジションニングからのキック処理、そして切れ味鋭いカウンタアタックーでチームに勢いをもたらした⑮南 徹哉選手(4年・修猷館)など、

今季主力に定着した4年生の存在。

対抗戦でいきなり堂々たる活躍を見せる彼らの実力の高さにも驚かされますが、何より最終学年を迎える彼らの”アカクロ”へ懸ける想いが、チーム全体に相乗効果を生んでいるのではないでしょうか。

坪郷選手、平井選手が”MOM”に選ばれた際、チーム内から自然発生的に湧き上がった歓声とはじける笑顔。

今季のスローガン『BATTLE』の下、日々激しい部内競争が行われている中でも、こういうところに現在のチームの雰囲気の良さと充実ぶりが表れているように感じます。

シーズン終盤に向け、戦力の底上げは着々と進んでいると言えるでしょう。

 

そしてこの試合の注目ポイントであった河瀬諒介選手(3年・東海大仰星)の”⑩番”。

負傷明けに加えこの試合ではプレースキッカーも務めるなど、この日の負荷は相当なものだったと思います。

しかし、この試合では河瀬選手だけでなく、⑫平井選手、⑬長田選手も時に”⑩番”の位置に入り、3人で連動しアタックラインを動かしていたイメージだったため、正直この1試合だけで評価をするのは難しいところ。

率直な感想を言わせてもらうなら、

「プレーの特徴がら縦へ仕掛けるシーンがどうしても多く、”展開力”という面ではまだまだこれから」

ただ、どんな状況でもチームを勝ちに導けるのが、この選手が”持っている”部分。

個人的には”ランナー”としてアウトサイドで勝負する姿を期待してしまいますが、SO吉村選手不在時のオプションが出来たという意味では歓迎すべき点でしょう。

怪我で出遅れている”黄金ルーキー”伊藤大祐選手(1年・桐蔭学園)の登場も待たれるところです。

 

このゲームの結果、早稲田は対抗戦5戦全勝で単独首位をキープ。

いよいよ次節は、前節の明治撃破に続き、今節も青学大に0封勝ちを収めるなど上昇気流に乗る慶應戦。

相手にとって不足はありません。

 

そして敗れた筑波

前の試合から中5日で迎える厳しいスケジュールだったとは言え、個人的にはもう少し競った展開になると予想していました。

やはり痛かったのは、前半8分と15分に立て続けに起こしてしまった2つの危険なタックルによるシンビン。

どちらも故意でないことはスローで見ても明らかですが、危険なプレーをより厳しく取る現行のルール下ではレフリーの判断は至極妥当なもの。

チームに勢いをつけるべきゲーム序盤で2度、しかも同じ時間帯に退場者を出してしまうと、首位を走るチーム相手ではやはり展開は厳しいものになってしまいます。

この先の大学選手権を見据えるならば、今日の課題としてでた規律面に加え、終始劣勢だったスクラムや、チャンスでパスミスやノックオンなど細かいミスが多く出た点も修正が必要でしょう。

バックスにはCTB岡﨑航大主将を始め、谷山隼大選手、WTB仁熊秀斗選手、FB松永貫太選手ら大学屈指のタレントを擁す筑波。

彼らが織りなすアタックは見るものを魅了するだけに、対抗戦残る2試合でチーム力をさらに1段上げる戦いぶりを期待したいと思います。

 

<私的MOM>

田中智幸選手(3年・早大学院)

巧みなボールコントロールでのスクラムトライに、驚愕のバックフリップパス。途中出場から丸尾主将の穴を埋める活躍。

岡﨑航大主将(筑波大4年・長崎北陽台)

どんな劣勢でも決して失われないプレーの強度と質の高さ。チームを引っ張る姿はまさに”リアルリーダー”。

その他ゲームハイライト

慶應義塾大vs青山学院大学

帝京大学vs立教大学

順位表(第5節終了時点)

チーム勝点勝数負数得点失点点差
早 大205025884174
帝京大164140979330
慶 大164126247215
明 大164120055145
筑波大823138163-25
日体大41447268-221
青学大00557361-304
立 大00541355-314

<第6節見どころ&出場メンバー↓>

【第6節見どころ】関東対抗戦A 明治vs帝京 / 早稲田vs慶應

<大学選手権組み合わせ予想↓>

【最新順位と組み合わせ予想】第57回全国大学ラグビー選手権大会

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関東対抗戦Aグループ 結果速報&レビュー

コメント欄
  1. 花田 より:

    いつも楽しく拝見してます。
    ありがとうございます。
    少し気が早いですが、もし早慶戦で早稲田勝利し、帝京明治で帝京が勝利した場合は直接対決の勝敗の関係から、次の早明戦で早稲田敗れて1敗で帝京と並んでだとしても早稲田は1位になりますか?

    • いつもご覧頂きありがとうございます。
      とても励みになります。
      さて、お問い合わせ頂いた件ですが、今節日体大が棄権となったことから、特別ルールだったボーナスポイント制がなくなりました。
      そのため、勝点で並んだ場合は、当該校同士の勝敗で順位が決定することになります。
      つまり、
      <早稲田 対慶應〇 対明治●>⇒6勝1敗 勝点24
      <帝京  対明治〇 対慶應〇>⇒6勝1敗 勝点24
      と勝点で並ぶこととなり、その場合は直接対決で勝利している早稲田が1位扱いとなります。
      ただ、現時点で1敗の慶應、明治にも1位の可能性があるため、
      今年は最後までもつれそうな気配が漂いますね。
      楽しみましょう^^

  2. 花田 より:

    忙しいところありがとうございました!
    よく理解できました。
    対抗戦1位は選手権でだいぶ有利になるなと感じてます!
    楽しみましょう!

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