2年連続で大学選手権の出場権を逃し、低迷を続ける名門同志社大学

長年関西のラグビー人気を支え続けてきた”関西の雄”にとって、2年間全国の舞台から姿を消すことは創部史上初の出来事。

関西ラグビーファンの願う”関西復権”には、天理とリーグ戦で切磋琢磨できるライバル校の存在と、人気と実績を兼ね備える同志社の復活は必要不可欠です。

各リーグの主要校の春夏シーズンの戦いぶりと2019年の予想布陣を考える”展望シリーズ”。

第6弾は、今季全国への復帰を目指す同志社大学を見ていきたいと思います。

同志社大学 リーグ戦スケジュール

8月31日同志社-摂南鶴見緑地
9月7日同志社-近畿宝ヶ池
9月15日同志社-大阪体育天理親里
11月4日同志社-関西学院天理親里
11月10日同志社-京都産業神戸ユニバ
11月17日同志社-天理皇子山
11月30日同志社-立命館西京極

昨年まで関西リーグのスケジュールは、前年度の順位をベースに対戦相手が決まるレギュレーションでした。

一昨年6位に低迷した同志社はその煽りを受け、昨季は開幕から京産大天理大関学大と強豪との3連戦を余儀なくされることに。

結果は3連敗。。

 

背水の陣で臨んだ残り試合は4連勝と意地を見せたものの、序盤の躓きが最後まで響き最終順位は5位。

3位までが獲得する大学選手権の出場権を逃す結果となりました。

苦しい状況に追い込まれながら、最後までチームの先頭に立った山口修平主将以下、昨季の幹部陣の苦悩は察するに余りがあります。

ただその事からも、やはり選手権の出場権を確保するためには、序盤戦の勝敗が極めて重要なポイントとなります。

その意味で今年は、シーズンスケジュールのベースが春季トーナメントの結果へ変更、そして同志社はその大会で3位という結果を残したことで、序盤戦は昇格組の摂南大、そして近畿大(昨季6位)、大体大(昨季7位)が相手。

比較的恵まれたスケジュールとなったことは大きなプラス要素です。

特に強豪校との対戦を前に、10月の中断期間をチーム力を醸成する時間に充てられる事も今年は大きいですね。

是が非でも開幕3戦を全勝で終え、ポジティブな雰囲気の状態で中断期間を迎えられるようにしたいところです。

ここまでの戦いぶり

それでは次に春夏シーズンの戦いぶりを振り返ります。

4/14練習試合同志社○54-28関西大
4/21春季1回戦同志社〇69-0関西学院
4/28招待試合同志社〇47-21立命館
5/5招待試合同志社○105-14大阪体育
5/19春季準決同志社●12-43天理
5/26招待試合同志社●35-36京都産業
6/9練習試合同志社●19-33摂南
7/14春季3決同志社○35-19立命館
8/10夏合宿同志社○55-28山梨学院
8/12夏合宿同志社○31-19法政
8/17夏合宿同志社●14-41東海

関西セブンズで3年ぶりの優勝を飾り、幸先のいいスタートを切った今季の同志社

春季トーナメント準決で天理に完敗、そして招待試合では京産大に1点差の逆転負けを喫するも、関西学院立命館と選手権争いの直接のライバルと目されるチーム相手には順当に白星を重ねてきました。

しかし、6月には摂南、夏合宿では東海に完敗を喫するなど、外国人留学生を擁しフィジカルバトルを挑んでくるチームには劣勢に回ってしまう、という課題は依然残ったまま。

得点力では関西でもトップクラスの力を有している同志社にとって、上位進出のカギはやはりディフェンス力の強化です。

選手権を逃した過去2年の数字を見てみても、同志社のリーグ戦での1試合平均失点は

2017年:29点(6位)

2018年:31点(5位)

一方、上位チームの数字はというと、

 

天理

2017年:7点(優勝) /  2018年:9点(優勝)

