2020年度シーズンへ向けた各大学の戦力予想。
前回の早稲田フォワード編では、思い入れが強すぎて5000文字以上の長い記事になってしまいました。
今回はその反省を生かし、簡潔にまとめていきたいと思います。
予想する方法はFW編同様、”昨年までの活躍”、”Aチームへの絡み”、”今後の期待値”などを鑑みて、各ポジションの『本命』、『対抗』、『期待』選手を挙げ、最後に現時点での”予想布陣”を見ていきます。
※あくまで私個人としての意見です。
それでは”バックス編”いってみましょう。
2019年度基本布陣
まずは11年ぶりに『荒ぶる』を奪還した、昨年度のメンバーを振り返ってみます。
※太字は4年生
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
今季空白となるポジションは4。
主力5人が残留するフォワードと比べて少ないものの、日本一を経験したメンバーは3人残留します。
それでも強く感じるこの喪失感。
それは、齋藤直人主将(現/サントリー)を始めとする前4年生が放ってきた、圧倒的な存在感から来るものに他なりません。
改めて昨年度の4年生には、
「素晴らしい1年間をありがとうございました」
と言いたいですね。
2020年度戦力予想~バックス編~
それでは、ここから各ポジション毎に今年度の戦力予想をしていきたいと思います。
ハーフバック
<9番スクラムハーフ>
【本命】 小西泰聖選手(2年・桐蔭学園)
【対抗】 河村謙尚選手(3年・常翔学園)
【期待】 島本陽太選手(1年・桐蔭学園)
在籍した4年間全てで早稲田の”9番”を背負い、昨年度は第101代主将として11年ぶりの日本一に導いた齋藤直人選手(現/サントリー)が卒業。
この選手の穴を埋めることは並大抵の事ではありません。
それでも早稲田は、”スクラムハーフの宝庫”。
いい素材が揃っています。
まず真っ先に名前が挙がるのは、やはり小西泰聖選手(2年・桐蔭学園)。
『桐蔭学園主将として花園準優勝』
『高校日本代表の主力』
『ユース五輪(セブンズ)で銅メダル獲得』
高校時代の実績は、齋藤選手をも上回る逸材中の逸材です。
ルーキーイヤーの昨季は春シーズンの怪我で出遅れたものの、シーズンが深まるにつれ齋藤選手のバックアッパーの地位をがっちり確保。
大学選手権準々決勝の日大戦で見せた、スクラムサイドを切り裂いたトライはまさに圧巻でした。
昨季Aチームでは全て途中出場でしたが、スタートから出場した試合ではどのようなタクトを振るうのか。
シーズンを通しての活躍を見てみたい選手の1人です。
そして”対抗”は、昨季春季大会で齋藤主将が負傷欠場する中、強気なリードでチームに躍動感を与え続けた河村謙尚選手(3年・常翔学園)。
残念ながらシーズン終盤は出番に恵まれませんでしたが、それまでに見せていた活躍はアカクロの”9番”に相応しいもの。
3年生ながら『委員』としてリーダーグループへ名を連ねる今季。
期するものは大きいでしょう。
そして”期待”する選手は、昨冬花園で日本一を経験した島本陽太選手(1年・桐蔭学園)。
数多くの名選手を輩出してきた『スクラムハーフ王国』桐蔭学園から、主戦級の選手がこうして毎年早稲田の門戸を叩いてくれるのは心強い限り。
1年目から先輩の突き上げに期待したいですね。
<10番スタンドオフ>
【本命】 伊藤大祐選手(1年・桐蔭学園)
【対抗】 吉村 紘選手(2年・東福岡)
【期待】 島本雄太選手(4年・桐蔭学園)
4年間”アカクロの司令塔”へ君臨し、昨季、ついにチームを日本一へ導いた岸岡智樹選手が抜けるスタンドオフ。
ここは、後継者の選択が最も悩ましいポジションとも言えるでしょう。
私自身、この結論に至るまで何度もシミュレーションをしてみました。
ただ、やはり見てみたいのは伊藤大祐選手の”10番”です。
言わずと知れた昨冬花園王者・桐蔭学園の主将。
ラン、パス、キックの3拍子に加え、”勝者のメンタリティ”をも併せ持つ『超高校級』の逸材。
この選手の魅力は2020年度推薦組の記事で既に紹介しているため、ここでは多く触れませんが、大学レベルで通用するのか、しないのか、などの議論は必要のない選手でしょう。
