昨季は上位3校が揃って大学選手権準々決勝で敗退し、正月越えを果たせなかった関東リーグ戦勢。

優勝した明治に善戦(●15-18)した東海以外は、大東大流経大が天理、帝京にそれぞれ完敗を喫するなど、対抗戦勢に肉薄していた勢いが近年は失われつつあります。

しかし、新チームとして迎えた今年の春季大会では、東海が上位校の集うAグループで4勝1分と無敗で2位(勝点で並んだ帝京が得失点差で優勝)、中位校の集うBグループでは日大が王者・明治に次いで2位に入るなど、久々に春から明るい話題が聞こえてきています。

ただ昨季、選手権決勝に進むチームが現れなかったことにより、このリーグに割与えられる”大学選手権の出場枠”は、今季もわずか『3』

大学日本一を目指す資格を得るためには、リーグで3位以内に入らなければいけません。

特に、前半戦から波乱が相次いだこのリーグ戦グループは、後半戦もこの『3枠』を巡る熾烈な争いが繰り広げられます。

そこでここでは、『関東リーグ戦1部』主要校の前半戦の戦いぶりを振り返りながら、順位予想も含めた展望を見ていきたいと思います。

主要校ここまでの戦いぶり

東海大学

8/31東海○100-21中央菅平
9/7東海○98-12専修三郷
9/14東海○50-14拓殖上柚木
11/3東海-日本東京ガス
11/9東海-法政秩父宮
11/16東海-流経大秩父宮
11/30東海-大東大秩父宮

日本代表にも選ばれたFB野口竜司選手(パナソニック)、CTB鹿尾貫太選手(ヤマハ発動機)、PR三浦昌吾選手(トヨタ自動車)ら、長年チームを支えてきたビッグネームが抜けた昨季は、春季大会で1勝4敗と大苦戦。

メンバー入れ替えによる”世代交代”が上手くいかなければ、このまま低迷もあるのでは、と思われたシーズンでした。

しかし、リーグ戦では開幕から5勝1分けで快進撃を続けると、最終節では”前年度王者”の大東大を28-21の接戦で撃破。

低かった下馬評を見事に覆す復活劇を演じます。

続く大学選手権でも、その後日本一となった明治相手に、最後は3点差で敗れるものの、後半38分まで15-15と追い詰め、リーグ戦王者の意地を見せつけました。

”東海は簡単には崩れない”

そう印象づけて迎えた今季。

世代交代のため3年生以下を中心に戦った昨季の主力メンバーの内、残ったのは実に『11人』

この数字は同じく昨シーズンを3年生以下を中心に戦い、今季主力12人が残る早稲田に次ぐ数字です。

その恩恵により今季の東海は、春季大会で多くの選手を試す機会に恵まれ、選手層の底上げに着手しながらも4勝1分の2位という結果も残します。

その過程では、公式戦で初めて帝京大を撃破するという快挙も達成。

一躍、優勝候補に東海を推す声も多くなってきました。

秋のシーズンイン後も、下克上続出で波乱に揺れるライバル校を傍目に危なげなく3連勝。

層の厚くなったメンバーも、”世代最高のリーダー”真野泰地主将(4年・東海大仰星)を中心に、オールスターメンバーでここまで全試合スタメン出場のSH山菅一史選手(4年・東京)、昨季ルーキーながら大ブレイクを果たしたWTB望月裕貴選手(2年・東海大翔洋)、FB酒井亮治選手(2年・東海大相模)らバックス陣は多士済々。

昨季のスタメン5人が残るフォワードもPR中野 幹選手(4年・東海大仰星)、FL/No.8山田生真選手(3年・東海大仰星)らを中心に、重くて動ける"THE 東海FW"を体現。

この布陣に、今季ここまでまだリーグ戦出場がない司令塔SO丸山凜太朗選手(2年・東福岡)が加われば、今年は悲願の日本一を狙える位置にいると言えるでしょう。

リーグ再開となる11月3日(日)の相手は、上位勢相手にここまで3連勝と快進撃を続ける日大

この試合を制した方が、リーグ戦王者へ大きく前進する一戦です。

お互いに自信を持つ『フォワードの真っ向勝負』が、今から楽しみでなりません。

大東文化大学

9/1大東大○33-26専修菅平
9/8大東大●22-26拓殖熊谷
9/14大東大●33-40日本上柚木
11/3大東大-中央熊谷
11/9大東大-流経大秩父宮
11/16大東大-法政秩父宮
11/30大東大-東海秩父宮