立命館

2017年:28点(3位) /  2018年:22点(2位)

京産大

2017年:25点(2位) 2018年:25点(3位)

 

天理の1桁はあまりに突出した数字ですが、、、

この結果から見えてくるのは、リーグで上位の成績を収めるためには、シーズンを通して平均失点を20点台前半までに抑えることが目安となるという事実でしょう。

今季は同志社の”ディフェンス部分”にも注目してみていきたいと思います。

同志社大学 リーグ戦予想布陣

それでは最後に、ここまでの戦いぶり、出場メンバーを参考に、今シーズンの予想布陣を見ていきたいと思います。

1 PR
田中 翔④
(長崎北陽台)

2 HO
橋本一真④
(常翔学園)

3 PR
栗原勘之③
(報徳学園)

4 LO
松野泰樹④
(筑紫)

5 LO
平澤輝龍④
(前橋育英)

6 FL
弓削周翼④
(明善)

8 No.8
服部 綾④
(東福岡)

7 FL
堀部直壮④
(筑紫)

9 SH
人羅奎太郎③
(東海大仰星)

12 CTB
古城隼人④
(修猷館)

10 SO
田村魁世②
(桐蔭学園)

13 CTB
和田悠一郎②
(東海大仰星)

11 WTB
山本雄貴④
(同志社)

15 FB
山口楓斗②
(東海大福岡)

14 WTB
原田健司④
(修猷館)

フォワード

昨季は主力の多くを3年生以下が占めていたことから、リーグ経験値の高さは今季の同志社フォワードの大きな強みです。

スクラムを支えるフロントローは、昨季スタメンを勝ち取ったPR田中翔選手(4年・長崎北陽台)とPR栗原勘之選手(3年・報徳学園)が今年も健在。

スクラムの強さに定評のあるRP中村海輝選手(4年・早稲田摂陵)も出番を伺います。

そして、平川隼也選手(現・ヤマハ発動機)の抜けたフッカーは、大阪の強豪常翔学園出身の橋本一真選手(4年)が定位置を確保。

 

近年、弱体化が叫ばれる同志社のスクラム。

バックスに豊富なタレントを擁しながら、スクラムを粉砕され成すすべなく敗れる姿を、ここ数年何度も目にしてきました。

しかし、プロップ出身の萩井監督の就任でスクラムがよりフォーカスされ、鍛錬繰り返し組んできた結果、昨年あたりからは強豪校と渡り合えるまでに成長を遂げてきた印象です。

スクラムで強豪校と渡り合うことが出来れば、チームに1本芯が通り失われていた自信が取り戻せるはず。

スクラムに泣き悔しい敗戦を喫する姿は見たくありません。

高速バックスを生かすも殺すもスクラム次第。

彼らのプライドに期待がかかります。

 

そしてロック陣は、昨季、フランカーとしてリーグ戦6試合に出場した松野泰樹選手(4年・筑紫)と、昨季全試合にスタメン出場を果たした平澤輝龍選手(4年・前橋育英)の4年生コンビが務めます。

平澤選手はラグビー無名校出身ながら、今春ジュニアジャパンとしてパシフィックチャレンジにも出場するなど、世代を代表するロックへ成長を遂げている注目の選手です。

 

層の厚さを誇るバックローは、1年時からほぼ全試合出場(欠場は2年時の開幕節のみ)を続ける堀部直壮選手(4年・筑紫)と、東福岡高時代に全国制覇を成し遂げ、3年時には主将も経験している服部綾選手(4・東福岡)は当確。

残る1枠を、最終学年となる今年頭角を現した弓削周翼選手(4年・明善)と、強烈なタックルが売りの”カミソリタックラー”嶋﨑晴也選手(4年・摂津)、そして”小兵フランカー”中尾泰星選手(3年・大分舞鶴)が争います。

