史上初の菅平開幕となった今年度の関東大学ラグビー対抗戦Aグループ。

昨年は6勝1敗と同率でこのリーグを制した帝京早稲田が大学選手権ではベスト4で敗退する一方で、5勝2敗で4位扱いとなった明治が熾烈なトーナメントを勝ち抜き見事日本一へ輝きました。

大学ラグビー界の”盟主”の『覇権奪回』は実に22年ぶり、しかし、その裏では、9年もの間王者に君臨した帝京の連覇がついに途絶え、『帝京1強時代』に終止符が打たれた年でもありました。

これにより、大学ラグビーはいよいよ群雄割拠の時代へと突入。

各校の実力が拮抗し、覇権争いの行方は混沌としてきました。

実力伯仲の対抗戦を制するのはどのチームか!?

そして令和初の大学王者に輝くのは...!?

ここでは、対抗戦Aグループ主要校の前半戦の戦いぶりを振り返りながら、順位予想も含めた展望を見ていきたいと思います。

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主要校ここまでの戦いぶり

帝京大学

9/1帝京○78-7成蹊菅平
9/8帝京○59-30日体大帝京大G
9/14帝京○80-7青学大大和スポ
11/4帝京-筑波駒沢
11/10帝京-早稲田秩父宮
11/24帝京-明治秩父宮
11/30帝京-慶應秩父宮

大学選手権9連覇時代は、シーズンを通して学生相手に無敗を誇った”絶対王者”も、今年の春夏シーズンでは東海(●26-31)、明治(●17-35)、早稲田(●21-31)相手に敗北を喫するなど、かつての勢いは失われつつあります。

対抗戦ではここまで3連勝で来ているものの、第2節の日体大戦では、簡単にディフェンスラインを突破されるシーンが見られるなど、計4トライを献上し30失点。

連覇と共に歩んだこの10年間、下位校相手に3トライ以上を奪われた試合は1度もなく、対抗戦での30失点は過去5年で見ても2015年明治戦(○49-32)、2016年慶應大戦(○41-31)の2度のみ。

全員の集中力が研ぎ澄まされ、ため息が出るほど強固なディフェンス網を形成したかつての帝京からは、現在の姿は考えられません。

これは”スキル”というより、”メンタル”の部分に原因がある気がしてなりません。

この状態がこの後の対抗戦や選手権でも改善されないようであれば、早期復権への道は、予想以上に時間を要すものになってしまいそうです。

しかし、現在のメンバーに目を向けてみると、SO北村将大選手(3年・御所実)、CTB尾崎泰雅選手(3年・伏見工)、WTB木村朋也選手(3年・伏見工)ら、3年生ながら経験豊富な『黄金世代』は今季も健在。

さらに、ルーキーながら対抗戦デビューを果たした、大阪朝鮮高、高校日本代表で主将を務めた李承信選手(1年)、高校日本一の主将松山千大選手(1年・大阪桐蔭)、SO高本幹也選手(1年・大阪桐蔭)ら世代トップクラスの若手も台頭するなど、バックス陣は戦力の充実ぶりを見せています。

フォワードは昨年の主力がごそっと抜け、”世代交代”が喫緊の課題であることは間違いありませんが、フロントローの3人(清水、李、奥野)、FLトンガタマ選手、FL/No.8安田司選手(3年・常翔学園)の5人は、全3試合でスタメン起用。

新戦力としても高校日本代表の山添圭祐選手(1年・長崎北陽台)が開幕スタメンを勝ち取るなど、3年生以下の世代を中心に戦える戦力は整ってきています。

ただやはり、バックスに比べ経験値が不足している今年のフォワードに求められるのは、主力をある程度固定し、1試合でも多く試合経験を積ませること。

”世代交代”だけでなく”優勝”も同時に求められる王者にとっては、この両立は困難なミッションになりますが、『黄金世代』が最終学年を迎える来年を”真の勝負年”と位置づけるならば、今年求められる戦いは必然的にそうなってくるのかもしれません。

百戦錬磨の岩出監督と本郷泰治主将が、どのような舵取りをし、シーズンを戦っていくのか。

この点にも注目していきたいと思います。

早稲田大学

8/31早稲田○68-10日体大菅平
9/8早稲田○92-0青学大早大G
9/15早稲田○52-8筑波ケーズデ
11/4早稲田-成蹊駒沢
11/10早稲田-帝京秩父宮
11/23早稲田-慶應秩父宮
12/1早稲田-明治秩父宮

