2020年度ラグビー大学選手権準々決勝下記2試合の試合レビューをお伝えしていきます。
・天理大vs流通経済大(12/22追記)
<準々決勝レビュー①↓>
【準々決勝レビュー①】ラグビー大学選手権2020 早大vs慶大/帝京vs東海
タップできる目次
準々決勝試合結果
12/19 | ||||
11:35 | 早大 | 〇29-14 | 慶大 | 秩父宮 |
11:35 | 東海大 | 8-14〇 | 帝京大 | 花園 |
14:00 | 明大 | 〇34-7 | 日大 | 秩父宮 |
14:00 | 天理大 | 〇78-17 | 流経大 | 花園 |
明治大 〇34-7 日本大
スターティングメンバー
※太字は前試合からの変更メンバー(ポジション変更含む)
明治大学
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
日本大学
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
※日本ラグビー協会公式スタッツはこちら
試合レビュー
これがトーナメント初戦の難しさなのか。
この日の明治は”気迫”、”厳しさ”、”圧力”全ての部分でどこか大人しく、早稲田を圧倒した早明戦の時とは別のチームのように映りました。
対抗戦のチームとは異なり、留学生を前面に押し出してくる相手への戸惑いもあったのかもしれません。
ただ、日大相手に最も警戒すべきポイントは、
・ゴール前でのラインアウトモールを封じること
・最大の得点パターンである⑭ナサニエル・トゥポウ選手(2年)への効果的なパス供給を遮断すること
この2点。
その意味でも、⑧ハラシリ選手、⑬クワーク選手ら勢いに乗せると厄介な”キーマン”を中盤でしっかりと封じ、⑭トゥポウ選手が走るシーンを殆ど作らせなかったラインディフェンス、そして、再三ゴール前での機会を作られたにも関わらず、被トライをわずか1本に抑え込んだラインアウトのディフェンスは圧巻でした。
「試合の入りで相手に『イケる』と思わせてしまった。」
「最後まで明治のラグビーをできなかった。」
試合後、⑧箸本龍雅主将(4年・東福岡)はこう振り返りましたが、ペースを掴めない中でも相手の強みをしっかりと封じ、最後は自分たちのプライドである”スクラム”で勝負を決めてくる辺り、やはり並のチームではありません。
”驕り”、“油断”とは無縁のリーダーが率いる明治。
この苦戦を経て、さらに強いチームになってくることでしょう。
これで準決勝進出は4年連続。
今年も早明揃い踏みの”1月2日”はたまらない日になりそうです。
そして日大。
最後は点差が開いたものの、
獲得率100%を誇ったラインアウト、
⑬フレイザー・クワーク選手(4年・開志国際)の気持ちの籠もったジャッカル、
④趙 誠悠選手(3年・大阪朝鮮)、⑧シオネ・ハラシリ選手(3年・目黒学院)の前へ出るタックルなど、
高い”規律”と”集中力”を80分間示し続けた戦いぶりは見事でした。
前半の終盤や後半立ち上がりの絶好機をものに出来ず、最後は”得点力”の差を見せつけられる結果になりましたが、リーグ戦勢が次々と姿を消していく中で、対抗戦王者相手に後半20分まで12点差。
これは十分評価されていい内容ではないでしょうか。
試合後、
試合に出られなかった部員へ頭を下げるメンバー。
テレビ画面に映された②藤村琉士主将は、涙を流し、「ごめん」と謝罪の言葉を口にしたように見えました。
ただ、今年の日大はコロナ禍に加え、度重なる不祥事にも見舞われたシーズン。
その厳しい時期にも常に先頭へ立ち、2,3年生中心の若いチームをこの位置まで引き上げてきたリーダーシップ、そして最後まで愚直に身体を張り続けたその姿勢は、称賛こそすれ、決して否定されるものではありません。
最後まで戦い抜いたメンバーを温かく迎える彼らがいる限り、日大の逆襲はこれからも続いていく。
どうか胸を張って、次のステージへと歩みを進めてほしいと思います。
<2021新チーム予想↓>
天理大 〇78-17 流通経済大
スターティングメンバー
※太字は各リーグ最終戦からの変更メンバー(ポジション変更含む)
天理大学
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
