2020年度ラグビー大学選手権3回戦の試合レビューをお伝えしていきます。
3回戦試合結果
12/13 | ||||
11:30 | 日本大 | 〇108-0 | 福工大 | 秩父宮 |
11:35 | 京産大 | 14-47〇 | 慶應大 | 花園 |
14:00 | 流経大 | 〇19-19 | 筑波大 | 秩父宮 |
※抽選の結果、流経大が準々決勝進出 | ||||
14:00 | 同志社 | (中止)〇 | 帝京大 | 花園 |
日本大 〇108-0 福岡工業大
※日本ラグビー協会公式スタッツはこちら
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日大は試合間隔が3週間空いたことで実戦感覚に不安があると見ていましたが、そんな懸念を吹き飛ばすかのように立ち上がりからエンジン全開。
中央で崩して、大外で取り切る。
この試合へ準備してきたであろうゲームプランを一人一人が遂行すべく、点差が離れた後もプレーの精度や強度が落ちず最後まで引き締まったゲームを展開しました。
留学生を中心としたパワーラグビーを前面に押し出したその戦いぶりからは、次戦で相対する明治に”フィジカル勝負”を挑む、という強い意志が感じられる。
この日大の激勝により、”明治1強”と見られていたこのゾーンが俄然面白くなってきそうです。
そして敗れた福岡工大にとっては、大学上位勢との力の差を見せつけられる結果となってしまいました。
獲得率”17%(1/6)”に終わったラインアウト、”16”を数えたタックルミス、前後半通じて奪われたトライは”18”。
戦っている選手たちにとっても非常に厳しい内容だったと思います。
しかし、何度跳ね返されても最後までトライを狙う姿勢、何度はじかれても懸命にタックルへ行く姿からは、この試合へ懸ける福工大の強い想いを感じざるをえませんでした。
1,2回戦を戦ったチームのため、そして今年、事故で亡くなられたチームメイト清水選手のため。
その想いは十分に伝わってきました。
大学トップレベルとの差はまだまだ大きいものがあるのは事実。
それでも、いつの日かその壁を突破する日が来ることを信じて、また来年この舞台へ戻って来てほしいと思います。
京都産業大 14-47〇 慶應義塾大
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どちらもフォワードに強みを持つチーム同士。
序盤から激しいコンタクトが繰り広げられたこの一戦は、一つ一つの接点で上回った慶應に軍配。
”フォワード戦”という相手の強みに対し、逃げることなく真っ向勝負を挑み、そして圧倒する。
前半の4トライ全てをフォワード陣が挙げてきたように、先週の帝京戦と同様、この試合も慶應の”こだわり”と”徹底”を強く感じる試合でした。
11月23日の早慶戦以降、試合を重ねるごとに研ぎ澄まされていく精度と集中力。
②原田 衛選手(3年・桐蔭学園)や⑦山本凱選手(3年・慶應義塾)らフォワードのキーマンは引続き好調を維持。
そしてこの試合で今季初トライを挙げた⑫イサコ・エノサ選手(2年)や⑩中楠一期選手(2年・国学院久我山)らバックス陣も昇り調子。
いざ宿敵・早稲田との準々決勝へ。
激戦は必至です。
一方の京産大は起点となるべきスクラムの獲得率が33%(2/6)に終わるなど、強みであるはずのフォワード戦で劣勢に回り、アタックの軸を失ったことで、戦い方に迷いが生じたように感じました。
この試合100%と高い成功率を誇ったラインアウトが殆ど自陣や中盤でのものとなり、ドライビングモールという得意な形を敵陣深くで作れなかったことも痛かった。
それをさせなかった慶應のゲーム運びも含め、この試合は完敗といえる内容でしょう。
それでも、学内でのコロナ集団感染により長期の活動自粛を余儀なくされた中で、この位置までチームを押し上げてきた伊藤鐘史新監督のマネジメントと、④田中利輝主将(4年・東海大仰星)のリーダーシップは賞賛に値するもの。
京産大はこの試合の先発15人中10人が3年生以下とまだまだ若いチーム。
この悔しさを胸にまた来年さらに強いチームとなって、この場所に戻って来てほしいと願います。
