22年ぶりの”リーグ戦2位”、
そして20年ぶりの大学選手権”ベスト8”。
近年、東海大、大東大、流経大の『BIG3』が君臨するリーグ戦グループへ、爽やかな旋風を巻き起こした昨季の『日本大学』。
坂本駿介主将を筆頭にチーム全員が”ハードワーク”するその姿は、日大ファンのみならず多くの観衆へ興奮と感動をもたらせてくれました。
年明けに発生した元部員にとる大麻所持事件、そして全世界を巻き込んだコロナ禍の活動自粛を乗り越え、ようやく新シーズンへ動き出しを始めたその矢先、
今度は元コーチによる部員への暴行事件が明るみに↓
記事を見る限り、その行為は指導を逸脱した刑事事件の類としか思えません。
大学として、部として、外部からはその責任を問う声が挙がるのは当然だと考えますが、忘れてはいけないのは、日々汗を流し努力を重ねている”選手たち”の存在。
彼らはあくまで被害者であり、批判や罰則を受ける対象ではありません。
このような時だからこそ選手たちへスポットを。
そこでこの記事では、公式インスタグラムで紹介されていた情報をもとに、今年日大へ挑戦する道を選択した”新入部員”を紹介したいと思います。
<新入生情報2021↓>
タップできる目次
2020年度新入部員一覧
PO | 氏名 | 出身校 | サイズ | 代表歴 |
---|---|---|---|---|
PR | 岡田承大 | 愛知 | 178/123 | |
PR | 上猶湧介 | 鹿児島工 | 184/127 | |
PR | 越後雄太 | 保善 | 174/115 | |
PR | 佐藤慧真 | 日大東北 | 175/105 | |
PR | 柳澤怜和 | 日大高 | 171.5/103 | |
PR | 林 真人 | 東京 | 171/98 | |
PR | 依藤和史 | 東海大福岡 | 166/93 | |
HO | 武藤 亮 | 都立東 | 160/88 | |
HO | 冨田大智 | 大分東明 | 165/95 | |
HO | 原口出帆 | 正智深谷 | 169/95 | |
HO | 森下集央 | 昌平 | 171/95 | |
LO | 岩佐夢人 | 正智深谷 | 182/101 | |
LO | 武藤幸太郎 | 秋田中央 | 181/93.4 | |
LO | 井草城ノ介 | 国学院 久我山 | 182/102 | |
LO | 中川正義 | 京都成章 | 183/97 | |
LO No.8 | 久保太雅 | 天理 | 180/96 | |
LO No.8 | 清田勇貴 | 東海大福岡 | 182/90 | |
FL | 井上風雅 | 東福岡 | 170/93 | 代表候補 |
FL | 木下虎一 | 創志学園 | 170/80 | |
FL | 高須 光 | 延岡星雲 | 166/77 | |
FL | 武 育也 | 国学院栃木 | 174/86 | |
FL | 上野颯太 | 仙台育英 | 173/78 | |
FL | 金 良拳 | 大阪朝鮮 | 178/85 | |
FL No.8 | 都間龍之介 | 目黒学院 | 175/75 | |
FL No.8 | 飯山尚暉 | 静岡聖光 学院 | 175/88 | |
FL No.8 | 川平拓輝 | 興国 | 175/85 | |
FL No.8 LO | 佐川奨茉 | 佐野日大 | 180/100 | |
FL WTB | 岡嶋 航 | 目黒学院 | 173/90 | |
SH | 前川李蘭 | 目黒学院 | 166/65 | |
SH | 齋藤史也 | 佐賀工 | 168/71 | |
SO | 大垰真弥 | 崇徳 | 168/80 | |
SO | 大橋昇真 | 同朋 | 179/93 | |
SO CTB | 戸高央太 | 大分東明 | 180/86 | |
SO FB | ワイサレ・ピエール | O'dea | 187/95 | |
CTB | 布施裕次朗 | 佐野日大 | 178/82 | |
CTB | 三良熙三郎 | 佐賀工 | 173/85 | |
CTB WTB | 梅村信吾 | 東京 | 175/78 | |
WTB | 千葉凌大 | 仙台育英 | 171/75 | |
FB WTB | 西尾陽太 | 札幌山の手 | 177/82 |
(情報元:日大ラグビー部公式インスタグラム)
今年は新たに39名が加入。
昨年の48名と比較すると人数は減少したものの、昨年、今年と部に対する逆風が吹く中で入部を決めた彼らの決断に、まずは敬意を表したいと思います。
今年のメンバーをポジション別で見てみると、
フォワード登録:28名
バックス登録 :11名
と、フォワードの選手が実に7割を越える陣容。
近年はフォワード、とりわけスクラムの重点強化で躍進を遂げてきた日大の本気度が、ここからも伝わってきます。
注目はこの選手たち!
