ワールドカップの熱狂の後押しを受け、順風満帆な船出となったジャパンラグビートップリーグ。
各試合会場は連日大入りで、かつてない盛り上がりを見せています。
全15節計120試合が行われる今季の観客動員数のターゲットは”60万人”。
この数字を達成するためには、単純計算で各節最低4万人の動員が必要となってきます。
これまでは開幕節以降、徐々に動員を落とす傾向が顕著に見られ、ここ数年の目標である”50万人突破”も一度も達成できていません。
そんな厳しい状況の中、果たしてそれを大きく上回るターゲットを達成することは出来るのか。
ここでは試合結果ではなく、観客動員数の視点でシーズンを追いかけて見たいと思います。
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各節観客動員数
それでは各節の観客動員数を見ていきましょう。
※情報はジャパンラグビートップリーグHPより
第1節(1/12)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
パナソニック-クボタ | 熊谷 | 17,722 |
日野自動車-NTTコム 東芝-サントリー | 秩父宮 | 21,564 |
ヤマハ-トヨタ | ヤマハ | 13,985 |
リコー-ホンダ NTTドコモ-三菱重工 | 花園 | 8,856 |
神戸製鋼-キャノン | ユニバ | 23,004 |
サニックス-NEC | レベスタ | 7,216 |
合計 | 92,347 | |
開催平均 | 15,391 |
注目の開幕節では東芝vsサントリー、ヤマハ発動機vsトヨタ自動車といった人気と実力を兼ね備えたチーム同士の対決が実現。
その開催場所も多くの動員が見込める『秩父宮』、『ヤマハスタジアム』だったこともあり、それぞれ”21,564人”、”13,985人”と多くの観客が押し寄せました。
そして特筆すべきは熊谷で行われたパナソニックvsクボタの”17,772人”でしょう。
パナソニックが今季本拠地を太田市から熊谷市へ移転したとはいえ、熊谷ラグビー場はトップリーグではこれまで動員数で伸び悩んできた会場の一つ。(※昨季は第7節のパナソニックvsキャノン戦で13,849人を記録するも、年間の開催平均では6,670人)。
神戸ユニバで行われた神戸製鋼vsキャノンの23,004人と併せて4会場で10,000人越えを記録し、全会場で合計動員数は実に”92,347人”。
W杯の熱気を感じずにはいられない結果となりました。
私自身は観戦へ行くことが出来ませんでしたが、各地のスタンドが人で埋め尽くされている映像は見ていて壮観で、胸に込み上げてくるものがありましたね。
第2節(1/18-19)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
三菱重工-キャノン サントリーーNTTコム | 秩父宮 | 15,826 |
ヤマハー神戸製鋼 | ヤマハ | 10,163 |
トヨターパナソニック | 豊田ス | 37,050 |
NECー日野自動車 東芝ーNTTドコモ | 花園 | 10,280 |
ホンダークボタ | 鈴鹿 | 6,778 |
サニックスーリコー | レベスタ | 4,508 |
合計 | 84,605 | |
平均 | 14,101 |
第2節も4会場で1万人越えと引き続き活況を維持。
今節のトピックスは何と言ってもトップリーグ最高動員数の更新でしょう。
福岡堅樹選手の15人制ラストゲーム、さらに堀江翔太選手、稲垣啓太選手、姫野和樹選手ら多くのワールドカップ戦士が集結したトヨタ自動車vsパナソニック戦へ足を運んだ観客の数は”37,050人”。
※これまでの最多は昨シーズンの開幕節で、同じく豊田スタジアムで行われたヤマハ発動機 vs コカ・コーラ/トヨタ自動車 vs サントリーの”31,332人”。
豊田スタジアムはこれで3年連続で観客動員記録を更新したことになります。
同スタジアムはW杯メンバー杯の会場にもなっていましたが、各試合の動員数は下記の通り。
9/23 ウェールズvsジョージア: 35,545人
9/28 南アフリカvsナミビア : 36,449人
