2020年度対抗戦Aグループ第6節の注目試合、早稲田対慶應義塾(早慶戦)のゲームレビューをお伝えしていきます。

第6節試合結果

11月22日
13:00帝京大23-39〇明大秩父宮
11月23日
14:00慶大11-22〇早大秩父宮
11:30立教大21-23〇日体大AGF
14:00青学大15-80〇筑波大AGF

早稲田大 〇22-11 慶應義塾大

スターティングメンバー

※太字は前節からの変更メンバー(ポジション変更含む)

慶應義塾大学

1 PR
竹内 寛④
(慶應義塾)

2 HO
原田 衛③
(桐蔭学園)

3 PR
大山祥平④
(慶應義塾)

4 LO
相部開哉④
(慶應義塾)

5 LO
北村裕輝④
(慶應義塾)

6 FL
今野勇久②
(桐蔭学園)

8 No.8
髙武俊輔②
(尾道)

7 FL
山本凱③
(慶應義塾)

9 SH
上村龍舞④
(国学院栃木)

12 CTB
鬼木 崇②
(修猷館)

10 SO
中楠一期②
(国学院
久我山)

13 CTB
三木亮弥④
(京都成章)

11 WTB
佐々木隼②
(桐蔭学園)

15 FB
山田 響①
(報徳学園)

14 WTB
沖 洸成④
(尾道)

<リザーブ>

16田中慶伸 3 171/100 桐蔭学園高校
17松岡勇樹 2 176/105 慶應義塾高校
18岡 広将 1 173/101 桐蔭学園高校
19福澤慎太郎 1 168/92 本郷高校
20池田勇希 4 182/105 熊谷高校
21安藤 快 4 168/70 慶應義塾志木高校
22イサコ・エノサ F 2 183/98 King's College
23鎌形正汰 4 172/83 慶應義塾高校

早稲田大学

1 PR
久保 優④
(筑紫)

2 HO
宮武海人③
(早大学院)

3 PR
小林賢太③
(東福岡)

4 LO
大﨑哲徳③
(國學院
久我山)

5 LO
下川甲嗣④
(修猷館)

6 FL
相良昌彦②
(早稲田実)

8 No.8
丸尾崇真④
(早稲田実)

7 FL
村田陣悟①
(京都成章)

9 SH
小西泰聖②
(桐蔭学園)

12 CTB
平井亮佑④
(修猷館)

10 SO
吉村 紘②
(東福岡)

13 CTB
長田智希③
(東海大仰星)

11 WTB
古賀由教④
(東福岡)

15 FB
河瀬諒介③
(東海大仰星)

14 WTB
槇 瑛人②
(國學院
久我山)

<リザーブ>

16川﨑太雅 1 171/105 東福岡高校
17横山太一 3 177/107 國學院大學久我山高校
18阿部対我 3 180/113 早稲田実業学校
19桑田陽介 3 185/102 明和高校
20田中智幸 3 175/91 早稲田大学高等学院
21河村謙尚 3 171/76 常翔学園高校
22伊藤大祐 1 179/85 桐蔭学園高校
23南 徹哉 4 177/82 修猷館高校

<関東ラグビー協会の公式スタッツはこちら>

ハイライト

ゲームレビュー

研ぎ澄まされた闘志と集中力。

骨と骨が軋み合う音。

そしてピッチへ響き渡る歓喜の雄たけび。

今年97回目を数える伝統の一戦は、”声援禁止”というコロナ禍での特別観戦ルールも手伝い、例年になく重厚な雰囲気に包まれた試合でした。

 

「アタックでの仕掛けとディフェンスでの我慢」

試合後、⑧丸尾崇真主将(4年・早稲田実)が勝因をそう語ったように、この日の早稲田は慶應に対して決して受けに回らず、80分間身体を当て、タックルで前に出続けた姿が非常に印象的でした。