夏合宿で天理・帝京を撃破し、頂点を狙える位置にいることを証明した早稲田

対抗戦に入ってもその勢いは衰えず、日体大、青学大、筑波大をそれぞれ圧倒し3連勝。

特に前節で慶應を撃破し勢いに乗る筑波を、ラインアウトモールからの1トライに封じ込めた試合からは、今年に懸ける想いが伝わってきました。

メンバーを見ても、4年目を迎えるSH齋藤直人主将(4年・桐蔭学園)、SO岸岡智樹選手(4年・東海大仰星)、CTB中野将伍選手(4年・東筑)、WTB桑山淳生選手(4年・鹿児島実)ら”黄金世代”を中心に、怪我で離脱していたエースWTB/FB古賀由教選手(3年・東福岡)、WTB/FB河瀬諒介選手(2年・東海大仰星)もスタメンへ復帰。

ここにCTB長田智希選手(2年・東海大仰星)が復帰し、WTB/FB梅津友喜選手(4年・黒沢尻北)が復調すれば、大学界随一の攻撃力を誇る『早稲田史上最強』のバックス陣が完成します。

フォワードも昨年の主力メンバーが殆ど残るのに加え、夏合宿からAチームに定着し、開幕から全試合に出場するFL/No.8相良昌彦選手(1年・早稲田実)ら新戦力も台頭。

フォワード・バックス共に充実期を迎え、日本一を語るに相応しい布陣が出来上がりつつあります。

さらに、近年一番の懸念だった”スクラム”も、昨年まで3番だった久保優選手(3年・筑紫)が1番へ転向したことに加え、スクラムへの意識改革と厳しい鍛錬で、夏合宿以降、これまでの”耐えるスクラム”から”押し込むスクラム”へと変貌を遂げました。

こうなると頂点へ向け、残るラストピースは『絶対的な自信』。

理屈なしに否が応でもスイッチが入る早慶戦、早明戦はそれに当たりません。

やはり今季早稲田復活の鍵を握るのは、2010年以来対抗戦で勝利がない帝京戦(11/10)でしょう。

ここを乗り越えない限り、対抗戦優勝、そして11年ぶりの『荒ぶる』奪還は見えてきません。

慶應義塾大学

9/1慶應○35-3青学大菅平
9/8慶應●14-17筑波たつのこ
9/14慶應○101-0成蹊秋葉台
11/4慶應-日体大上柚木
11/10慶應-明治秩父宮
11/23慶應-早稲田秩父宮
11/30慶應-帝京秩父宮

慶應が留学生の受け入れを開始する。」

今季のシーズンイン後、衝撃のニュースが飛び込んできました。

そして迎えた9月18日。

慶應ラグビー部史上初の留学生として入部したのは、LO/No.8アイザイア・マプスア選手とCTBイサコ・エノサ選手。(※4月には韓国出身の留学生も入部)

共にニュージーランドの名門キングスカレッジ高出身で、それぞれ193センチ/107キロ、183センチ/106キロとサイズも規格外。

バリバリの即戦力です。

早慶明のいわゆる伝統校の中で最も推薦枠が少なく、入学制度が厳格な慶應がこの決断を下すことは正直予想していませんでした。

本音を言うと、”先を越された”感は否めませんが、ラグビーの『ルーツ校』が他の伝統校に先駆けて、いち早く留学生の受入れを開始したことには、大学ラグビー界にとっても大きな意義があります。

この決断を推進したとされる栗原徹新ヘッドコーチの先進性と、慶應ラグビー部の柔軟性には本当に感心させられます。

この流れが早明両校に伝播する日も、いよいよ遠くないのかもしれませんね。

 

しかしながら、強力な留学生の加入が、即座にチーム力向上に繋がるかどうかは、また別問題です。

中断期間に2人が揃って出場した練習試合でも1勝2敗(○同志社  ●京産大/帝京)と苦戦が続いているように、これまで『組織』としての戦いを常としてきた慶應のようなチームにとっては尚更でしょう。

チームにとって希有な存在である突出した『個』を、いかにチーム力へ昇華させるのか。

ここは、自主性を重んじ個々の判断と個性を戦術に取り入れる栗原HCの腕の見せ所です。

開幕第2戦で筑波に屈し、苦しい立場に立たされている今季の慶應。

留学生の存在が後半戦の起爆剤となるのか、それとも....

