ワールドカップの中断期間を経て、大学ラグビーシーンにも再び活気が戻ってきました。

先週末の時点で各校4試合を戦い終え、ここからは各リーグで上位対決が続き、いよいよ佳境に入って来ます。

各リーグ戦の優勝争いはもちろんのこと、その先の大学選手権の出場権争い、そしてその組み合わせもそろそろ気になってくる時期。

昨年の選手権決勝では明治天理が覇権を争ったため、今年は『関東対抗戦』と『関西リーグ』に特別枠を含む”4枠”が与えられる一方で、『関東リーグ戦』は”3”という限られた枠を巡って、熾烈な争いが繰り広げられることになります。

果たして、厳しいリーグ戦を勝ち抜き、全国への切符を手にするのはどこのチームか!?

ここでは、今年の日程・トーナメント表を紹介すると共に、各節終了時点での最新順位から想定される組み合わせを見ていきたいと思います。

第56回全国大学ラグビー選手権 概要

大会スケジュール

大学選手権日程

 開催日K/O試合会場
1回戦2019/11/2413:00長良川球技場岐阜
2回戦2019/12/813:00ミクニ北九州福岡
3回戦2019/12/1512:00花園大阪
14:00
12:00熊谷埼玉
14:00
準々決勝2019/12/2112:05秩父宮東京
14:05
12:05花園大阪
14:05
準決勝2020/1/212:20秩父宮東京
14:10
決勝2020/1/1114:30調整中東京

2回戦が12月1週目から2週目開催に変更になった以外は、ほぼ昨年と同様のスケジュールとなりました。

準々決勝と準決勝の間は”中10日”、準決勝と決勝の間も”中8日”の日程となっており、3回戦から”中5日”で迎える準々決勝を乗り切りさえすれば、その先は十分な休養と準備期間が与えられる日程となっていますね。

昨年はワールドカップに備えた改修のため使用されなかった花園ラグビー場も、今シーズンは試合会場として復活。

関西勢としては何としてもリーグ上位に入り、ここでの試合を実現させたいところでしょう。

花園が作り出す関西チームへの”ホーム感”が味わうことが出来るのも、今年の楽しみの一つです。

トーナメント表

それでは次に今年のトーナメント表です。

(出典:日本ラグビーフットボール協会HP)

若干小さくて見にくいので、ちょっとだけ大きくして見てみましょう。

冒頭でも書いたように昨年の決勝が明治vs天理となったため、決勝進出チームの所属するリーグに与えられる特別枠は、『関東対抗戦』と『関西Aリーグ』へ。

これにより今年は『関東対抗戦1位』と『関東リーグ戦1位』が同じ山、『関西Aリーグ1位』は『対抗戦2位』と同じ山へ入り、当該4校がシードされる組み合わせとなりました。

昨年は左下の山に天理大東文化筑波の3校が入り、いわゆる”死のゾーン”が形成されました。

今年はどのような組み合わせとなるのか!?

今年も死のゾーンは誕生するのか!?

非常に楽しみです。

各節終了時点のトーナメント表

それではここからは、主要リーグ各節終了時点での最新順位とその順位を反映させた組み合わせを見ていきたいと思います。

第4節終了時点(11月4日現在)

最新順位

 関東対抗戦関東リーグ戦関西Aリーグ
1位明治大東海大天理大
2位早稲田大日本大同志社大
3位帝京大流経大京産大
4位慶應大関学大

※対抗戦の明治と早稲田は勝数、得失点差で並んでいるため、総得点差、トライ数差で上回る明治を1位としています。

組み合わせ表

非常に興味深いのは関東リーグ戦1位の山と、関西リーグ1位の山です。

このまま東海同志社慶應が入れば、再びこのゾーンの『死のグループ』化は確定。

天理の山に入る帝京は3回戦を突破すれば、昨季準決勝の再戦が、準々決勝で早くも実現することになります。

やはり対抗戦勢としては3位、4位は非常に厳しい組み合わせとなるため、何としても2位以内に入ることが上位進出の鍵となりそうですね。

第5節終了時点(11月10日現在)

最新順位(※暫定)

