2020年度ラグビー大学選手権準々決勝2試合の試合レビューをお伝えしていきます。

対象試合
・早稲田大vs慶應義塾大
帝京大vs東海大(11/21追記)

準々決勝試合結果

12/19
11:35早大

〇29-14

慶大秩父宮
11:35東海大

8-14〇

帝京大花園
14:00明大

〇34-7

日大秩父宮
14:00天理大

〇78-17

流経大花園

早稲田大 〇29-14 慶應義塾大

スターティングメンバー

※太字は前試合からの変更メンバー(ポジション変更含む)

早稲田大学

1 PR
久保 優④
(筑紫)

2 HO
宮武海人③
(早大学院)

3 PR
小林賢太③
(東福岡)

4 LO
桑田陽介③
(明和)

5 LO
下川甲嗣④
(修猷館)

6 FL
相良昌彦②
(早稲田実)

8 No.8
丸尾崇真④
(早稲田実)

7 FL
村田陣悟①
(京都成章)

9 SH
小西泰聖②
(桐蔭学園)

12 CTB
伊藤大祐①
(桐蔭学園)

10 SO
吉村 紘②
(東福岡)

13 CTB
長田智希③
(東海大仰星)

11 WTB
古賀由教④
(東福岡)

15 FB
河瀬諒介③
(東海大仰星)

14 WTB
槇 瑛人②
(國學院
久我山)

慶應義塾大学

1 PR
竹内 寛④
(慶應義塾)

2 HO
原田 衛③
(桐蔭学園)

3 PR
大山祥平④
(慶應義塾)

4 LO
相部開哉④
(慶應義塾)

5 LO
北村裕輝④
(慶應義塾)

6 FL
今野勇久②
(桐蔭学園)

8 No.8
福澤慎太郎①
(本郷)

7 FL
山本凱③
(慶應義塾)

9 SH
上村龍舞④
(国学院栃木)

12 CTB
イサコ・
エノサ②
(King's
College)

10 SO
中楠一期②
(国学院
久我山)

13 CTB
三木亮弥④
(京都成章)

11 WTB
佐々木隼②
(桐蔭学園)

15 FB
山田 響①
(報徳学園)

14 WTB
沖 洸成④
(尾道)

※日本ラグビー協会公式スタッツはこちら

試合レビュー

・主将の先制トライ

・序盤で3トライを奪う猛攻

・相手の武器(ラインアウト、ドライビングモール)を完全に遮断

この展開は奇しくも明治が早明戦で見せたものと同じ。

”相手の強みを封じ、取るべき人がとる”

この試合運びができれば、相手がたとえ目下絶好調の慶應だとしても勝利は確実に見えてくる。

一発勝負の緊張感と闘いながらも、”立直し”が求められたこの試合は、”早稲田の修正力の高さ”を示すのに十分な内容だったように感じます。

もちろん、点差を縮められた後半には、ディフェンスでの規律の乱れやペナルティ、そしてラインアウトでのミスなど課題が見られたことも事実。

しかし、トーナメントでは勝って次へ反省出来ることが何よりも優先されること。

まずは、

”黄金ルーキー”⑫伊藤大祐選手(1年・桐蔭学園)の初トライが見れたこと、

連覇への”キーマン”⑭槇 瑛人選手(2年・国学院久我山)がポテンシャルを爆発させたこと、

何より、

再び⑧丸尾主将に闘うオーラが戻ってきたことを素直に喜ぶと共に、

準決勝進出は”3年連続”と、正月越えが当たり前と思える位置にまで早稲田が復活を遂げてきてくれたことに心から感謝をしたいと思います。

 

そして敗れた慶應

ラインアウトの獲得率”75%(12/16)”は決して壊滅的な数字ではないものの、失った4本全てが敵陣深く入ってのものだったように、チャンスや流れを左右する局面でミスを連発してはやはり勝つことは難しい。

