実に11シーズンぶりに大学王座へと返り咲いた2019年度の早稲田

下級生時代からチームを牽引し続けた齋藤直人主将、岸岡智樹選手、中野将伍選手ら『黄金世代』もいよいよ卒業を迎え、今年は本格的な世代交代の年がやってきます。

推薦枠が豊富ではない早稲田にとってスポーツ推薦での入部者は、毎年、部の浮沈のカギを握る生命線。

果たして今年はどのようなメンバーが新入部員として早稲田の門戸を叩くのか。

2020年度の推薦入試に合格した選手を紹介したいと思います。

<新入生情報2021↓>

【新入生2021】早稲田大学ラグビー部 ポジション別注目選手

【高校ラグビー進路2021】早稲田大学 スポーツ推薦入学者

トップアスリート入試

通常のスポーツ推薦とは異なり、このトップアスリート入試は在学中または卒業後に”国際大会で活躍できる人材である”という点が重要なポイントです。

昨年は2018年度の花園で準優勝に導き、ユース五輪のセブンズでも活躍した桐蔭学園の小西泰聖主将(当時)が、中野将伍選手以来3年ぶりにこの枠で入学を果たしましたが、今年ラグビー部にこの枠での入部はありません。

しかし、ラグビー女子7人制代表として今年の東京オリンピック出場に期待がかかる香川メレ優愛ハヴィリ選手(熊谷女子)が入学することになりました。

父と兄の影響で幼い頃から楕円球に慣れ親しみ、水泳でもジュニア・オリンピックに出場した経験を持つアスリートは、中学時代に目標を東京オリンピックの7人制女子代表に設定。

中学時代はセブンズアカデミーに選出されると、昨年は高校3年生ながら日本代表としてセブンズのワールドシリーズにも出場するなど、今年のオリンピックで活躍が期待される選手の一人です。

女子ラグビーの名門『ARUKAS熊谷』所属のため、早稲田ラグビー部とのコラボはないかもしれませんが、早稲田所属のラグビー選手として応援していきたいと思います。

(情報元:早稲田大学スポーツ科学部HP)

アスリート選抜入試

高いスポーツ技能によって、スポーツ界のリーダーとなり得る資質を有する学生の入学を目的とした『アスリート選抜入試』。

今年この入試試験に合格し、早稲田への入学が決まった選手はこちらの3名です。

PO氏名出身校サイズ代表歴
PR川崎太雅東福岡171/105高校代表
FL村田陣吾京都成章182/86代表候補
SO伊藤大祐桐蔭学園179/85高校代表

(情報元:早稲田大学スポーツ科学部HP)

一番の注目選手は、、

中でも注目選手は、、

SO 伊藤大祐選手(桐蔭学園)。

今年度早稲田の目玉はやはりこの選手でしょう。

”春の選抜”、”セブンズ”、”冬の花園”を制し、『高校三冠』を達成した桐蔭学園の主将。

下級生時代から注目されてきた逸材ですが、同校の悲願だった初の”花園単独優勝”を達成したことで、この選手の名声はさらに広く全国へと知れ渡ることになりました。

伊藤選手は福岡県出身ながら、その当時、箸本龍雅選手、森勇登選手(共に明大新4年)らを擁し『高校三冠』を達成した地元の強豪・東福岡ではなく、自らの意思で桐蔭学園へ進学。

そのポテンシャルの高さから1年生でレギュラーポジションを獲得すると、2年生では飛び級で高校日本代表候補にも選出。

主将として迎えた今シーズンは選抜、花園両方でライバル・東福岡を破って優勝を果たし、その決断が間違いではなかったことを見事に証明しました。(選抜では準々決勝、花園では準決勝で対戦しそれぞれ撃破)

1年生ではセンター、2年生ではフルバック、そして3年生ではスタンドオフとしてそれぞれ高い能力を発揮するなど、現代ラグビーに求められる『高いユーティリティ性』を有しているのもこの選手の魅力の一つ。

変幻自在のパスワーク、強靱なフィジカル、自ら仕掛けられるランスキル、強気なゲームメイクなど、花園で魅せた珠玉のプレーの数々もさることながら、個人的に最も衝撃を受けた試合は、選抜大会準決勝の京都成章戦。

6点ビハインドで迎えた後半ロスタイムのラストプレー。

スクラムの一時攻撃から、まさかの”キック”という選択肢。

Live放送でこの試合を見ていた私はその瞬間、「あー蹴っちゃった!!」と叫んだことを今でも覚えています。

アップデートされていない私の古い頭では、セオリーはボールをキープして攻め続けること

しかもこの試合の舞台は練習試合などではなく、全国大会の準決勝です。

とても常人にできるものではありません。。。

あのタイミングで冷静に相手の陣形を見られる”洞察力”、そして、そこをピンポイントで狙える”キックの精度”はもちろんのこと、何より度肝を抜かれたのはそれを実行に移す”判断力と胆力”。

これが個人的に伊藤選手の一番の魅力だと感じます。

昨年入部した同じポジションの逸材・吉村紘選手(2年・東福岡)が”柔”なら、伊藤選手は”剛”。

タイプとしては岸岡智樹選手(柔)と明治山沢京平選手(剛)といったところでしょうか。

この2人を同じチームで見れるかと思うと、今から楽しみで胸が躍ります。

名実共に『高校No.1スタンドオフ』の肩書きをひっさげて加入する伊藤選手。

絶対的存在だった岸岡選手の抜けた穴を補って余りある活躍を見せてほしいですね。

待望のフォワード陣

そして、川崎選手と村田選手も早稲田にとっては待望となる重要な戦力です。

PR 川﨑 太雅選手(東福岡)