流通経済大学
1 PR | 2 HO | 3 PR |
4 LO | 5 LO |
|
6 FL | 8 No.8 | 7 FL |
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
※日本ラグビー協会公式スタッツはこちら
試合レビュー
まさに関西王者の”プライド”を示す圧勝劇。
天理はリーグ優勝を決めた同志社戦のようにこの試合でも前半立ち上がりからエンジン全開。
スクラム、ブレイクダウン、タックルと全てのコンタクト局面で流経大を圧倒しました。
中でも目を引いたのは、”天理のお家芸”フラットライン。
この試合”⑩番”へ復帰した松永拓郎選手(4年・大産大附)から繰り出されるフラットなパスへ、深い位置からドンドン走り込んでくるアタックは破壊力抜群。
次々と流経の守備網を切り裂いていきました。
早くて長いパスを放れる⑩松永選手のスキルはもちろんのこと、そのパスへ緩急をつけて走り込む⑫市川敬太選手(4年・日新)、⑬シオサイア・フィフィタ選手(4年・日本航空石川)のレシーバーとしてのスキルもやはり非凡。
”4年生トリオ”のフロントスリーが織り成すこの仕掛けの鋭さと熟練度は、確実に大学トップクラスの位置にいるのではないでしょうか。
そして、この試合でも画面を通して何度も聞こえてきたのは、⑦松岡大和主将(4年・甲南)の”声”。
大差となったこの試合で最後まで精度と強度が失われなかったのは、あらゆる局面において声で味方を鼓舞し、雰囲気を引き締められるこのリーダーの存在が大きい。
この選手がピッチにいる限り、チームが沈むことはない。
見ているものにそう思わせるほど、松岡主将の存在は、今年の天理の大きな強みになっていると感じます。
これで天理は3年連続のベスト4進出。
次なる舞台は対抗戦勢が待ち受ける秩父宮での準決勝。
一昨年は明治、昨年は早稲田と、天理にとって”完全アウェイ”となる秩父宮での早明との決戦はまさに『鬼門』。
関西のプライドを一手に背負う”黒衣軍団”が、その鬼門の地で躍動する姿を楽しみにしたいと思います。
そして敗れた流経大にとっては、シーズンの最後が厳しい結果となってしまいました。
本来、流経大はボールを大きく動かし、アタックからリズムを作り上げていくチーム。
ただ、この試合ではその流れを掴む前に、怒濤の如く押し寄せる天理の大波に飲み込まれていったように映りました。
序盤で大量失点を許す展開は、今季唯一黒星を喫したリーグ第6節・東海大戦と同じ。
あの試合では大差で大味となった東海に対し、後半の猛攻で接戦へと持ち込むことが出来ましたが、一発勝負のトーナメント、さらに相手が高い規律と結束を誇る天理となれば、やはり勝つことは難しくなる。
この試合は全体的に身体がどこか重たそうに感じたように、リーグ戦からインターバルがなく、前週には筑波と激戦を繰り広げたチームは、心身共に疲労のピークにあったのかもしれない。
それでもこの結末は、見る者を魅了してきた今季の流経大のラストを飾るに決して相応しいものではない。
大敗に肩を落とすフィフティーンの姿を見て、そう感じずにはいられませんでした。
最後に⑦坂本侑翼主将。
華やかなプレーでチームを引っ張った昨年の積賢佑主将(現/クボタ)とはまた異なり、どんな時でも決して手を抜かずタックルへ入り続ける姿には何度も勇気をもらいました。
シーズンが深まるにつれ精悍になっていくその表情、そして、多くは語らずともその背中でチームを牽引する姿はリーダーの資質。
あなたの存在がなければ、今季のダイナミックな流経ラグビーは成り立たなかったと感じます。
まずは心身共に疲れた身体をゆっくりと癒やし、また新たなステージへと進んでいってほしいと思います。
コロナ禍とも戦い続けた1年間。
本当にお疲れ様でした。
最新組み合わせと準決勝日程
<最新組み合わせ表>
<準決勝日程>
12:20 | 早大 | 〇33-27 | 帝京大 |
14:45 | 明大 | 15ー41〇 | 天理大 |
<大会公式プログラム>
※今大会は会場での販売が行われず、電子版のみの販売となっています。
※内容:全出場校(14校)の写真名鑑・名簿、大会展望記事、注目選手紹介など
<新チーム予想↓>
<準決勝レビュー↓>