覇権から遠ざかること2年。

王座奪還へ挑戦を続ける”元・絶対王者”帝京大学

対抗戦3位として臨んだ昨季の選手権では、初戦となった3回戦で流経大に金星を献上する形での終戦。

自陣インゴールを次々に陥れられるその姿に、学生相手に最強を誇ったかつての面影はなく、復権への道はやはり長く険しい、その事実を改めて感じさせられる内容でした。

1年生の頃からチームを支えてきた『黄金世代』も今年が最終年。

王座返り咲きへ待ったなしの状況が続きます。

復活を期すシーズンへ。

今年新たに加入したメンバーを見ていきたいと思います。

<新入生情報2021↓>

【新入生2021】帝京大学ラグビー部 新入部員と注目選手

2020年度新入部員一覧

PO氏名出身校サイズ代表歴
PR上杉太郎熊本西176/118
PR黒岩 優高鍋180/110
PR新里秀斗佐賀工177/108
PR西野拓真京都成章186/113代表候補
PR田雑 瞬佐賀工183/105
PR
HO
江良 颯大阪桐蔭170/106高校代表
PR
HO
津村大志御所実172/103代表候補
PR
HO
岡 大翔京都成章190/107
LO藤井慎太郎日本航空
石川
185/90
LO
FL
No.8
シミオネ・
シュミット
Saint
Ignatius's

195/112
LO
FL
No.8

尹 礼温

大阪朝鮮

184/99
U20候補
7’sアカデミ
FL
No.8
奥井章仁大阪桐蔭178/104高校代表
FL
No.8
ダアンジャロ・
アスイ
Aorere
College
190/98
FL
No.8
延原秀飛京都成章182/94高校代表
FL
No.8
崔 然武東京朝鮮177/90
No.8
HO
佐藤颯亮川越東177/100
SH金 成泰東京朝鮮172/70
SH
SO
鈴木大賀流経大柏175/80
SO井上陽公京都工学院174/74代表候補
SO
CTB
戒田慶都新田178/86代表候補
SO
CTB
澤井育実京都工学院179/87
SO
CTB
山地拓真石神井175/73
CTB池上玲央筑紫170/82
CTB
WTB
FB

高本とむ

東福岡

182/82
高校代表
U17代表
7’sアカデミ
WTB井出琉斗専大松戸180/85
WTB志氣陸王東福岡171/72代表候補
7’sアカデミ
WTB埜村正章常翔学園169/76
WTB
FB
辺 純鍾東京朝鮮180/76
FB
SO
山口泰輝長崎北陽台176/83高校代表
7’sアカデミ
FB
SO
中尾勇太熊本西178/87

(情報元:帝京大学ラグビー部HP)

留学生2人を含む総勢30名が加入することになりました。

代表クラスは高校日本代表5名を含む11名。

この人数は、”タレント軍団”明治大(代表6名/候補13名)に次ぐ全体2位の多さ。

精鋭揃いだった昨年度の新入部員と比較しても、決して引けを取らない豪華メンバーが、今年も顔を揃えたと言えそうです。

注目はこの選手たち!

日本一を知る2人の”怪物”

まず真っ先に名前が挙がるのは、やはりこの2人でしょう。

大阪桐蔭創部初となる全国制覇を、2年生ながら主力として経験したNo.8奥井章仁主将とHO江良颯選手の”怪物コンビ”。

まずは奥井選手。

2019年度を彩った才能の中で、”バックスの代表格”が花園王者・桐蔭学園の伊藤大祐主将(桐蔭学園-早大)なら、”フォワードの代表格”は間違いなくこの選手。

『超高校級』と謳われた布巻峻介選手(東福岡-早大-パナソニック&サンウルブズ)、箸本龍雅選手(東福岡-明大)に匹敵する衝撃度。

圧倒的なパワーとフィジカル、そして卓越したランスキルは、どれをとっても一級品。

さらに、猛者の集う大阪桐蔭、そして高校日本代表でも主将を託されるほどの傑出したリーダーシップ。

総合力で群を抜くこの選手の加入を熱望した大学は多かったはず。

これにより大阪桐蔭からは、今年度の主将を務めるFL松本健留選手(4年)、FL上山黎哉選手(3年)、CTB松山千大選手(2年)と、4年連続でキャプテン経験者が加入。