10/5 日本vsサモア : 39,695人
いかにこの日の雰囲気がW杯に匹敵する盛り上がりを示していたかが見て取れます。
実際、私も昨年末にこの試合のチケットを入手しようとトライしましたが、出足が遅すぎたため既に完売状態。
大学ラグビーではなく、しかも秩父宮以外の開催地でこんな事が本当に起こりうるのかと、正直半信半疑でしたが、テレビでこの日のスタンドの状況を見てその意味がよく理解出来ました。
第3節(1/25-26)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
三菱重工ーパナソニック | ギオンス | 7,724 |
ホンダー東芝 トヨタ自動車ー日野自動車 | 瑞穂 | 8,888 |
リコーーヤマハ | たけびし | 4,360 |
クボターNTTコム | 万博 | 4,794 |
サニックスーNTTドコモ | 福岡 | 4,231 |
キャノンーNEC | ニッパツ | 10,617 |
神戸製鋼ーサントリー | ノエスタ | 26,312 |
合計 | 66,926 | |
平均 | 9,561 |
運良くチケットを入手出来た我が家は、私自身初観戦となるパロマ瑞穂ラグビー場へ。
試合開始1時間半前で入場ゲートはこの状態。
寒い中行列に並ぶ大変さを通り越して、なんだか泣けてきちゃいますね。。。
W杯以降すっかりファンの一人となった娘もリーチ・マイケル選手を近くで見て大興奮。
瑞穂競技場は陸上用のトラックがなく選手が間近に見えるため、秩父宮以上に臨場感があって素晴らしいスタジアムでした。
さて、肝心の動員数は秩父宮開催がなかった今節でも、動員数は昨年最も多かった開幕節(60,617人)を上回る”66,926人”を記録。
昨季の決勝戦の再現となった神戸製鋼vsサントリーでは26,000人以上の観客が詰めかけ、普段空席の目立つノエスタがサイドスタンドまでぎっしり埋まる大盛況ぶり。
これはJリーグのホームチームヴィッセル神戸の2019年度最多入場者数を上回る数字。(※25,243人@12/7 対ジュビロ磐田)
特にこれまでのノエスタの状況を知る関西のラグビーファンにとっては、感慨深いものがあったのではないでしょうか。
第4節(2/1-2)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
三菱重工ー東芝 | ニッパツ | 9,948 |
日野自動車ーヤマハ トヨタ自動車ーホンダ | 瑞穂 | 8,734 |
サントリーーNEC | 万博 | 6,243 |
キャノンーパナソニック | Gスタ | 9,120 |
リコーーNTTコム | ニッパツ | 7,027 |
神戸製鋼ーNTTドコモ | ユニバ | 9,446 |
サニックスークボタ | 佐賀 | 6,054 |
合計 | 56,572 | |
平均 | 8,082 |
第4節は今季初めて1万人を超える動員が8試合通じてありませんでした。
ただそれでも、ニッパツ、町田GIONスタジアム、ノエスタでは9千人越えと東芝、パナソニック、神戸製鋼ら多くのW杯戦士が所属するチームの人気は不動。
合計56,000人越えと依然高い水準をキープしています。
ただ、今節ではいわゆる強豪対決と言われるカードがなかったことも、大きく動員を伸ばす会場が無かった要因と考えられます。
今後も各節目玉となるカードは存在しますが、動員数を伸ばすためにはそれ以外のカードでどれだけ維持できるか。
ここからが正念場と言えますね。
第5節(2/15-16)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
キャノンーホンダ パンソニック-東芝 | 熊谷 | 22,705 |
NTTコム-サニックス | 夢の島 | 2,738 |
NTTドコモ-ヤマハ サントリートヨタ自動車 | ヤンマー | 19,584 |
神戸製鋼-リコー | ユニバ | 4,910 |
クボタ-日野自動車 | 夢の島 | 2,610 |
三菱重工-NEC | ギオンス | 3,536 |
合計 | 56,083 | |
平均 | 9,347 |
