”桐蔭対決”となった決勝戦で惜しくも敗れ、またも悲願の単独優勝を逃した”東の横綱”桐蔭学園。
SH小西主将、HO紀伊選手ら多くのタレントを擁し、優勝候補筆頭と目されたチームだっただけに、その無念たるや察するに余りあるものがあります。
2010年度大会で同校と東福岡の両校優勝があったとはいえ、関東勢最後の単独優勝は、国学院久我山が伏見工(現・京都工学院)を下した1997年。
かつては目黒、相模台工、久我山、熊谷工、茗渓学園らが全国レベルで君臨した関東勢ですが、近年は苦戦が続きます。
しかし、昨季の花園では流経大柏のベスト4進出、ノーシード国学院栃木がBシード日本航空石川をシードバックするなど、桐蔭学園”1強”状態が続いてた関東勢にも変化の兆しが現れました。
今年の関東勢の力関係はどのようになるのか⁉
新たに始動したチームにとってまず初めの全国大会である選抜大会へ向け、関東新人大会が始まります。
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第19回関東高校ラグビー新人大会
出場校
茨城 | 1位 | 茗渓学園 |
2位 | 日立第一 | |
栃木 | 1位 | 国学院栃木 |
2位 | 佐野日大 | |
群馬 | 1位 | 東農大二 |
2位 | 太田 | |
埼玉 | 1位 | 浦和 |
2位 | 立教新座 | |
千葉 | 1位 | 流経大柏 |
2位 | 仙台松戸 | |
東京 | 1位 | 本郷 |
2位 | 早稲田実 | |
神奈川 | 1位 | 桐蔭学園 |
2位 | 慶應義塾 | |
山梨 | 1位 | 日川 |
2位 | 日大明誠 |
今年の1月~2月にかけて行われた各都県の新人大会で決勝へ進出した全16校が出場。
茗渓学園、国学院栃木、流経大柏、桐蔭学園、日川ら花園常連校が連続出場を続ける一方で、群馬、埼玉、東京では昨年と全く顔ぶれが異なるという異変が起きるのも、この関東大会の特徴です。
群馬:明和県央、桐生第一⇒東農大二、太田
埼玉:深谷、昌平⇒浦和、立教新座
東京:久我山、東京⇒本郷、早実
花園を逃したチームは11月、出場したチームは1月から新チーム始動となるため、チームの仕上がりに差が生じる部分は否めません。
しかし、東京の2校(本郷、早実)のように久々に花園へ出場した勢いがそのまま新チームへ継承されるケースもあり、顔ぶれを見るだけでもとても興味深いですね。
そして今大会一番の注目は茨城2位で出場する日立第一です。
強豪私立校が割拠する同県で公立校の出場は初。
県大会では決勝こそ茗渓に100点ゲームを喫するものの、準々決勝では東洋大牛久(36-0)、準決勝ではつくば秀英(36-0)をそれぞれシャットアウト。
さらにはその快挙をリザーブなしの15人で成し遂げたというのだから本当に驚きです。
茨城県の公立の星として旋風を巻き起こしてくれる事を期待したいと思います。
尚、選抜大会の予選を兼ねる同大会では昨年桐蔭学園が優勝を果たした事で、上位6校に選抜大会への出場権が与えられます。
※浦和は開催県枠での出場が既に決定
組み合わせ
2月6日に関東ラグビー協会HPで組み合わせが発表されました。
(出典:関東ラグビー協会HPより)
注目の日立第一は”花園準優勝校”桐蔭学園へのチャレンジ権を得ました。
東京都大会を制した本郷は専大松戸と対戦。
国学院栃木対太田、佐野日大対東農大二はどちらも”栃木対群馬”の対決となってしまいましたね。。。
隣県のライバルとして負けられないところでしょう。
そして、1回戦屈指の好カードは何と言っても早稲田実対茗渓学園。
伝統的にハンドリングラグビーを信条とする茗渓と、兄貴分早稲田大学から受継ぐ展開力をアイデンティティとする早実。
この試合はボールが大きく動く、目の離せない展開になる事は間違いありませんね。
以下ではその勝ち上がりをお伝えします。(※結果は随時更新します。)
1回戦
2019/2/9 | 桐蔭学園 | ○125-0 | 日立第一 |
茗渓学園 | 19-24○ | 早稲田実 | |
立教新座 | 7 -45○ | 日川 | |
慶應義塾 | ○61- 7 | 浦和 | |
本郷 | ○57- 7 | 専大松戸 | |
東農大二 | 12-17○ | 佐野日大 | |
太田 | 0 -99○ | 国学院栃木 | |
日大明誠 | 5-123○ | 流経大柏 |
非常に大差のゲームが目立つ形になってしまいましたね。。。
準々決勝に進出したのは、東京2校、神奈川2校、栃木2校、千葉1校、山梨1校となりました。
各県同士のレベル差、そして県内でもトップ校と2番手校のレベル差を改めて実感します。
公立校として初出場を果たし、”横綱”桐蔭学園へ臨んだ日立第一にとっては厳しい結果となってしまいました。
茨城県大会決勝でも茗渓学園に104失点を喫しており、全国レベルの攻撃力に対抗するディフェンスの構築が求められます。
そしてその茗渓を19失点に抑え勝利した早稲田実。
1回戦屈指の好カードの結果は、、正直意外なものでしたね。
私の考える現在の関東圏トップ校の序列は、
"1. 神奈川 2. 千葉 3. 茨城 4. 東京 5. 栃木 6. 埼玉 7. 山梨 8. 群馬"
東京と茨城の差(トップ校同士)はほぼ互角。
ただ今年の茗渓の充実ぶりからすると、
「早実はいい勝負はしても勝つのは難しいだろうなぁ」という印象を持っていました。
しかし蓋を開ければ、早実のディフェンスがさく裂しこの結果。
高校ラグビーは分かりませんね。。。
この結果によって、早実は1回戦で”埼玉王者”浦和高校を一蹴した慶應義塾との対戦が決定。
そう”早慶戦”の実現です!