優れたリーダーを多く輩出し、人材育成にも定評のある帝京で、その才能がどこまで進化していくのか。

その動向に注目が集まります。

また、気になるポジションについては、大学での登録も第3列(FL/No.8)となっていますが、将来の日本代表を見据えるなら個人的にはフッカーでのプレーも見てみたいところ。

 

ただ、そのフッカーのポジションにはこの選手が存在します。

『超高校級』奥井選手と双璧をなす”フィジカルモンスター”江良颯選手。

2年生で日本一を経験し、その後奥井選手と共に飛び級で高校日本代表へ選出。

逸材の揃うこの世代で、2年生から高校ジャパンへ選ばれたメンバーはわずか4人。※他にCTBフィナウ・ポロメア選手(東海大福岡)、FB山田響選手(報徳学園)

その内のフォワード2人が揃って帝京への進学を志すあたり、『帝京ブランド』はまだまだ健在です。

1年越しに再び同じチームへ集った松山選手、奥井選手、江良選手の3人。

またこの共演が見られるかと思うと、ファンにとっては堪らないですね。

”魅惑”のバックスリー

続いてはバックス陣。

ここではやはりこの3人が格別な存在感を放ちます。

 

まずは長崎北陽台の”絶対的エース”山口泰輝選手。

大きなストライドから繰り出すステップ、角度を変えても落ちないスピード、強靱なフィジカル。

ランナーとしての能力、そしてそのスケールの大きさは世代随一。

将来間違いなく大物になりそうな雰囲気が漂います。

願わくば、岡﨑颯馬選手(長崎北陽台-早大)との”盟友コンビ”を早稲田で見たかった。

そんな思いにさせてくれる選手です。

 

そして続くのは、『タレントの宝庫』東福岡のスピードスター・高本とむ選手と志氣陸王選手。

高本選手は花園で個人合計15トライを奪うなど、押しも押されぬヒガシのエースとして活躍。

一方の志氣選手も、屈指の部員数を誇る同校で1年生の頃から花園へ出場した逸材。

最終学年では、試合途中から流れを変える”インパクトプレーヤー”としての起用がメインでしたが、その能力に疑いの余地はありません。

2年生の時に出場した花園準決勝という大舞台でこの活躍。

彼のような才能がベンチに控える東福岡。

その選手層の厚さには驚かされるばかりです。

 

高本選手、志氣選手が両翼、そして山口選手が最後尾に君臨する布陣は魅力十分。

尾崎泰雅選手、木村朋也選手、奥村翔選手(共に4年)の”伏見工トリオ”に匹敵する破壊力と将来性を感じます。

同時にグラウンドに立つことになれば、見ている人にワクワク感を与えてくれる、”魅惑”のバックスリーが形成されることになるでしょう。

 

そして、これまで挙げた選手以外にも多くの逸材が揃います。

2年生で主将に就任しチームを10年ぶりの花園出場へ導いた『U17日本代表』の戒田慶都選手(新田)、フォワードとして高校生で唯一『U20日本代表候補』に選出された尹礼温選手(大阪朝鮮)、『史上最大』と評された京都成章フォワードの中心選手・西野拓真選手と延原秀飛選手など、注目選手を挙げていけばキリがありません。

彼らが同じ目標のもとで切磋琢磨しお互いに高め合える環境自体、他校にとっては脅威そのもの。

このハイレベルな部内競争を制し、いち早く”真紅のジャージ”に袖を通す選手は誰か。

彼らがグラウンドで躍動する姿を楽しみにしたいと思います。

待たれる『復権』

前述の”伏見工トリオ”に加え、SO北村将大選手(御所実)、CTBニコラス・マッカラン選手ら、1年生の時に主力として9連覇を経験した”黄金世代”も今年ついに最後の年。

覇権奪回までには明治が22年、早稲田が11年の時を要したように、頂点を知るメンバーが去り、王座から遠ざかる期間が長くなるほど、復権への道はますます険しいものになっていきます。

しかし、決してネガティブな要素だけではありません。

連覇を支えたメンバーが抜け、復活への最重要課題であったフォワード陣は、昨年多くの下級生がAチームの試合を経験。

さらにバックス陣には昨年、今年と世代を代表する才能が続々集結。

そこに”黄金世代”の『勝者のメンタリティー』が加われば、今年の帝京は間違いなく強い。

絶対王者『早期復権』へ。

今年は”帝京黄金世代”の奮闘から目が離せません。

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