 関東対抗戦関東リーグ戦関西Aリーグ
1位明治大東海大天理大
2位早稲田大流経大京産大
3位帝京大日本大同志社大
4位筑波大関学大

※全勝で並ぶ明治、早稻田は得失点差で明治が1位。

 筑波は日体大、慶大と勝敗で並ぶも得失点差、直接対決の勝敗により4位。

 リーグ戦1部は1敗の日大が1試合消化が少ないため暫定3位。

 関西リーグは京産大、同大が4勝で並ぶも直接対決の勝敗により京産大が2位。

組み合わせ表

対抗戦では、成蹊に圧勝し2勝目を挙げた筑波が、明治に完敗を喫した慶應を抜き4位へ浮上。

そして関西リーグではここまで全勝の同志社が、京産大に敗れ今季初黒星を喫し順位が入れ替わると、関東リーグ戦では昨季2位の大東大が同3位の流経大に敗れる波乱が起きました。

大東大はこの敗戦により早くも3敗目。

選手権出場の”3位以内”は非常に厳しい状況に追い込まれています。

第6節終了時点(11月24日現在)

最新順位

 関東対抗戦関東リーグ戦関西Aリーグ
1位明治大東海大天理大
2位早稲田大日本大京都産業大
3位帝京大流通経済大同志社大
4位筑波大近畿大

関東対抗戦では早慶戦に勝利した早稲田、帝京に圧勝した明治が6戦全勝。

圧倒的攻撃力を誇る明治が得失点の差で早稲田を抑え、現時点では1位扱いとなっています。

関東リーグ戦では全チームが6試合を消化。

先週、今週と中大、専大に連勝した日大が2位へ浮上。

関西Aリーグでは当落線上の2チームによる直接対決で、近大が関学大に執念の逆転勝ち(○27-17)。

成績を3勝3敗のタイに戻し4位へ浮上しました。

最終節の摂南大戦に勝利すれば、関学大と4勝3敗で並んだとしても直接対決の勝敗により4位を死守できる有利な状況です。

後半7分敵陣ゴール前で、相手ボールスクラムをめくり上げて奪った同点トライが、今季ここまでなかなか結果が出ず燻っていた近大に火を付けた気がします。

 

組み合わせ表

帝京が明治に敗れ、筑波が日体大との直接対決に勝利したことにより、対抗戦は帝京の3位、筑波の4位がほぼ確定と言える状況に。

※筑波は最終節で青学大に勝つことが前提。帝京は最終戦で慶應に敗れても、筑波との直接対決で勝利しているため3位扱いとなる。

帝京と流経大が3回戦で、そして勝者が準々決勝で天理とぶつかるという『死のグループ』形成がいよいよ現実味を帯びてきました。

関学を破って勢いに乗る近大と、2位でのフィニッシュが濃厚な日大の激突も、実現すれば非常に興味深い戦いとなりそうです。

また、11月24日に行われた大学選手権1回戦では東海地区代表の朝日大が2度目の選手権出場を果たした八戸学院大を圧倒。

2回戦では波乱の九州学生リーグを制し初出場を勝ち取った九州共立大と対戦します。

 

最終節終了時点(12月1日終了)

最終順位

 関東対抗戦関東リーグ関西Aリーグ
1位明治大東海大天理大
2位早稲田大日本大同志社大
3位帝京大流通経済大関西学院大
4位筑波大京都産業大

対抗戦は帝京が慶應に敗れ、筑波が青学大に勝利し4勝3敗で並ぶも、直接対決の勝敗により最終的に帝京の3位扱い、筑波の4位扱いとなりました。

また、リーグ戦1部は最終戦で日大が拓大に敗れたため、流経大と共に5勝2敗。

直接対決の勝敗により日大の2位、流経大の3位が確定。

関西Aリーグは、前節関西学院大に勝利したことにより、今節勝てば4位での大学選手権が見えていた近大が7位の摂南大にまさかの敗戦。

大体大に順当勝ちした関西学院が4勝3敗で近大、京産大を振り切り逆転で3位に滑り込みました。

最終節で立命館に快勝した同志社は2位を確保、天理に敗れた京産大は4位で大学選手権の出場を決めました。

組み合わせ

非常に興味深い組み合わせとなりましたね。

まず帝京の対抗戦3位、流経大のリーグ戦3位が確定したことにより、両校が天理大の山に入る『死のグループ』が形成。

また同志社の2位確定により初戦が対抗戦の難敵・筑波と、その勝者が東海大と激突。

この山も熱い戦いが繰り広げられそうです。

そして個人的には大西監督のラストイヤーとして臨む京産大(関西4位)と、今季復活を果たしたヘラクレス軍団・日大の『看板フォワード対決』が、3回戦最注目のカードとなります。

また早明戦の結果、対抗戦は明治の1位、早稲田の2位が確定。

最も優位な第1シードのポジションを獲得したのは明治ということになりました。

そしてこの結果、早稲田は京産大、日大の勝者と準々決勝を戦うことに。

さらに勝てば準決勝は『死のグループ(天理、帝京、流経大)』を勝ち上がったチームとの激突。

どのチームも強力フォワードを擁する強豪が相手。

厳しい戦いを強いられることになりそうです。

おまけ

勝手に組み合わせ予想

最後に、、、

”各リーグの展望”として個人的に順位予想をして(しまって)いる私の予想順位を反映した組み合わせも、備忘録までに載せておきたいと思います。

昨年は殆ど外れてしまいましたが、今シーズンの結果は如何に!?