高校時代に複数ポジションを経験し、サイズやフィジカルにも魅力があるため、センター又はフルバックという選択肢もあるかもしれませんが、個人的にはスタンドオフ1本で1年目から勝負してほしいと思います。
早明戦での山沢京平選手(明大4年・深谷)との『司令塔対決』。
考えるだけでワクワクしてきますね。
そして、忘れてはいけないのが吉村紘選手(2年・東福岡)。
伊藤選手とタイプは異なりますが、それだけに、この選手が統率するアタックラインも是非見てみたい。
そういう気持ちにさせてくれる選手です。
広い視野に裏打ちされたパスワーク、しなやかなラン、そして冷静な判断力は早稲田の”10番”を担う資質十分。
伊藤選手が”剛”なら吉村選手は”柔”。
今季、スタンドオフに求めるのは、”ダイナミズム”か”展開力”か。
どちらを10番に選ぶかによって、今シーズンの戦い方が見えてきそうです。
そして、個人的に活躍を期待したいのは島本雄太選手(4年・桐蔭学園)。
今年入部した島本陽太選手(1年・桐蔭学園)の兄で、4年生唯一のスタンドオフ登録選手。
昨シーズンは春と夏の帝京大戦でAチームとしてベンチ入りをしながら、残念ながらその後はAチームへ絡むことができませんでした。
3年間背中を追い続けた”絶対的司令塔”が卒業した今季。
ラストイヤーにかける思いは強いはずです。
センター
<12番センター>
【本命】 槇 瑛人選手(2年・国学院久我山)
【対抗】 中西亮太朗選手(3年・早稲田実)
【期待】 平井亮佑選手(4年・修猷館)
今春サンウルブズとして世界とも渡り合った”フィジカルモンスター”中野将伍選手がついに卒業。
実際、早稲田にとってもライバル校にとっても、この選手の卒業が最も影響の大きい要素なのではないでしょうか。
昨季の戦い方をイメージするのであれば、このポジションに求めたいのはやはり”強さ”。
その意味でも今年期待したいのは、槇 瑛人選手(2年・国学院久我山)です。
主将を務めた久我山時代は主にウィングとして活躍し、そのランスキルの高さから高校日本代表にも選ばれた逸材。
槇 瑛人(まき えいと)CTB/WTB
國學院久我山-早稲田#高校ラグビー#大学ラグビー pic.twitter.com/UkRxyEXPkG— KOCKY.RUGBY (@toyrugby) June 21, 2020
フィニッシャーとしてのスピードも魅力ですが、この体幹の強さと縦への突破力は是非センターで見てみたい。
そう思わせてくれる選手です。
そして次に名前が挙がるのは、やはり中西亮太朗選手(3年・早稲田実)です。
昨季中野選手が負傷する緊急事態時に、その穴を埋めたのは紛れもなくこの選手。
13番を務めた長田選手とタイプが重なるため、ここでは”対抗”の選手としましたが、その実力に疑いの余地はありません。
今季は主力としてシーズンを通して活躍することが出来るか。
注目しましょう。
そしてこのポジションで期待する選手を挙げるなら、平井亮佑選手(4年・修猷館)です。
フィジカルの強さを生かした縦への突破力に優れ、昨季は春季大会での帝京大戦や、ジュニア選手権の全試合でスタメン出場。
Aチームに限りなく近い位置につけています。
4年目となる今季。
アカクロを纏い奮闘する姿を見てみたい選手の1人です。
【本命】 長田智希選手(3年・東海大仰星)
【対抗】 髙木 樹選手(4・早稲田摂陵)
【期待】 岡崎颯馬選手(1年・長崎北陽台)
このポジションで不動の地位を築くのは、1年生から主力として試合に出場してきた長田智希選手(3年・東海大仰星)。
今やチームにとって欠かすことの出来ない存在です。
中野選手という”絶対的な存在”が抜けた今季は、自らが大黒柱へと成長する年。
この選手には期待しかありません。
そして、このポジションを脅かす存在として挙げたいのは、今年、”委員”にも就任した高木樹選手(4年・早稲田摂陵)です。
早稲田摂陵を初の大阪府予選決勝へ導いたチームの副将として、早稲田入学時から個人的に注目をしてきました。
高校時代のインタビュー記事、そして先日早稲田スポーツに掲載された新幹部のインタビュー記事からも、自らに厳しくストイックに勝利を追求する姿勢が伝わってきます。