最終的な点差は11点と僅差だったものの、ディフェンスで崩された場面は殆どなく、内容としては快勝と言っていい試合だったように感じます。

個々で見ても、

前へ出続けた⑤下川甲嗣選手(4年・修猷館)、⑦村田陣悟選手(1年・京都成章)のボールキャリー、

高速展開を生んだ⑨小西泰聖選手(2年・桐蔭学園)のパスワークと絶妙なボックスキック、

必要な時に必要な場所にいる⑬長田智希選手(3年・東海大仰星)の気の利いたサポートプレー、

前半終了間際のピンチを救った⑧丸尾主将のジャッカル、

そして、”黄金ルーキー”㉒伊藤大祐選手(1年・桐蔭学園)の対抗戦デビューなど、挙げていけばキリがないほど見どころは満載。

ただその中で、個人的に最も印象に残ったのは、前半18分自らのキックチャージから③小林賢太選手(3年・東福岡)が持ち込んだ後に見せたこの”ダウンボール”↓

倒された後に素早く身体を反転し、ジャッカルへ来る相手からできるだけ遠くへボールを置く。

2人目のサポートが遅れる中、このプレーでマイボールをしっかりとキープし、その流れから最後⑩吉村紘選手(2年・東福岡)の逆転トライが生まれたことを考えると、この一連のプレーは勝敗を語る上で非常に重要な意味を持っていたと感じます。

例え1年生から活躍する選手であっても例外なく、全ての選手に共通してみられる”基本プレーの徹底”。

昨季11年ぶりに大学王者へ返り咲いた早稲田の強さは、こういうところへ表れているのではないでしょうか。

 

そしてこの日最も胸が熱くなったのは、後半35分に交代を告げられた①久保優選手(4年・筑紫)が、代わってピッチへ入る⑰横山太一選手(3年・国学院久我山)へ語りかけたこのシーン↓

何を話したのかは定かではありませんが、この表情からだけでも2人の信頼関係や、”ラスト5分”を後輩へ託した久保選手の想いが存分に伝わってきます。

さぁ次節はいよいよ”早明戦”。

優勝を懸けた大一番で再びこの結束を見せつけ、対抗戦1位の座を掴み取ってくれることを期待したいと思います。

 

そして敗れた慶應

結果は臨んだものではなかったとはいえ、明治戦に続きこの試合でも魅せたディフェンスの奮闘は見事でした。

背番号やポジション、身体の大小も関係なく、全員が低く、全員が強く、相手へ深く突き刺さる”タックル”。

この早慶戦へ懸けてきた選手たち一人一人の”想い”が強く感じられます。

しかし、勝負という観点からみると、やはり守るだけでは勝つことは難しい。

中楠一期選手(2年・国学院久我山)のゲームメイク、⑦山本凱選手(3年・慶應義塾)、⑧髙武俊輔選手(2年・尾道)のボールキャリーなどでチャンスは演出するも、なかなか最後トライに結びつかない。

ゴール前で豊富な攻撃オプションを持つ早稲田に対して、ドライビングモールが封じられた時に手づまりとなった慶應。

その得点力の差がこの試合の勝敗を分けたように感じます。

ただ、慶應はまだ栗原監督体制になって2年目、且つチームの半数以上を3年生以下が占める若いチーム。

全ての選手が”魂のタックル”を体現し、大学トップクラスのディフェンスを有すチームなだけに、ここからシーズン終盤へ向けてチームとしての連携が深まり、自分たちの強みとする武器、チャンスで取り切るパターンが明確になってくれば、さらに恐いチームになってくる。

敗戦から立ち上がり、相手が強者であればあるほど鋭い牙を剥くのが慶應。

この試合で出た課題を見つめなおし、必勝態勢で次節帝京戦へ挑んでほしいと思います。

 

私的MOM

村田陣悟選手(早大1年・京都成章)

この試合のキーワード”仕掛け”を体現。ペネトレーターとして効果的なキャリーを繰り返した。

今野勇久選手(慶大2年・桐蔭学園)

熱さと冷静さを併せ持つ”ハードワーカー”。その貢献度は⑦山本凱選手にも匹敵する。何より表情がいい。

最新順位表(第6節終了時点)

順位チーム勝点勝数負数得点失点点差
1早大246028095185
2明大205123978161
3帝京1642432118314
4慶大164227369204
5筑波123321817840
6日体82470289-219
7立大00662378-316
8青学00672441-369

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