秩父宮で行われたサンウルブズの第2戦と重なる日程となりましたが、パナソニックvs東芝のかつての黄金カードが行われた熊谷では、交通機関が混乱するほどの人が押し寄せ、同スタジアム最多の22,705人を記録。
さらに大阪のヤンマースタジアムには19,584人が集結。
日本代表選手が多く所属するチームの人気度は依然高く、彼らの存在が動員数維持へ大きく寄与している現状が見て取れます。
しかし、その一方で今季初めて4,000人を割る試合が3試合。
注目カードとそうでない試合の差が顕著となってきた印象を受けます。
第6節(2/22-23)
対戦カード | 試合会場 | 観客数 |
---|---|---|
NEC-リコー 日野-サントリー | 秩父宮 | 13,856 |
三菱重工-ヤマハ トヨタ自動車-クボタ | 瑞穂 | 5,343 |
Honda-NTTコム | 鈴鹿 | 3,111 |
キャノン-サニックス NTTドコモ-パナソニック | 花園 | 18,056 |
神戸製鋼-東芝 | ユニバ | 23,647 |
合計 | 64,013 | |
平均 | 12,803 |
各節毎の観客動員数推移(年別)
それではここで、今季を含めたここ3年間の観客動員数の推移を見ていきたいと思います。
2017-18 | 2018-19 | 2019-20 | |
---|---|---|---|
第1節 | 58,003 | 60,617 | 92,347 |
第2節 | 26,418 | 32,475 | 84,605 |
第3節 | 36,462 | 41,220 | 66,926 |
第4節 | 31,915 | 37,690 | 56,572 |
第5節 | 40,885 | 24,230 | 56,083 |
第6節 | 23,024 | 28,073 | 64,103 |
第7節 | 20,333 | 50,479 | |
第8節 | 22,346 | 18,692 | |
第9節 | 26,182 | 24,064 | |
第10節 | 27,386 | 21,806 | |
第11節 | 33,788 | 35,317 | |
第12節 | 28,587 | 24,987 | |
第13節 | 33,200 | 23,083 | |
第14節 | 21,262 | 21,664 | |
第15節 | 36,561 | 14,191 | |
合計 | 466,352 | 458,588 | 420,636 |
※2017年度の14節、15節は順位決定トーナメント(全試合合計120試合)
※2018年度はリーグ戦56試合+総合順位決定トーナメント24試合+カップ戦24試合+カップ戦総合順位決定トーナメント16試合(全試合合計120試合)
※2019年度はリーグ戦のみ15節全120試合。
動員数の減少傾向は変わらないものの、リーグ戦3分の1を消化した時点で既に目標の60%弱を記録。
目標達成はほぼ確実な状況です。
ただ、今節の夢の島の2試合(共に2,000人台)、そして例年と変わらぬ動員の減少傾向を鑑みると、目標を達成したから”オールOK”というのも危険な気がします。
継続的な集客への取り組みを行う上でも、そろそろ上方修正をしてもいいのではないでしょうか。
私は次節今季2度目のパロマ瑞穂観戦。
4勝1敗とここまで好調なクボタ相手に、地元トヨタがどこまで意地を見せられるか。
姫野選手対ラピースのマッチアップも楽しみですね。
目標達成は来季へ持ち越し
全盛界で猛威を振るう『新型コロナウィルス』の感染拡大防止のため、日本ラグビーフットボール協会より残り全試合(42試合)を中止とする旨の決定がなされました。
ラグビーW杯での熱狂に後押しされ、過去最高を上回るペースで多くのファンが会場に駆けつけた今シーズン。
目標の『60万人突破』も達成間近と迫る中、このような形で終幕を迎えることに対しては、私自身残念な気持ちでいっぱいです。
しかし、スポーツは命あってのもの。
まずは家族、仲間、選手、そして自分自身が元気でいること。
この事自体が、先の”ラグビー人気継続”につながります。
この『熱狂』を必ず来季へ。
ラグビーは決してコロナに屈しない。