大学選手権準決勝での衝撃の敗戦。

絶対王者の陥落は平成の終わりと共に9年間続いてきた”帝京時代”という一つの歴史に終止符が打たれた瞬間でした。

”王座奪還”は過去の歴史が物語るように、時が流れれば流れるほど困難を極めるミッション。

早期の復活が求められます。

打ち砕かれたプライドを取り戻し、復権へ向け再スタートを切る今期。

試練へ挑む2019年度の新体制が発表されました。

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(最新)【新入生2021】帝京大学ラグビー部 新入部員と注目選手

帝京大学ラグビー部

2019年度新体制

監督岩出雅之
主将本郷泰司CTB4年京都成章
副将佐藤羅雲LO4年つるぎ

主将に選ばれたのは本郷泰司選手。

そして副将には佐藤羅雲(らも)選手が選ばれました。

本郷選手は高校ラグビー界の強豪京都成章高校出身で、

高校2年生:U17日本代表

高校3年生:高校日本代表

大学1年生:ジュニア・ジャパン

と見事なまでに各年代の日本代表を歴任してきた逸材。

180cm、93kgという恵まれた体躯を持ちながら、痛いプレーをいとわない献身性としなやかなランで京都成章で2年生時からレギュラーを張り、プレースキッカーとしても活躍した選手。

帝京入学後も1年生にして慶應義塾戦で対抗戦デビューを果たすと、2年生以降は主力に定着。

大学選手権8連覇、9連覇へ貢献をしてきました。

そのルートはまさにラグビーエリート。

王者帝京にあっても王道を行く選手とも言えます。

 

苦難を知る新主将

順風満帆に見える本郷選手。

しかし高校時代には苦難も経験をしています。

それは主将へ就任した高校3年時(2015年度)。

その前年、京都成章は全国大会京都予選を勝ち抜きBシードとして花園へ出場。

2回戦(○62-0 新潟工)、3回戦(○29-7 春日丘)、準々決勝(○22-12 報徳学園)を勝ち抜きベスト4へ進出するなど、チームとして5年ぶりの3位へ躍進。

本郷選手も2年生ながら全試合に出場し主力として大きく貢献しました。

そして前年越えを期待され主将へ就任した翌年。

京都新人大会、春の高校総体京都大会を制し、府内では公式戦負けなしで挑んだ全国大会京都府予選決勝。

相手は宿命のライバル伏見工(現:京都工学院)。

優勝候補筆頭として臨んだ成章でしたが、”打倒成章”に燃える伏見工執念のディフェンスに屈し5-7とまさかの敗戦。

新人大会では22-8で快勝、そして高校総体決勝では59-5と圧倒した相手からの大逆襲劇。

高校ラグビーの醍醐味がつまっていると言えばその通りですが、成章フィフティーンにとってはあまりに残酷な結果です。

その試合はこちら👇

ノーサイドの瞬間立ち尽くすCTB本郷選手。

その姿には胸に迫るものがあります。

(※ちなみにこの時の伏見工には現在帝京で活躍するSO奥村翔選手(3年)とWTB木村朋也選手(3年)も主力として出場をしていました。)

花園の夢破れ失意に沈む成章。

しかし、この年の花園は95回目を迎える”記念大会”としての位置づけ。

特別出場枠として設置された「過去10年ベスト4に進出した高校が所属するブロックから選ばれる”記念枠”」の基準を満たしていた成章は奇跡の復活出場を果たします。※記念枠は他に東海大相模、広島工、筑紫が選出

”1度死んだ身”として”笑顔とチャレンジ”を合言葉としたそのチームは花園で躍動。

1回戦(○34-7日本航空石川)、2回戦(○71-12朝明)を快勝し、3回戦ではシード校国学院栃木を撃破(○17-15)し見事シードバックを達成。

他の記念枠校が1回戦(東海大相模、広島工)、2回戦(筑紫)で姿を消していく中、ベスト8へ進出する快挙を成し遂げました。(※準々決勝で優勝した東海大仰星に10-17で敗戦)