いずれにしても、新たな世界へ舵を切るルーツ校の奮起に期待しましょう。

明治大学

8/31明治○59-33筑波菅平
9/8明治○139-5成蹊明大G
9/15明治○103-0日体大ケーズデ
11/4明治-青学大上柚木
11/10明治-慶應秩父宮
11/24明治-帝京秩父宮
12/1明治-早稲田秩父宮

前半戦3試合中2試合で100点ゲームと、選手権2連覇へ向け、ここまで順調な滑り出しを見せている明治

昨季選手権決勝に出場したスタメン10名が残り、抜群の層の厚さを誇る明治にあっては、その圧倒的な攻撃力に目が行きがちですが、昨季22年ぶりに達成した『覇権奪回』を下支えしたのは、その才能集団が実直に築き上げた”チームディフェンス”に他なりません。

開幕戦となった難敵筑波相手には、いつもと勝手が違う菅平開催に浮き足立ったか、5本のトライを許し33失点を喫してしまいましたが、第3節では強力な2人の留学生を擁し、前週に帝京から30点を奪った日体大の攻撃をシャットアウトした集中力は、昨季の姿を見るようでした。

このW杯の中断期間には天理(○29-21)、同志社(○57-21)といった関西の2強相手にも、被トライをそれぞれ3本に押さえ快勝。

春夏シーズンでは試合ごとにメンタル面でのムラが散見されましたが、シーズンイン後はそれも改善されつつあります。

昨季の優勝で手にした『勝者のメンタリティー』に加え、田中監督の的確なコーチングで、隙のない大人のチームへ変貌した明治は今年もやはり強い。

今季から攻撃を司るSO山沢京平選手(3年・深谷)の安定感が増し、試合中に出来、不出来がはっきり分かれるスクラムがさらに改善されれば、今季も『優勝候補筆頭』の立場は揺るぎがありません。

筑波大学

8/31筑波●33-59明治菅平
9/8筑波○17-14慶應たつのこ
9/15筑波●8-52早稲田ケーズデ
11/4筑波-帝京駒沢
11/10筑波-成蹊熊谷
11/24筑波-日体大前橋敷島
12/1筑波-青学大江戸川陸

9月8日の対抗戦第2節。

前評判は決して高くなかった筑波が慶應相手に見せたロスタイムの逆転劇は、試合後の嶋崎新監督の涙と共に強く心を打ちました。

ここ数年、”帝早慶明”の前に辛酸を舐めてきた『国立の雄』が、ついにその一角を撃破。

やはり筑波が強くなければ対抗戦は盛り上がってきません。

大学で”ブレイクダウン”を研究する嶋﨑新監督と強気なリードが光るSH杉山優平主将の下、持ち前のフィジカルバトルでファイト出来る好チームを作り上げてきた今季。

世代最多5人の高校日本代表が集う現4年生の今年に懸ける想いは、生半可なものではないはずです。

 

しかし忘れてはいけないのが、今年この関東対抗戦グループに与えられる大学選手権出場枠が”4”であるということ。

4位までに入る最低ラインを過去2年間と同じ5勝2敗と考えると、3敗を喫した瞬間に選手権出場へ黄信号が灯ることとなります。

リーグが再開する11月4日に激突する相手は、覇権奪回を目論む前王者”帝京

厳しい相手であることは間違いありませんが、『帝京黄金時代』に学生として唯一黒星をつけた筑波であれば不可能ではありません。

この試合にこの1年間の全てをぶつける気迫を見せてほしいと思います。

 

順位表(第3節終了時点)

順位チーム試合得点失点点差
1明 大3300453830138263
1早 大3300322621218194
1帝京大3300332621744173
4慶 大3201222015020130
5筑波大31029558125-67
6日体大30035340230-190
6青学大30031110207-197
6成蹊大30032112318-306

勝手に順位予想

それでは最後にここまでの状況を踏まえ、順位予想をしてみたいと思います。

対抗戦Aグループ順位予想
1位   明治大学
2位  早稲田大学
3位  帝京大学
4位  筑波大学
5位  慶應義塾大学
6位  日本体育大学
7位  青山学院大学
8位  成蹊大学
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