昨季のジュニア選手権で、多くの試合でセンターコンビを組んでいた高木選手と平井亮佑選手。
今季、対抗戦でこのコンビを見ることができるのか。
両4年生の奮闘に期待したいですね。
最後に、期待する選手は『文武両道』を地で行く長崎北陽台の昨年度主将・岡崎颯馬選手(1年・長崎北陽台)。
ここ数年途絶えていた同校から待望の”早稲田入部者”です。
帝京へ進学したFB山口泰輝選手と共に、エースとして名門を牽引した逸材。
早くピッチ上でその勇姿を見てみたいです。
バックスリー
<11番ウィング>
【本命】 古賀由教選手(4年・東福岡)
【対抗】
【期待】 小泉怜史選手(2年・早稲田実)
過去2年、怪我に泣いたシーズンを乗り越え、昨季、ついにそのポテンシャルを遺憾なく発揮した古賀由教選手(4年・東福岡)。
特に選手権に入ってからの爆発ぶりは神がかったものがありました。
どんな大舞台でも失われない笑顔、そして躍動感溢れるプレー。
心からラグビーを楽しんでいる、という気持ちが存分に伝わってくる希少なプレーヤー。
今季もこの選手を外すことはできません。
そして、このポジションで期待する選手は2018年度の高校日本代表候補にも選ばれた小泉怜史選手(1年・早稲田実)。
副将として相良昌彦主将(2年)と共に、母校を82年ぶりの花園出場へ導いた『早実黄金世代』の中心選手です。
昨季、Bチームではスタンドオフとしても出場していましたが、個人的には、花園を湧かせたそのダイナミックなプレーをウィングで見てみたい。
今シーズン中のお目見えはあるのか。
楽しみです。
<14番ウィング>
【本命】 松下怜央選手(2年・関東学院六浦)
【対抗】 安部勇佑選手(4年・国学院久我山)
【期待】 今駒有喜選手(2年・早稲田実)
強さと速さを兼ね備えた桑山淳生選手が昨季務めたこのポジション。
ここは、182cm/92kgの”大型バックス”・松下怜央選手(2年・関東学院六浦)と、サイズは小柄ながら抜群の加速力を持つ安部勇佑選手(4年・国学院久我山)。
タイプの異なるこの2人を注目選手に挙げたいと思います。
特に安倍選手は昨季Cチームスタートながら、秋にはアカクロへ袖を通すまでになった不屈の男。
切れ味鋭いステップを持つ『早実黄金世代』の一人・今駒有喜選手(2年・早稲田実)も含め、このポジションのレギュラー争いは激しいものになりそうです。
<15番フルバック>
【本命】 河瀬諒介選手(3年・東海大仰星)
【対抗】 南 徹哉選手(4年・修猷館)
【期待】 岡本大輝選手(1年・本郷)
天性のアタック能力に加え、的確なポジショニングと正確なキック処理で早稲田の最後尾を守り抜いた河瀬諒介選手(3年・東海大仰星)。
フィジカル面でも毎年進化を続けるこの選手が、今季もアカクロに最も近い位置にいるのは間違いありません。
そして今季、そのポジションへチャレンジするのが、チームの副将へ就任した南 徹哉選手(4年・修猷館)。
昨年は春先からAチームへ定着し、対抗戦序盤はスタメンにも名を連ねたものの、河瀬選手の復帰後は主にBチームで過ごすという悔しいシーズンを送りました。
高校の同級生・FL永嶋一光選手(4年)、CTB平井亮佑選手(4年)と共に一浪を経て早稲田の門を叩き、下のカテゴリーから地道に這い上がってきた苦労人。
ラストイヤーの今季。
叩き上げからのアカクロ奪取へ。
早稲田伝統の姿を体現してほしいと願います。
そして期待する選手は岡本大輝選手(1年・本郷)。
本郷中で全国中学生大会で準優勝を果たし、本郷高では2年連続で花園へ出場した『本郷黄金世代』のキャプテン。
センター、フルバックどちらも厚い層を誇る激戦区ではありますが、その台頭を期待をしたいと思います。
2020年度予想布陣
9 SH | ||
12 CTB | 10 SO | 13 CTB |
11 WTB | 15 FB | 14 WTB |
結局この記事も長くなってしまいました...
<早稲田フォワード編はこちら↓>
<2021年度戦力予想↓>
(最新)【新チーム大予想2021】早稲田大学ラグビー部 メンバー予想
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