一度は目標を失い失意に沈んだメンバーを主将として再度奮い立たせ、全国8強までチームをまとめ上げた本郷選手。

個人としても屈辱、喪失感など様々な思いはあったと思いますが、それらを心に封じ込め、チームの先頭に立つということは並の人間にできる事ではありません。

連覇が途切れ再出発を余儀なくされる新年度の帝京にあって、”王者”という高みへ向けメンバーを牽引できる人間は、本郷選手をおいて他にはいないと言えるのではないでしょうか。

9年間積み重ねてきた”プライド”を打ち砕かれた帝京大学。

復権へ勝負の年となる今期。

本郷選手のリーダーシップに注目しましょう!

副将は意外な選出

意外だったのは副将となった佐藤選手。

正直名前を聞くのは初めてでした。

帝京ラグビー部HPで過去の出場歴を調べてもAチームでの公式戦出場はなし。

しかし、つるぎ高校時代は高校2年でU17日本代表、高校日本代表候補、高校3年でも高校日本代表候補に選ばれている逸材で、1学年上の帝京大前主将秋山大地選手と共にチームを引っ張り、主将を務めた経験を持っています。

大学入学後3年間の経緯は定かではありませんが、公式戦出場経験のない選手が副将へ選出されること自体帝京にとっては極めてまれな人選と言えます。

近年で見ても尾崎晟也選手(2017年度)、2018年度竹山晃暉選手、ブロディ・マクカラン選手(2018年度)ら下級生時代から主力として試合に出続けていた選手ばかり。

ただ逆に考えると、佐藤選手の副将就任は”だからこそ”の選出なのかもしれません。

再出発を求められるチームとしては、もちろん今まで通りのやり方をしていてもそれを越える事はできません。

停滞を打破するためには”変化”が必要です。

これまでの慣例を捨ててチーム一体となって王座奪還を目指す。

そのためには下部チームも含めた意思統一と底上げが必要不可欠です。

佐藤選手の選出は、持ち前のリーダーシップだけでなく、下部チームでも決して腐らず真摯に練習へ取組む姿勢、周りの選手への気遣いなど、日常の生活にこそ表れる”人間性”が、部員・スタッフに評価されている事の証という事なのでしょう。

副将として本郷選手を支える役割と共にAチームでの活躍も含めて応援していきたいと思います。

 

就任コメント

それでは幹部へ選出された二人のコメントを紹介します。

 

主将 本郷 泰司(4年 教育学部)

1年間を通して昨シーズン負けた悔しさを忘れることなくチャレンジャーとして日々挑戦し続けたいと思います。
そして今シーズンは全員が笑顔で終われるよう、努力を怠らず自分自身にも仲間にも厳しく、一瞬一瞬を大切に成長し続けるチームを作っていきたいと思います。

副将 佐藤 羅雲(4年 医療技術学部)

バイスキャプテンとして何事にも妥協せず全力で取り組んでいきます。
去年の悔しさを忘れず最後までやり抜ける力を持ったチームを築き、今シーズンは大学選手権で優勝し全員が笑顔で終えられるよう日々努力して参ります。

(出典元:帝京大学ラグビー部公式Facebookより)

 

春季大会スケジュール

<Aグループ>

4月28日 帝京 - 流通経済 帝京大G
5月12日 帝京 - 大東文化 帝京大G
5月19日 帝京 - 慶應義塾 帝京大G
5月26日 帝京 - 東海 中銀スタ
6月16日 帝京 - 早稲田 帝京大G

昨年の覇者明治との対戦が見られないのは残念ですが、覇権奪回を目指す帝京にとっては全て負けられない相手です。

特に主力の多くを占めていた4年生が抜け、立て直しを余儀なくされるフォワード陣のメンバー構成に注目したいと思います。

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