【各リーグ予想順位】

 関東対抗戦関東リーグ戦関西Aリーグ
1位明治大東海大天理大
2位早稲田大日本大同志社大
3位帝京大大東大京産大
4位筑波大関学大

【組み合わせ予想】

今季も関西リーグでは天理の力が突出しているだけに、準々決勝で天理と当たる可能性の高い『対抗戦3位』のチームにとっては、”正月越え”へここが大きな試練となりそうです。

開幕4連勝で3位以上がほぼ確定の明治早稲田帝京の3強の中で、3位となるのはどこの大学か!?

ここが今季のトーナメントを占う上で、一番の注目ポイントとなりそうですね。

3回戦終了時点(12月15日更新)

帝京敗退。

予期していたこととはいえ、やはりこの結果はショッキングです。

心のどこかで「選手権に入ってからの帝京は違う」と信じている部分がありましたが、最後までチームは上向きになってきませんでしたね。

”真紅の軍団”が崩れ落ちる様は、昨年、目の前で9連覇を閉ざされた秩父宮を思い出すような光景でした。

実際、FL本郷泰司主将(4年)、SO北村将大選手(3年)、No.8安田司選手(3年)らフォワード、バックス共に主力が離脱していたことは大きかったと思いますが、例えメンバーが入れ替わってもこれまで決して揺るがなかったのは『メンタリティ』の部分。

”ゴールラインを簡単には割らせない”

”帝京は決して負けない”

流経大WTBイノケ・ブルア選手(2年)にことごとく突破を許し、各々がどこか自信なさげにプレーする姿からは、残念ながらそれを感じることが出来ませんでした。

しかもそれはこの試合だけでなく、シーズンを通して見られた姿。

たった一度の敗戦がここまでチームを変えてしまうものなのか。

学生スポーツの怖さを改めて思い知らされた気がします。

来年は上述の2人に加え、WTB木村朋也選手、CTB尾崎泰雅選手、FB奥村翔選手ら、下級生時代からチームを引っ張ってきた黄金世代が、文字通りチームの中心となります。

世代交代が求められたフォワード陣も多くのメンバーがこの敗戦を経験しました。

メンタリティの改革(回復)はそう簡単ではありませんが、帝京なら、岩出監督なら、と期待する部分はやはりあります。

帝京はそれだけのチーム。

また来季強い姿で帰ってきてくれることを楽しみに待ちたいと思います。

そして公式戦で初めて帝京に勝利を収めた流経大には、心から祝福の言葉を贈りたいと思います。

準々決勝終了時点(12月21日更新)

1月2日
秩父宮12:20早大

○52-12

天理大
14:10明治大

○29-10

東海大

ついに4強が出揃いました。

早稲田は『鬼門』の花園で日大相手に8トライを奪い快勝。

岸岡選手の秀逸のゲームメイク、3トライを挙げた古賀選手の完全復活など、8トライ中7トライを記録したバックス陣の躍動が目立ちますが、この試合はフォワード陣の奮闘が大きかったですね。

劣勢が予想されたスクラムで互角に組み合い、No.8丸尾選手、LO下川選手、FL相良選手ら核となる選手が前に出られたことで、タレント揃いのバックスが生かされた印象です。

逆に今季強力フォワードを武器に旋風を巻き起こしてきた日大にとっては、スクラムを中心とするフォワード戦で優位に立てなかったことがこの試合の敗因でしょう。

追撃ムードの中のノットリリーズザーボールや単純なノックオンなど、要所要所で細かなミスが見られたのも非常にもったいなかった。

それでも後半35分、スクラムでペナルティを獲得し、ラインアウトからドライビングモールを押し切って奪ったトライは見事の一言。

今季の日大を象徴するようなシーンでした。

苦しいときもチームの先頭に立ち、この位置までチームを押し上げてきたPR坂本駿介主将には心から敬意を表したいと思います。

来季も今季躍進の中心となったメンバーの殆どはチームに残ります。

さらに進化した『ヘラクレス軍団』の姿を見せてほしいと思います。

大学選手権はJ SPORTSで全試合視聴可能です/

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