東高西低が叫ばれる中、天理大学が大学選手権決勝で明治と大激戦を演じ、関西勢の日本一が決して不可能なミッションではないことが証明された昨季。

しかし、関西リーグ全体として見ると、リーグ2位,3位で選手権へ乗り込んだ立命館京産大が、3回戦で明治、慶応にそれぞれ完敗を喫するなど、リーグとしてはレベルの高さを示すまでには至っていません。

『関西復権』を実現するためには、いかにこのリーグで強度の高いゲームを多くこなし、高いレベルで切磋琢磨出来るかが鍵となってきます。

やはりキーワードは『脱・天理1強』でしょう。

さらに今年は、昨季の天理の選手権決勝進出により出場枠が1つ増え、上位”4”チームに大学選手権への出場権が与えられます。

中位校にもチャンスが広がる一方で、対抗戦と並び4校を輩出するリーグとしては、全国の舞台で恥ずかしい戦いをする訳にはいきません。

群雄割拠の関西リーグを勝ち抜き、全国の舞台への挑戦権を得るのはどのチームか?

ここでは、『関西Aリーグ』主要校の前半戦の戦いぶりを振り返りながら、順位予想も含めた展望を見ていきたいと思います。

主要校ここまでの戦いぶり

天理大学

8/31天理○68-0大体大鶴見緑地
9/8天理○75-12関学大天理新里
9/15天理○83-7摂南天理新里
11/4天理-近畿天理新里
11/9天理-立命館花園Ⅱ
11/17天理-同志社皇子山
11/30天理-京産大西京極

昨季選手権決勝を戦ったスタメンの内、FL岡山仙治主将ら主力7人が残る今季の天理

春季トーナメントでは決勝で京産大を54-12で圧倒するなど、8月の夏合宿で不覚を取った早稲田戦以外は学生相手に11戦10勝。

ここまで順調な春夏シーズンを過ごしてきました。

シーズンイン後も、開幕戦で昨季7位の大体大を68-0で退けると、第2節では開幕節で京産大を撃破し勢いに乗る関西学院を75-12と一蹴。

さらに第3節では摂南から16トライを奪う猛攻で、危なげなく3連勝を飾ります。

開幕から3試合の合計得点は226

この数字は、圧倒的な攻撃力を誇った昨年のチームの同じ時期(225得点)よりも上。

開幕から波乱が続く関西リーグで、今年も別次元の強さを見せつけています。

W杯の中断期間には春には完敗したトップリーグの豊田自動織機と接戦(●33-40)を演じ、昨年の選手権決勝以来の再戦となった明治相手にも21-29と肉薄。

昨年準優勝を経験したメンバーに加え、摂南戦でMOM(Man of the Match)に輝き、強烈なタックルが魅力のFL松岡大和選手(3年・甲南)や、関学戦で3トライをマークしたWTB江本洸志選手(2年・日本航空石川)らも躍動。

ここに昨季、大東大、帝京などの関東勢を圧倒した”スクラム”が備われば、今年も全国を狙えるチームに仕上がってきそうです。

その意味では、最終戦で当たる関西随一のスクラムの強さを誇る京産大とのスクラム対決が、一つのバロメーターとなりそうです。

”小兵フランカーの星”岡山仙治主将が率いる今季。

目指すは天理悲願の日本一、そして35年ぶりの関西復権。

関西ラグビーファンの期待を一身に受ける”黒衣軍団”の活躍から、今季も目が離せません。

同志社大学

8/31同志社○52-40摂南鶴見緑地
9/7同志社○49-42近畿宝ヶ池
9/15同志社○62-17大体大天理新里
11/4同志社-関学大天理新里
11/10同志社-京産大神戸ユニ
11/17同志社-天理皇子山
11/30同志社-立命館西京極

リーグ5位に終わり2年連続で大学選手権出場を逃した昨季の同志社

CTB永富選手、FB安田選手らバックスに豊富なタレントを擁し、シーズン直前の夏合宿では法政、立命館、東海、筑波を連破。

近年で最も”盟主復活”への機運が高まった年だっただけに、リーグ序盤の3連敗で自力での選手権出場が困難となった事実は、選手はもちろんのこと、多くのファンにとっても辛いものがありました。

しかし、3年生以下のメンバーが主力として多くの実戦経験を積めたことは、今季への財産となることは間違いありません。

 

そして迎えた今季。

紺グレのDNAを持つ山本雄貴選手(4年・同志社)を主将に据えたチームは、春季トーナメント準決勝で天理に敗れるも(●12-43)、3位決定戦で立命館を下し3位を獲得。

この成績により、今季のリーグ戦は終盤に上位校との対戦が並ぶ恵まれたスケジュールになりました。

リーグ開幕節では昇格組の摂南大との打ち合いを制すと、前節で昨季2位の立命館を倒す金星を挙げた近大との一戦では、ラスト5分で7点差をひっくり返す大逆転劇。

3節では大体大を圧倒し見事開幕3連勝を飾ります。

特に2節の近大戦で見せた、フェーズを何度も重ねて取り切った勝ち越しトライと、そのトライにベンチ含めた全メンバーが歓喜する姿は、近年見られなかった勝利への執念と『チームの一体感』が溢れていました。

ここに今季の同志社の充実ぶりが窺えます。

 