帝京戦、京産大戦で猛威を奮った”ドライビングモール”。

この武器があまりに強力でそれが唯一無二となりすぎたが故に、封じられた時の精神的なダメージがあまりに大きかったような印象を受けます。

そして、何より痛かったのは前半15分の⑬三木亮弥選手(4年・京都成章)の負傷退場。

ディフェンスからリズムを作り上げるチームにとって、その先頭に立つべき選手が途中でいなくなってしまうことほど厳しいものはない。

ディフェンスラインの外側で鋭く間合いを詰められるこの選手が不在となったことにより、早稲田アタック陣にボールを持つ余裕が生まれ、ランナーの揃うバックスリー(⑪古賀⑭槇⑮河瀬)に効果的なパスが供給されていることは見ていても明らかでした。

それでも決して大崩れしなかった慶應のディフェンスは賞賛に値しますが、もしそのパスの供給を遮断出来る三木選手が最後までピッチに立っていればどうだったか。

勝負事に「~たら」「~れば」が禁物であることを頭では理解しながらも、引退が懸かった重要な一戦だっただけに、ベスト布陣同士の試合を最後まで見たかったという想いはどうしても残ります。

 

最後に、この1年間慶應を牽引してきた④相部主将。

最後の最後まで身体を張り続け、敗れてもなお真っ直ぐに前を向き勝者を称えるその姿は、”ルーツ校”慶應のリーダーとして相応しいものでした。

一般企業への就職のためトップレベルでのプレーはこれが最後となるとのことですが、逆転勝利を収めた明治戦、帝京戦など数多くの感動を与えてくれた『相部組』の奮闘劇は、決して忘れることはありません。

苦しい重圧のみならず、コロナ禍とも戦い続けた1年。

本当にお疲れ様でした。

東海大 8-14〇 帝京大

スターティングメンバー

※太字は各リーグ最終戦からの変更メンバー(ポジション変更含む)

東海大

1 PR
田草川恵③
(東海大甲府)

2 HO
山田生真④
(東海大仰星)

3 PR
前田 翔③
(東海大仰星)

4 LO
ワイサケ
ララトゥブァ②
(Ratu
SirLala)

5 LO
横井 隼④
(石見智翠館)

6 FL
ジョーンズ
リチャード剛③
(伏見工)

8 No.8
吉田大亮④
(東海大仰星)

7 FL
レキマ・
ナサミラ②
(Ratu
Navula)

9 SH
中村友哉④
(伏見工)

12 CTB
赤木 凜④
(伏見工)

10 SO
武藤ゆらぎ①
(東海大仰星)

13 CTB
杉浦拓実④
(東京)

11 WTB
杉山祐太④
(東海大相模)

15 FB
谷口宜顕①
(東海大仰星)

14 WTB
ボロメア・
カタ①
(東海大福岡)

※⑪林隆広選手(3年)に代わり杉山祐太選手(4年)が⑪番として出場

帝京大学

1 PR
近藤芽吹④
(新潟工)

2 HO
江良 颯①
(大阪桐蔭)

3 PR
細木康太郎③
(桐蔭学園)

4 LO
アレクサンダー・
マクロビー②

5 LO
久保克斗④
(国学院栃木)

6 FL
ダアンジャロ
・アスイ①
(Aorere
College)

8 No.8
安田 司④
(常翔学園)

7 FL
上山黎哉③
(大阪桐蔭)

9 SH
片岡祐二②
(京都成章)

12 CTB
ニコラス・
マクカラン④

10 SO
高本幹也②
(大阪桐蔭)

13 CTB
尾﨑泰雅④
(伏見工)

11 WTB
平坂海人④
(日向)

15 FB
奥村翔④
(伏見工)

14 WTB
木村朋也④
(伏見工)

※日本ラグビー協会公式スタッツはこちら

試合レビュー

スクラム、ジャッカルに湧き起こる雄叫び、ハイタッチ。

大学屈指のフィジカルを持つチーム同士の一戦は、最後まで激しく身体と身体がぶつかり合う好ゲームだった。

帝京はここまで課題と見られていたスクラムで東海を押し込み、ブレイクダウンでは果敢にファイト、さらには規律の乱れが目立っていたディフェンスでも80分間高い集中力を保持。

