大学ラグビー2019。
開幕を控えた各校の”展望シリーズ”。
第3弾は帝京大学です。
昨季準決勝で敗退しついに連覇の道が途絶えた真紅の絶対王者。
このまま帝京の時代に終止符が打たれるのか⁉
それとも早期復権はあるのか⁉
注目の2019年シーズンが幕を開けます。
帝京大学 対抗戦スケジュール
ではまず初めに今季の対抗戦のスケジュールを見てみましょう。
9月1日 | 帝京 | - | 成蹊 | 菅平 |
9月8日 | 帝京 | - | 日本体育 | 帝京大G |
9月14日 | 帝京 | - | 青山学院 | 大和スポ |
11月4日 | 帝京 | - | 筑波 | 駒沢 |
11月10日 | 帝京 | - | 早稲田 | 秩父宮 |
11月24日 | 帝京 | - | 明治 | 秩父宮 |
11月30日 | 帝京 | - | 慶應義塾 | 秩父宮 |
数々の激戦を繰り広げてきた筑波とは最終戦で激突するカードが通例でしたが、今季は第4節での対戦となりました。
これにより、ラスト3試合が早明慶との激突となり、昨季上位4校が終盤に直接対決を行うという分かり易い構図となりました。
これはリーグ戦1部、関西Aリーグと同様のマッチメイキングですね。
帝京にとってはじっくりチームを仕上げながら強度を上げていく事が出来るので、願ってもないスケジュールではないでしょうか。
ここまでの戦いぶり
それでは次に春夏シーズンの戦いぶりを振り返ります。
4/28 | 春季大会 | 帝京 | 〇50-19 | 流通経済 |
5/12 | 春季大会 | 帝京 | 〇60-7 | 大東文化 |
5/19 | 春季大会 | 帝京 | 〇42-20 | 慶應義塾 |
5/26 | 春季大会 | 帝京 | ●26-31 | 東海 |
6/2 | 招待試合 | 帝京 | ●17-35 | 明治 |
6/8 | 招待試合 | 帝京 | ○24-14 | 立命館 |
6/16 | 春季大会 | 帝京 | ○61-24 | 早稲田 |
7/21 | 練習試合 | 帝京 | ○63-34 | 流通経済 |
8/15 | 練習試合 | 帝京 | ○40-5 | 大東文化 |
8/21 | 練習試合 | 帝京 | ●21-31 | 早稲田 |
本郷泰司選手(4年・京都成章)を主将に据え、”超越”(挑んで目標を超えていこうの意)をスローガンに発足した今季の帝京。
ズバリ今年の課題は
”世代交代”
です。
各学年、ポジションに強豪高校のエース級が集うバックス陣に対して、フォワード陣は全盛期と比較するとどうしてもスケールダウン感は否めません。
しかも昨年は、最終戦となった選手権準決勝(天理戦)に出場したフォワードが8人全て4年生。
これまで下級生にもバランスよく試合経験を積ませ、永続的なチーム強化を進めてきた帝京にあって、これは異例の事態と言えます。
4年生の実力が突出していたのか、或いは3年生以下に脅かす存在がいなかったのか。
負傷等もあるので実際のところは分かりませんが、いずれにしても、連覇が途絶えた要因に”選手層の薄さ”が囁かれるのは、現在のフォワードが置かれている状況と無関係ではないはずです。
それで行くと、この春帝京にとって大切なのは、主力メンバーにAチームでの試合経験を積ませること。
その意味では、春に敗戦を喫した相手が、強力フォワードを擁する東海、明治であったことは、現状を鑑みるとある程度想定内だったのではないでしょうか。(創部史上初めて帝京を破った東海には自信を与える結果となりましたが...)