HO平田快笙前主将(東芝)、PR古畑翔選手(パナソニック)、アマト、タラウのファカタヴァ兄弟(リコー)ら、看板の強力フォワードを支えてきたメンバーが大幅に抜け、再出発を余儀なくされている今季の大東大

春季大会ではリーグ戦のライバル流経大と引き分けた以外は、全敗の最下位と苦しみます。

特に、帝京に60失点、早稲田に47失点を喫するなど、平均”42失点”を記録したディフェンスの崩壊はシーズンに向け気がかりな要素。

復活を遂げた過去2年間は、ファカタヴァ兄弟を中心とした爆発的な攻撃力の裏で、強固なチームディフェンスが躍進を支えました。

一昨季(2017年度)のFL河野良太主将(現・中部電力)を中心に作り上げたチームは、リーグ戦7試合で”平均失点10”と驚異的な数字を記録し、2位に終わった昨季(2018年度)も平均失点は”17”であったことからも、それは証明されています。

しかし、ここまで1勝2敗と苦戦の続く今季のリーグ戦では、3試合の平均失点は”31”。

昨季下位に沈んだ相手にこの数字では、やはり上位進出は厳しいと言わざるを得ません。

上位勢との対戦が続く後半戦に向け、ディフェンスの改善は急務。

おそらくこの中断期間にその辺りは入念に整備されていることでしょう。

既に2敗は喫したとはいえ、選手権出場の3位以内確保は決して不可能なミッションではありません。

『モスグリーン軍団』の第一次黄金期を支えた日下唯志新監督と、”無名校出身の星”佐々木剛主将(4年・八戸西)の立て直しに期待をしたいと思います。

流通経済大学

9/1流経大○31-19拓殖菅平
9/8流経大●28-34日本たつのこ
9/14流経大○64-33中央秋葉台
11/3流経大-専修熊谷
11/9流経大-大東大秩父宮
11/16流経大-東海秩父宮
11/30流経大-法政熊谷

春季大会では帝京、早稲田の対抗戦勢には大敗する一方で、東海大、大東大とは引き分けるなど、同リーグのライバルには強さを発揮する流経大

特に早稲田、帝京を相次いで撃破し連勝街道を続けていた東海大と引き分けに持ち込んだ一戦は、『リーグ戦“BIG3”』の名に相応しい激戦でした。

リーグ戦開幕後は、第2節で日大にこそ不覚を取るものの、拓殖と中央にはしっかり勝ちきり2勝1敗。

近年は東海とリーグ戦の覇権を争った全盛期の勢いは衰えつつありますが、切れ味鋭いランを持つ河野竣太選手(2年・常翔学園)や、柔道仕込みの足腰の強さでバックスを牽引するヴィリアメ・タカヤワ選手(3年・ケルストンボーイズ)ら、今季も世代有数の才能を抱える好チームに仕上がっています。

ただ、対戦相手によって浮き沈みのあるメンタル面と、拓殖・日大相手に苦戦した『スクラム』は、後半戦へ向け気がかりな部分です。

既に1敗を喫している流経大にとって3位以内確保のためには、11月3日の専修戦を確実に勝利し、大東大、東海、法政と続く強豪との対戦を最低でも2勝1敗で乗り切る必要があります。

11年間死守してきたリーグ戦代表の座を死守することが出来るのか。

『リーグ戦”BIG3”』の一角としての真価が問われます。

 

法政大学

9/1法政●12-34日本菅平
9/8法政○41-5中央三郷
9/15法政●25-26専修足利
11/3法政-拓殖三郷
11/9法政-東海秩父宮
11/16法政-大東大秩父宮
11/30法政-流経大熊谷