そして最後に1つ残念だったのは、この試合を通してスクラムの組み直しが多く、それに多くの時間が費やされていたこと。
両チーム共に真っ向から身体をぶつけ合うスリリングな試合だったにも関わらず、度重なる組み直しで緊迫感が薄れ、どこか試合へ入り込めない自分がいました。
スクラムは両チームの協力の上に成り立つものとはいえ、それをコントロールする”レフェリング”という部分でも、しっかりとフィードバックを行い、今後へ向けた改善が必要なのではないかと感じます。
流通経済大 △19-19△ 筑波
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3回戦屈指の好ゲームは、引分け抽選という無情の結末に。
両校の気持ちを慮ると、抽選を引く瞬間はとても直視することができませんでした。
”攻める流経”に、”守る筑波”。
どちらも存分に持ち味を出し合う素晴らしいゲームでしたが、中でも筑波の鮮やかなラインアタック、そして後半ロスタイムに魅せた自陣インゴールからのカウンターは本当に見事でした。
やはりこの試合を分けたポイントは、危険なタックルを受けた⑫岡﨑航大主将(4年・長崎北陽台)の負傷退場。
代わって入った㉒松島 聡選手(2年・大分舞鶴)の攻守にわたる奮闘も、この試合を最後までもつれたものにしてくれたことは事実ですが、チームの中心を担う重要な選手が、反則すれすれのタックルで退場を余儀なくされたことは無念でなりません。
好ゲームに水を差したいわけではありませんが、もしこのプレーで流経の選手がカードをもらっていたとしたら、果たしてこの試合はどうなっていたか。
大学生活を懸けた大切な試合で二度と同じ事が起きないようにするためにも、やはり大学ラグビーにおいてもTMOの導入は必要なのではないかと感じます。
それでも救いだったのは、その当事者となった岡﨑主将の試合後のコメント。
筑波大は抽選の末、準々決勝進出はならず。負傷交代した岡崎航大主将は 「僕でもあっちの封筒を選んでいた。しょうがない」と代わりに抽選をした仲間をかばいました。嶋崎監督はコロナ禍で練習に制約があった時、流経大で練習をしたと説明し「流経あっての僕ら。感謝している」とエールを贈りました。 pic.twitter.com/cXymiVWkac
— NIKKEI Rugby (@nikkei_rugby) December 13, 2020
「僕が引いても同じ封筒を選んでいた。」
「最後まであきらめずに戦った。悔いはない。」
主将として潔く結果を受入れ、責任を背負わせないよう仲間をかばうその気遣い。
こういうコメントはたまらなく、涙が溢れてきます。
この主将にして、このチームあり。
今年の筑波大学。
最高のチームでした。
こういう試合ではどうしても先へ進めなかった方に感情移入してしまいますが、⑦坂本侑翼主将(4年・流経大柏)を中心とした流経大の気迫溢れる戦いぶりにも敬意を表したいと思います。
この結果、いよいよ準々決勝では昨年敗れた天理大との再戦カードが決定。
敗れた筑波の分まで、悔いなく思い切った試合をしてほしいと思います。
勝ち上がりと準々決勝対戦表
<3回戦終了時点>
<準々決勝組み合わせ>
12/19 | ||||
11:35 | 早大 | 〇29-14 | 慶大 | 秩父宮 |
11:35 | 東海大 | 8-14〇 | 帝京大 | 花園 |
14:00 | 明大 | 〇34-7 | 日大 | 秩父宮 |
14:00 | 天理大 | 〇78-17 | 流経大 | 花園 |
<大会公式プログラム>
※今大会は会場での販売が行われず、電子版のみの販売となっています。
※内容:全出場校(14校)の写真名鑑・名簿、大会展望記事、注目選手紹介など
<準々決勝レビュー↓>
【準々決勝レビュー①】ラグビー大学選手権2020 早大vs慶大/帝京vs東海
<2020年度ベスト15>
【勝手にベスト15!!】大学ラグビー2020 関東対抗戦Aグループ
【勝手にベスト15!!】大学ラグビー2020 関東リーグ戦1部
【勝手にベスト15!!】大学ラグビー2020 ムロオ関西Aリーグ
<選手権試合速報↓>