次に、個人的な注目選手を見ていきたいと思います。
FL 井上風雅選手(東福岡)
注目選手の筆頭格と言えばやはりこの選手。
”西の横綱”東福岡で2年生からレギュラーを張り、今年度ルーキーの中で唯一の『高校日本代表候補』井上風雅選手。
井上風雅(いのうえふうが)FL
東福岡(福岡)#高校ラグビー#大学ラグビー pic.twitter.com/WHkMu6ccSb— KOCKY.RUGBY (@toyrugby) January 6, 2020
170cmとサイズは小柄ながら、強靱な足腰、破壊的な突破力、相手を無力化するハンドオフを武器に、次々と相手守備網を突き破ってきた世代屈指のペネトレーター。
昨冬の花園で最も”印象に残ったプレーヤー”を聞かれれば、私は真っ先にこの選手の名を挙げます。
昨季天理大で主将を務めた岡山仙治選手(現/クボタ)、慶大前副将の川合秀和選手、今年度の同志社大主将・中尾泰星選手など、『小兵フランカー』と呼ばれる存在は数多くいれど、高校時代の衝撃度で言えば間違いなくナンバーワンの素材。
全国の『小兵戦士』に夢と希望を与える存在として、日大での更なる飛躍に期待したいと思います。
CTB 三良熙三郎選手(佐賀工)
続いては昨年度、佐賀工の主将としてチームを牽引した三良熙三郎選手。
立川剛士氏(元日本代表)を父に持つSO立川大輝選手(関東学院大1年)と共に、2年生から名門の主力として花園で活躍。
昨冬花園でも立川選手とのパス交換から多くのチャンスを演出し、自らも3トライを記録するなど、花園Bシード佐賀工の”エース”として相手の脅威であり続けました。
強靱なフィジカル、絶妙なアングルチェンジのみならず、密集内でもチームのために身体を張れる姿はまさに”闘将”。
齊藤芳徳選手(4年・大分東明)、フレイザー・クワーク選手(3年・開志国際)らが主力として君臨するセンターのポジションですが、将来的にはチームの”核”となり得る存在と見ています。
SH 前川李蘭選手(目黒学院)
3人目は東京の名門・目黒学院で、1年生から”9番”のポジションを託された前川李蘭選手。
#ラグビーを止めるな2020プロジェクトへアップされた投稿動画からも、この選手の能力の高さを見て取ることが出来ます。
目黒学院⇨日本大学
高校の時しかなくてすみません。#ラグビーを止めるな2020 pic.twitter.com/XoN8oZ0DM9— 前川李蘭 (@0501_mr) May 15, 2020
圧巻のラン能力、高い精度のキック、そして優れた状況把握能力など、ハーフに求められるスキルを高いレベルで持ち合わせる俊英。
日大の”9番”には、2年生から主力として活躍する村上陽平選手(4年・仙台育英)が君臨し、1学年上には昨年度の『高校日本代表候補』にも選ばれた万能バックス・石川留依選手(2年・美里)も在籍。
さらに、名門・佐賀工で正スクラムハーフを務めた齋藤史也選手も同級生として加入するなど、今年は激戦区の様相を呈してきています。
果たして前川選手が持ち前のポテンシャルを発揮し、1年目からAチームへ絡む活躍を見せることが出来るか。
非常に楽しみです。
そして今年は彼ら以外にも、
”7人制ラグビー”の神様と評された世界的名手(ワイサレ・セレビ氏/(元フィジー代表)を父に持つワイサレ・ピエール選手(O'dea)、
184cm/127kgという規格外のサイズを誇り、”ビッグマン”として『2018年度第4回TIDキャンプ』にも選出されたPR上猶湧介選手(鹿児島工)、
花園Bシード東京高校の”3番”として花園でも活躍したPR林 真人選手(東京)、
肉弾戦に絶対の強さを誇り、大分東明のフォワードの中心として九州選抜にも選出されたHO冨田大智選手、
伝統校・秋田工を破り2年連続で花園出場を果たした秋田中央”不動の5番”LO武藤幸太郎選手、
今年の岡山県新人大会決勝で王者・玉島を破り優勝を果たすなど、新興勢力として進化を続ける創志学園の主将・FL木下虎一選手、
名門・国学院栃木の副将として”看板フォワード”を支えたFL武 育也選手、
スピードとフィジカルを武器に、国栃へ真っ向勝負を挑んだ佐野日大の大黒柱・LO/No.8佐川奨茉選手、
抜群の突破力と精度の高いキックで、”エース”として大分東明を初の花園へ導いたCTB戸高央太選手ら、
日大が信条とする”ハードワーク”を厭わない名手がズラリと顔を揃えます。
創部100周年へ
今年創部から92年目を数える日本大学ラグビー部。
以下は一昨年の創部90周年(2018年度)の年に出された『創部100周年へ向けた宣言』です。
名ばかりの伝統校。
関東大学ラグビーリーグ戦創設チームであり
かつては関東大学ラグビーリーグ戦優勝3回、
大学選手権ではベスト4に4回進出した日本大学ラグビー部。いつから大学選手権出場ばかりか
1部リーグ下位や入れ替え戦を行き来するような
弱小チームに成り下がってしまったのか。今年の創立90周年を、ヘラヘラと祝っている場合じゃない。
"STRONG AGAIN."
次の10年、100周年に向けてもう一度
ヘラクレス軍団と呼ばれた強豪チームの復活をここに宣言する。そして未だかつてなし得ていない大学選手権優勝を目指し、
90周年の日本大学ラグビー部は加速する。(出典:日本大学ラグビー部HP)
自らを『名ばかりの伝統校』と捉え、復活に向けて前だけを見据える。
部としての矜恃と覚悟が日大にはあると信じています。
その主役はあくまでも選手達。
どんな逆風の中でも見据えるのは、
35年ぶりのリーグ戦王者、
そして23年ぶりの大学選手権ベスト4。
昨年を上回る『ヘラクレス旋風』に期待しましょう!
終わりに
本日(8月5日)日大ラグビー部HPへ当暴行事件に対する声明が発表されました。
当部元コーチの一部報道についてfa-external-link
これで騒動が沈静化へ向かうかどうかは、現時点では正直分かりません。
ただ冒頭にも書いたように、事の経緯はどうあれ、責任を問われるべきは選手たちではありません。
名誉挽回のために選手たちが出来ることは、築き上げてきたプレーと結束をピッチ上で示し、試合で結果を残すこと。
その機会を奪うような判断と批判だけは絶対に避けてほしい。
そう切に願っています。
<新入生情報2021↓>
<卒業生進路と新チーム予想2021↓>