昨年早稲田優勝メンバーとして活躍する小林賢太選手(3年・東福岡)の後を継ぎ、東福岡で2年生から『3番』のポジションを担ってきた川崎選手。

今年は6人体制を取った”チームリーダーの一人”として日本一を目指すチームを牽引し、同世代に錚々たるメンバーが集うフロントローの中で、高校日本代表にも選出されました。

昨年日本一に輝いた早稲田にあって、あえて課題を挙げるなら”スクラム”。

選手権では準々決勝・日大戦、準決勝・天理戦、決勝・明治戦と、強力なスクラムを武器とするチームと互角に渡り合うまでの成長を遂げましたが、大事な試合ではやはりPR1久保優選手(4年・筑紫)、PR3小林選手に頼らざるをえず、リザーブメンバーが信頼を勝ち取るまでには至っていませんでした。

昨年入部した2年生も純粋な”プロップ登録選手”は井元正大選手(早稲田実)のみと、層の薄いフロントロー陣にとっては、待望の代表クラスの加入となります。

川崎選手には1年生から早稲田のスクラムを担う活躍を見せてほしいところですね。

 

FL 村田 陣悟選手(京都成章)

平均身長181cm、平均体重100kg超という『超高校級』のフォワードを擁した昨シーズンの京都成章。

選抜大会では前述のように準決勝敗退、そしてAシードとして臨んだ花園では常翔学園の驚異の粘りに遭い準々決勝敗退と、悲願の日本一には届きませんでしたが、フォワードだけで6人の高校日本代表候補を擁する”タレント軍団”の破壊力は、昨シーズン高校ラグビー界を席巻しました。

そして、そのチームで2年生からレギュラーを張り、昨季もチームの中心選手として活躍した村田選手が、早稲田へ入部することになりました。

京都成章出身と言えば、2003年入部で早稲田黄金期のメンバー矢富勇毅選手(現・ヤマハ発動機)が真っ先に思い浮かびますが、近年では殆ど記憶にありません。

調べる限り、プレーヤーとしては2006年度入部のWTB今福達也選手まで遡ることになるようですが、、、

いずれにしても、近年は帝京、明治、または関西の強豪校に進学する選手が多い中、よくぞ早稲田を選んでくれたと言いたいですね。

バックローは今季主将の丸尾崇真選手(4年・早稲田実)、そして昨年ルーキーとして大ブレイクを果たした相良昌彦選手(2年・早稲田実)が不動の地位を築きますが、昨シーズン全試合で先発出場した幸重天前副将が抜けた『7番』は空席状態。

一年目からこのポジションのレギュラー争いへ、是非絡んでいってほしいと思います。

 

自己推薦・指定校推薦など

そして、アスリート選抜以外にも下記メンバーが、それぞれの推薦制度を利用して早稲田へ名乗りを挙げています。

PO氏名出身校サイズ代表歴
LO鈴木風詩国学院栃木180/87
FL永嶋 仁東福岡178/84
SH島本陽太桐蔭学園165/64
SO久富連太郎石見智翠館173/82
CTB岡﨑颯馬長崎北陽台177/82代表候補

昨季の東福岡共同主将の一人にして、ハードなタックルとトライを奪う嗅覚に秀でるFL永島仁選手。

御所実との花園決勝で後半から出場し、劣勢だった流れを大きく変え優勝へ貢献したSH島本陽太選手(桐蔭学園)。

そして、FB山口泰輝選手と共に”バックス2枚看板”として活躍した、長崎北陽台の主将・CTB岡﨑颯馬選手。(お兄さんは筑波大新主将の岡﨑航大選手)

さらに、昨季花園1回戦で歴代4位の”132得点”をたたき出した石見智翠館の攻守の要・SO久富連太郎選手や、層の薄いロックでのポジション争いに期待がかかるLO鈴木風詩選手(国学院栃木)など、実に多士済々。

例年になく豪華なメンバーが集結したと言えます。

いざ世代交代へ!

冒頭の通り、今季は斎藤直人選手、岸岡智樹選手、中野将伍選手、桑山淳生選手ら、1年生の頃から試合に出場してきた『黄金世代』が卒業。

チームは”世代交代”を余儀なくされますが、これは逆に同じポジションだった選手達にとっては大きなチャンス。

近年の早稲田は的確なスカウティングで、少数ながらも毎年適材適所の人材が集う流れになっており、今年レギュラーとして出場した選手以外だけを見ても、

<スクラムハーフ>

斎藤直人選手⇒河村謙尚選手(3年・常翔学園)、小西泰聖選手(2年・桐蔭学園)

<スタンドオフ>

岸岡智樹選手⇒吉村紘選手(2年・東福岡)

<センター>

中野将伍選手⇒松下怜央選手(2年・関東学院六浦)

<バックスリー>

桑山淳生選手、梅津友喜選手⇒槇 瑛人選手(2年・国学院久我山)、今駒有喜選手(2年・早稲田実)、小泉怜史選手(2年・早稲田実)

このように錚々たるメンバーが後に控える状況です。

そこへ今年入部する彼らがこの熾烈なポジション争いに絡んでくることになれば、早稲田はさらに層の厚いチームへと進化を遂げます。

2019年度を凌ぐ豪華メンバーが集った2020年度の推薦組。

彼らが一日も早く”アカクロ”へ袖を通し、新たな『黄金時代』を築いてくれることを今から楽しみにしたいと思います。

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