かつて最強を誇ったチームのように、選手権へギアを一つ上げてきたような印象を受けました。

中でも、

帝京へ”押し込むスクラム”をもたらせるだけでなく、フィールドプレーでも抜群の働きを見せた③細木康太郎選手(3年・桐蔭学園)、懐の深いランと高いキープ力でアタックの起点へと君臨した⑫ブロディ・マクカラン選手(4年)といった、”個”で違いを生み出せる彼らが長期離脱から戻ってきたことは大きい。

ラインアウトでのミスやアタックでのオプション不足など、チームとしての完成度はまだまだという印象はあるものの、何より帝京の原点である”強く激しいコンタクト”が戻ってきたことは朗報。

ここから当たる対戦校の驚異となることは間違いありません。

準決勝は対抗戦で昨年、今年と敗れている早稲田が相手。

帝京にとっては最高の”リベンジ”の舞台となりそうです。

 

そして、東海大学

部内でのクラスター発生により準備期間が制限された中で、この試合に向けてここまでフィジカル強度を高めてきたことは称賛に値します。

今年こそ選手権で帝京を破るチャンスと見ていましたが、過去幾度もその前に立ち塞がってきた”真紅の壁”はやはり高かったということなのでしょう。

それでも、

吉田大亮主将(4年・東海大仰星)の味方を鼓舞する声、ピッチへ響き渡る雄叫び、

何度跳ね返されても赤い壁へ挑み続けた⑫赤木 凜選手(4年・伏見工)のキャリー、

そして後半から入った⑰土一海人選手(3年・東海大相模)のスクラムワーク、モールでの奮闘など、

この試合へ懸ける想いは十分に伝わってきました。

さらには、②山田生真選手(4年・東海大仰星)。

、、、この人はなぜ見る者をこうも惹きつけるのだろう。

つった両足を引きずりながらもタックル、ボールキャリーを繰り返す姿。

最後の最後まで決して折れないメンタル。

試合終盤、この選手のプレーと表情から目を離すことが出来なかった。

決勝で敗れた4年前と同じ場所で再び悔し涙を流す姿は、見ていて胸が締め付けられる思いでしたが、最終学年でフッカーへ転向する道を選択し、それに挑戦し続けた姿は、たとえ”主将”という肩書きはなくとも見る人を魅了してくれました。

その勇気と情熱へ、心から労いとエールを贈りたいと思います。

本当にお疲れ様でした。

また来年後輩たちが強いチームを作り上げ、再びこの場へ戻ってきてくれることを期待したいと思います。

最新組み合わせと準決勝日程

<最新組み合わせ表>

<準決勝日程>

12:20

早大

〇33-27
(試合終了)

帝京大

14:45

明大

15ー41〇
(試合終了)

天理大

<大会公式プログラム>

※今大会は会場での販売が行われず、電子版のみの販売となっています。


第57回全国大学ラグビーフットボール選手権大会プログラム

※内容:全出場校(14校)の写真名鑑・名簿、大会展望記事、注目選手紹介など

<新チーム戦力予想↓>

【新チーム大予想2021】早稲田大学ラグビー部

【新チーム大予想2021】明治大学ラグビー部

【新チーム大予想2021】慶應義塾大学蹴球部

【新チーム大予想2021】天理大学ラグビー部

<2020年度ベスト15↓>

【勝手にベスト15まとめ】大学ラグビー2020 対抗戦/リーグ戦/関西A

<選手権試合速報↓>

【最新試合速報】第57回ラグビー大学選手権2020※リアルタイム更新

コメント欄
  1. Marie より:

    先ずは3年連続の正月超えを素直に喜びたいですね。これで駅伝に加えラグビーと楽しみが増えました。
    しかしながら、後半は丸尾主将の言葉通り物足りなかったですね。ゲームを通して前半の前半のようなアグレッシブなバトルができれば今年も新国立競技場に「荒ぶる」が響き渡るでしょう。

    • コメントありがとうございます!
      仰るとおり試合を通じて前半のような戦いができれば、
      どこが相手でも早明戦と同じ轍は踏まないように感じます。
      まだまだ『丸尾組』の勇姿を見れることに感謝しつつ、
      今年も早明揃い踏みとなる1月2日を楽しみましょう!

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