中尾選手は、昨年2年生ながら、リーグ戦7試合中6試合に出場し、レギュラーポジションを確保した選手。

しかし、今季は6月以降Bチームが主戦場となっています。

170㎝と小柄ながら、”トライの嗅覚を持った”フランカーとして個人的に要注目の選手。

是非Aチームでその活躍を見せてほしいところですね。

 

バックス

昨季の主将、副将コンビCTB山口修平選手(現・トヨタ自動車)とCTB永富晨太郎選手(現・クボタ)が抜けたセンター陣、そして”スピードスター”安田卓平選手(現・NTTコム)ら、エース級が抜けたバックス陣。

トップリーガー級の実力を誇る3人が抜けたことから、大幅な戦力ダウンが予想されるのは事実。

しかしそれでも同志社の誇る”高速バックス”が失速することはありません。

 

チームのタクトをふるうハーフバック団は、東海大仰星高時代に全国制覇と高校日本代表を経験したSH人羅奎太郎選手(3年)と、各年代の代表(高校日本代表/ジュニアジャパン/U20日本代表)を歴任してきたSO田村魁世選手(2年・桐蔭学園)のコンビが濃厚か。

田村選手は高校では主にスタンドオフを務めながら、各代表にはスクラムハーフとして選出されるなど、そのラグビーセンスは世代トップクラスの逸材。

司令塔としてどのようにチームの舵取りをするのか、注目したいと思います。

 

そして、山口、永富と2人の看板が抜けたセンターは、昨季全試合で10番を背負った古城隼人選手(4年・修猷館)がスタンドオフからコンバートし、インサイドセンター(12番)へ入る布陣がメインで試されていましたね。

持ち前のディフェンス力と展開力で、同志社”高速バックス”を加速させる役割を担ってくれそうです。

そしてアウトサイドセンターには今年U20日本代表にも選出された和田悠一郎選手(2年・東海大仰星)が入りそうです。

2年前の花園で、現在早稲田で活躍する長田智希選手とセンターコンビを組み全国制覇を成し遂げた”炎のタックラー”。

東福岡との準決勝、そして大阪桐蔭との決勝で、並み居る猛者に突き刺さり続けたタックルは感涙ものでした。

古城選手と共に、外国人留学生に負けない鉄壁のディフェンス網を構築してほしいですね。

 

そしてトライという結果が求められるウィングのポジションには、中学時代から同志社のジャージに袖を通し、同志社のDNAを誰より受け継ぐ男山本雄基主将(4年・同志社)。

紺グレの精神的支柱は、自らの足でチームに勝利をもたらせます。

もう一人のウィングを任されるのは春のセブンズ優勝の立役者原田健司選手(4年・修猷館)。

昨年スクラムハーフとしてU20日本代表にも選出された逸材は、その持ち前の突破力をウィングのポジションで生かすことになりそうです。

 

そして、ラストを飾るフルバックには、今年U20日本代表としてU20トロフィーに出場した山口楓斗選手(2年・東海大福岡)がファーストチョイスか。

166㎝と小柄な身体ながら、ラインのギャップを切り裂くスピードは一級品。

世界の舞台を経験し、チームに欠かせない存在となった”新スピードスター”が、新生同志社バックスに”決定力”という武器をもたらせます。

 

顔ぶれを見ても、タレント力では他の強豪校に全く引けを取らないメンバーが揃う今年の同志社

やはり3年ぶりの大学選手権復帰は至上命題です。

今年は昨年準優勝を飾った天理の恩恵を受け、関西リーグに割り与えられる出場枠は””。

3位以内と4位以内では、リーグを勝ち抜く難易度が全く異なってくるのは事実。

しかし、同志社はそれに頼るようなチームではないはずです。

メンバー充実の今季。

見据えるターゲットは

4年ぶりの関西制覇!

そして35年ぶりの日本一へ!

盟主の”プライド”を取り戻す戦いが幕を開けます。

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