兄貴分(大学)は昨年対抗戦、大学選手権で激突し、2度とも早稲田に軍配が上がっています。
弟分の対決はどちらが勝利するか⁉
楽しみですね。
準々決勝
2019/2/10 | 桐蔭学園 | ○94-5 | 日川 |
本郷 | ○19-7 | 国学院栃木 | |
早稲田実 | ○20-17 | 慶應義塾 | |
佐野日大 | 5-73○ | 流経大柏 |
昨年度花園で準優勝の桐蔭学園とベスト4の流経大柏がそれぞれ圧勝。
桐蔭の94得点。。。
各県のトップが集う関東大会、しかも準々決勝というレベルでこれだけの大差が付いてしまうとは。。。
新チームとしての始動時期の遅れなどものともしない底力と層の厚さ。
強すぎますね。
今年も関東地区は桐蔭を軸に動いていきそうな気配です。
そして、注目の一戦となった”早慶戦”は、17-17の同点から終了間際のPGで突き放した早稲田実の勝利。
最後のPGを決めたのはCTB守屋大誠選手。
そしてその父・泰宏氏は早稲田大のスタンドオフとして1990年代初頭に活躍した選手。
泰宏氏と言えば、忘れもしない1990年の早明戦。
そう、早稲田が奇跡の同点劇を演じたあの一戦です。
”FB今泉清の激走トライ”が今も伝説として語り継がれていますが、トライ後のコンバージョンで、左隅の難しい角度から冷静にゴールを決め最終的に同点劇を演出したのは、この試合に3年生ながらスタンドオフとして出場していた泰宏氏でした。
今回、大誠選手の相手は慶應と父の時とは異なりますが、早稲田にとっては宿命のライバル校相手に奪った、
”終了間際のゴールキック”
記事を見た瞬間、あの時の感動が再び脳裏に蘇りました。
82年ぶりに花園へ出場した昨年度のチームでも1年生にしてレギュラーを張った守屋大誠選手。
これからが楽しみな選手ですね。
そして、東京大会王者の本郷も持ち前の鉄壁のディフェンスで、栃木王者の国学院栃木を7失点に抑え勝利。
東京勢2校が揃って準決勝へ進出する事となりました。
準決勝の相手は早実が流経大柏、本郷は桐蔭学園。
”関東の2強”相手に東京勢が存在感を示せるか⁉
目が離せない戦いとなりそうです。
尚、上位6校が選抜大会への出場権を得る同大会。
ベスト4に残った4校が、まずその出場権を獲得する事となりました。
早実にとっては花園に続く全国切符。
地道に続けてきた強化が実り、本当に強いチームになってきましたね。
準決勝
2019/2/16 | 早稲田実 | 0-52○ | 流経大柏 |
本郷 | 15-50○ | 桐蔭学園 |
昨冬の花園出場校が揃った準決勝。
東京勢2校が花園上位校に挑む構図となりましたが、共に完敗という結果に。
花園2回戦で敗れた因縁の相手との再戦となった早稲田実。
前半こそ0-14と競った展開を見せるも、フォワードの劣勢を跳ね返すことが出来ず力負け。
CTB守屋選手擁する自慢のバックス陣も、要所要所でのミスが続き無得点での終戦となりました。
一方の東京王者本郷は花園準優勝校相手に臆することなきチャレンジを見せました。
前半14分には自陣右端から逆サイドへの超ロングキックパスを通してトライを奪うなど、ダイナミックな展開で横綱へ真っ向勝負。
最終的に点差は開いたものの、やりたいラグビーを貫いたことで通用する部分、しない部分の課題が明確になったのではないでしょうか。
昨年のメンバーが多く残るなど個々のポテンシャルは高く、選抜大会での躍進にも期待したいですね。
とは言え、久々に2校がベスト4に進出し躍進を見せた東京勢でしたが、まだまだこの両校との差は存在するという他ありません。
東京大会でこの2校の前に涙を飲んだ国学院久我山、目黒学院など名門勢らと切磋琢磨し、東京のレベルをさらに上げていってほしいですね。
決勝、3位決定戦、5位決定戦
【5位決定戦】
2019/2/17 | 慶應義塾 | ○36-12 | 佐野日大 |
日川 | 7-54○ | 国学院栃木 |
”神奈川の強豪”慶應義塾と”花園常連校”国学院栃木が意地を見せそれぞれ快勝。
選抜大会への出場権を獲得しました。
【3位決定戦】
2019/2/17 | 早稲田実 | 12-43○ | 本郷 |
東京大会決勝に続く対決となった3位決定戦は本郷が快勝。
決勝時(27-20)より差が開く結果となりました。
しかし両校ともこの関東大会を通じて成長を遂げたことは間違いありません。
選抜大会でもこの両校の雄姿が見れることが非常に楽しみですね。
【決勝】
2019/2/17 | 流経大柏 | 12-47○ | 桐蔭学園 |
※桐蔭学園は3連覇
桐蔭学園強すぎる!
この一言です。
今年も”桐蔭学園1強”の構図は変わらず。。。
選抜出場校の成長に期待したいところですね。
選抜大会出場校
優勝 桐蔭学園(神奈川)
2位 流経大柏(千葉)
3位 本郷(東京)
4位 早稲田実(東京)
5位 慶應義塾(神奈川)
5位 国学院栃木(栃木)
開催県枠 浦和(埼玉)