ただ、3連勝という申し分の無い結果の陰で課題は存在します。

個人的にシーズン前に上位進出の鍵として挙げていた”失点の多さ”は、依然課題として残ったまま。

ここまで3試合の平均失点は”33”。

この数字は低迷した過去2年を上回る数字です。

【平均失点】

2017年:29点(6位)

2018年:31点(5位)

これから続く上位勢は、いずれも高い攻撃力を誇るチームばかり。

ディフェンスの整備がなされない限り勝ちきることは難しく、さらに大量失点からチームが大崩れする危険性もはらんでいます。

リーグ再開後初戦の相手は、上位勢相手に2勝1敗とここまで好調の関西学院

1ヶ月の中断期間でチームがどう変わったか。

それを披露するには絶好の相手です。

ここを乗り切り、次に待ち受ける京産大天理大戦へ。

今年こそ、強い紺グレ”の姿を見せてほしいと思います。

京都産業大学

8/31京産大●17-28関学大宝ヶ池
9/7京産大○61-10大体大宝ヶ池
9/14京産大○21-10近畿鶴見緑地
11/4京産大-摂南鈴鹿
11/10京産大-同志社神戸ユニ
11/17京産大-立命館皇子山
11/30京産大-天理西京極

今季を最後に勇退を表明している大西健監督。

京産大の目標は常に”大学日本一”。

監督就任後47年間掲げ続けてきたその悲願達成に向け、今季はその集大成となるシーズンです。

しかし、6月に精神的支柱の伊藤鐘平主将(4年・札幌山の手)が怪我で離脱して以降は、なかなかチーム状態が上がらず苦しんできました。

7月の春季トーナメント決勝では天理に54失点で大敗、さらに8月の夏合宿では、今季リーグ戦で不振に喘ぐ中央大に終了間際の逆転負け(●40-42)。

暗雲が立ちこめる中迎えたリーグ開幕戦では、昨季4位ながらスクラムを重点強化してきた関西学院を崩すことが出来ずまさかの敗戦。

「見たことがないくらい、選手たちが冷めている。ゲームへの熱量が感じられない」

元木ヘッドコーチからこのような言葉が飛び出すほど、チームは異例の事態に陥ります。

しかし、痛烈な言葉を浴びせられたフィフティーンはここから奮起。

第2節で大体大に61-10で今シーズン初勝利を挙げると、第3節では”イケイケラグビー”が信条の難敵・近大を21-10で撃破。

特に、立命館戦で47得点、同志社戦で42得点するなど抜群の攻撃力を誇る近大を、後半35分までノートライに封じたディフェンスは、”京産復活”を印象づけるに十分な内容でした。

さらにW杯の中断期間の10月には、昨季の大学選手権3回戦で敗れた慶應義塾相手に、フォワードが優位に立ち31-24でリベンジを果たすなど、後半戦に向けチームは上昇気流です。

リーグ再開初戦となる摂南戦(11月4日)には、3ヶ月間リハビリに励んできた伊藤鐘平主将がいよいよ戦列復帰。

大西監督有終の美へ。

全国の舞台を用意する前に、今季を終えるわけにはいきません。

 

関西学院大学

8/31関学大○28-17京産大宝ヶ池
9/8関学大●12-75天理天理新里
9/14関学大○33-26立命館鶴見緑地
11/4関学大-同志社天理新里
11/10関学大-摂南神戸ユニ
11/24関学大-近畿布引
11/30関学大-大体大鶴見緑地

2014年のリーグ優勝以降、最下位(8位)、6位、4位、4位と、この5年間浮き沈みの激しいシーズンを過ごしてきている関西学院大

5年ぶりの大学選手権出場を目指しスタートを切った今季でしたが、春季トーナメントでは1回戦で同志社に0ー69の大敗、さらに敗者トーナメントでも今季昇格組の摂南大に31-73と敗れるなど苦難の連続。

秋シーズンの組み合わせのベースとなる同大会で7位に終わったことで、関西リーグでは序盤戦に京産大、天理ら昨季上位勢との戦いが続く厳しいスケジュールとなりました。

ここで3連敗すると、昨季の同志社のように一気に苦しい立場へ追い込まれる苦しい状況の中、初戦となった昨季3位の京産大との一戦では、下馬評を覆す波乱を演じ見事勝利。

第2節では王者・天理の前に力の差を見せつけられるも、昨季2位の立命大戦では、相手強力フォワードへ真っ向勝負を挑み、フィジカルバトルで勝ちきる姿も披露。

特に強力フォワードを擁する京産大、立命大相手にスクラムで互角以上に渡り合ったことがこの勝利を呼んだと言えます。

昨季は全敗に終わった上位勢との戦いを終えて2勝1敗の成績は、後半戦に向けて手応え十分でしょう。

リーグ再開後の初戦は、ここまで3連勝と波に乗る同志社との大一番。

ここを突破すれば上位進出への道は一気に開けてきます。

順位表(第3節終了時点)

順位チーム勝数分数負数得点失点点差
1天理大300342822619207
2同 大30024201639964
3関学大20110773118-45
4京産大2011512994851
5近 大102141399101-2
6立命大1021511100991
7摂南大00310866178-112
8大体大0035127191-164

勝手に順位予想

それでは最後にここまでの状況を踏まえ、順位予想をしてみたいと思います。

関西Aリーグ順位予想
1位   天理大学
2位  同志社大学
3位  京都産業大学
4位  関西学院大学
5位    近畿大学
6位    立命館大学
7位    摂南大学
8位    大阪体育大学
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