夏合宿でも春季大会から短期間でスクラムを立て直してきた早稲田に敗戦。
しかし、敗戦以上に序盤で立て続けに3トライを先取された後でも、大崩れせず、落ち着いてチームを立て直した点にはやはり底力を感じます。
早稲田にとっては、序盤のスクラム優勢を維持できず、試合中に修正されたことで、勝利は得たものの気持ちの部分で苦手意識を払拭するところまではいけなかった気がしますね。
やはり今年も地力のあるチームである事に疑いようはなく、優勝争いに絡んでくることは間違いありません。
帝京大学 対抗戦予想布陣
それでは最後に、ここまでの戦いぶり、出場メンバーを参考に、私が勝手に考える予想布陣を見ていきたいと思います。
※あくまで私の独断です。
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
フォワード
フロントローは昨年から総入れ替えとなりました。
春夏シーズンで7試合にスタメン出場した北隼人選手(4年・筑紫)と全10試合に出場を果たしている李承爀選手(3年・大阪朝鮮)はほぼ当確。
奥野翔太選手(2年・常翔学園)と細木康太郎選手(2年・桐蔭学園)が激しいポジション争いを繰り広げる3番PRは、スクラムの強さに定評があり、ボールキャリアーとしても破壊力を発揮する細木選手を選出。
”耐える”スクラムではなく、”押し込む”スクラムを組むことが出来るか。ここに注目です。
秋山大地前主将が抜けたロックは、191㎝の大型ロック久保克斗選手(3年・国学院栃木)がその穴を埋めます。
相棒は非常に難しいところですが、こちらも195㎝と長身のマクロビー選手(1年・St.Kentigern)を入れ、久保選手と共にラインアウトの制圧を委ねたいところです。
バックローは昨年からコンスタントに試合に出場している安田司選手(3年・常翔学園)。
彼のフィジカルの強さは一見の価値ありです。
そして、オープンサイドフランカーは、長崎北陽台の前主将にして高校日本代表を経験した山添圭祐選手(1年)を選びます。
ルーキーながら既に大学レベルのフィジカルを有しており、タックルは強烈。
将来の幹部候補生のポテンシャルは魅力十分です。
そして昨年までブロディ・マクカラン選手(現・神戸製鋼)が君臨したナンバーエイトは、金隆生選手(3年・大阪朝鮮)が務める事になりそうです。
4年生がPR北選手のみと若いスタッツとなりましたが、彼らが今年経験を積むことが出来れば、来期以降も計算できる布陣に成長を遂げます。
フォワードにとって正念場となる今季。
彼らの奮起に期待したいと思います。
バックス
明治に勝るとも劣らない豪華布陣を誇るバックス陣。
メンバーの中心となるのは、下級生時代から将来を見据え起用され続けてきた3年生です。
スタンドオフ北村将大選手(3年・御所実)は今やチームにとって欠かすことのできない存在へ成長。
昨年天理との準決勝で試合開始早々に負傷退場してから、帝京が全く別のチームとなってしまったことからもそれは実証済みです。
今年は年間を通してケガなく活躍できることを願います。
そして、センターには兄ブロディと同様、勤勉なプレーが際立つニコラス・マクカラン選手(3年・ハミルトンボーイズ)。
ウィング、フルバックにはエースにしてトライゲッターの木村朋也選手(3年)と奥村翔選手(3年)の伏見工コンビが君臨。
さらにはセンター尾崎泰雅選手(3年・伏見工)、岡村晃司選手(3年・御所実)も控えており、3年生だけで強力なバックス陣が形成できるほど抜群の層の厚さを誇ります。
スタメンを固定せず相手によって組み合わせを変える事も十分に考えられそうですね。
そしてそんな中、左肩の手術で戦線離脱していた頼れるキャプテンCTB本郷泰司主将(4年・京都成章)が、夏合宿からついに試合に復帰。
さらに、入学当初からその才能を高く評価されながら、昨年まで小畑健太郎選手(現・神戸製鋼)の陰に隠れていたSH末拓実選手(4年・長崎北陽台)が満を持してスタメン入り。
最終学年となる2人には、生きのいいバックス陣を牽引する役割が求められます。
最後のポジションは左ウィング。
ここは昨季の高校日本代表で並み居る強豪校の主将が集う中、キャプテンを任命された李承信選手(1年・大阪朝鮮)を選出します。
本来はセンターの選手ですが、将来の幹部となる事は間違いなく、1年時から是非経験を積ませ成長を促したいところです。
同じポジションには同じく高校日本代表の逸材二村莞司選手(1年・京都成章)も存在感を発揮。
ルーキー同士のポジション争いも注目です。
他にも高本幹也選手(1年・大阪桐蔭)、松山千大選手(1年・大阪桐蔭)の花園優勝コンビら多士済々。
対抗戦も佳境を迎える頃、どの選手がチームにフィットしどのような活躍を見せてくれるのか。
覇権奪回を期す帝京に注目しましょう!