昨季、大学選手権の出場は逃したものの、リーグ最終戦で流経大を22-21と撃破し、名門の意地を見せた法政

この歓喜の勝利は、井上拓新主将(4年・御所実)の下、古豪復活を目指す今季のチームへの起爆剤となると思っていました。

しかし、リーグ中位勢が集う春季大会Bグループでは、1勝4敗とまさかの5位に終わると、夏を越えてもなかなか状態が上がらないチームは、リーグ戦に入っても春季大会で唯一勝利を挙げた日大との開幕戦でいきなり完敗。

第2節の中央戦では相手を1トライに押さえ初勝利を収めるものの、続く専修には20-7とリードを奪う展開から、後半に入ると『打倒法政』に燃える相手の勢いを止められず、よもやの逆転負けを喫します。

敗れた日大戦、専修戦どちらも前半は善戦するものの、

・日大に崩壊させられた『スクラム』

・専修の連続攻撃の前に、なす術無く崩れ去った『ディフェンス』

後半に入ると露呈するこれらの”脆さ”が、今季の法政の苦戦を物語っています。

中断期間を経てリーグ再開後初戦でぶつかる相手は、第2節で大東大との激戦を制した拓殖大

ここで敗れるようなことがあれば、リーグ3位はおろか2016年以来となる『入替戦』も視野に入ってきてしまいます。

リーグ戦最多13度の優勝を誇る『名門』がこのまま終わっていいはずがありません。

島津監督就任3年目の集大成となる今季。

強い『オレンジ軍団』の姿を是非見せてほしいと思います。

日本大学

9/1日本○34-12法政菅平
9/8日本○34-28流経大たつのこ
9/14日本○40-33大東大上柚木
11/3日本-東海東京ガス
11/17日本-中央三郷
11/24日本-専修江戸川
11/30日本-拓殖熊谷

昨季リーグ戦5位ながら、開幕から法政大、流経大、大東大の上位勢相手に3戦全勝と、リーグを席巻する旋風を巻き起こしている今季の日大

個人的に今年一番の注目チームに挙げてはいましたが、ここまでの快進撃は正直予想できませんでした。

驚かされるのは、法政に対してはバックス展開、流経大にはスクラム、そして大東大にはドライビングモールとフォワードのレッグドライブと、相手の強みに対して真っ向勝負を挑み、全て力でねじ伏せて勝利をものにしてきている点です。

試合展開も先行逃げ切りから、接戦からの逆転勝ちなど多種多様。

そこには偶然の要素など一つも無く、この結果がこのチームの実力であることに疑いの余地はありません。

中でも好調の最大の要因は、今田洋介スクラムコーチの下、早朝練習などで徹底的に鍛え上げた強力スクラムです。

強力フォワードを看板とする流経大と大東大を、スクラムで粉砕する姿は圧巻。

しかも試合終盤にそれをやってのける辺りに、今季の日大の矜恃と底力を感じます。

そのスクラムと今季のチームを牽引するのは、流経大戦に続き大東大戦でもMOM(Man of the Match)に選ばれた坂本駿介主将(4年・三本木農)。

試合では最前線で誰よりも身体を張り、試合後は歓喜に沸くフィフティーンを冷静に諭して対戦相手へエールを送る。

金星を挙げても決して大騒ぎせず、相手へのリスペクトを忘れないその姿勢と態度は、まさに『真のリーダー』の姿です。

「今年の目標はリーグ戦の優勝。大学選手権に出て、ベスト4を目指しています」

シーズン前に語ったこの目標が実現されるまで、この主将がぶれることはないでしょう。

11月3日の相手は全勝街道をひた走る王者東海大

リーグ中盤で早くも迎える天王山。

ヘラクレス軍団』復活へ。

後半戦の戦いからも目が離せません。

順位表(第3節終了時点)

順位チーム勝点勝数分数負数得点失点点差
1東海大12300402424847201
2日 大1230017101087335
3流経大920119141238637
4法 大6102135786513
5大東大610213108892-4
6拓 大61029759103-44
7専 大610210764156-92
8中 大30039759205-146

勝手に順位予想

それでは最後にここまでの状況を踏まえ、順位予想をしてみたいと思います。

リーグ戦1部順位予想
1位   東海大学
2位  日本大学
3位  大東文化大学
4位    流通経済大学
5位    拓殖大学
6位    専修大学
7位    法政大学
8位    中央大学
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